仕事が業務時間中に終わらず、

残業ばかりしてしまう……。


いつも頑張っているつもりなのに、

なぜかいっこうに

仕事が速くならない……。

 

こういった

「仕事の遅さ」にまつわる悩みは、

仕事をするときの「思考」を

変えてみるだけで

解決できるかもしれない。

 

そこで今回は、

仕事の速い人が

どんな思考をしているのか?

 

これまでの自身の仕事や

タスク管理が上手い

本部幹部の仕事を見る中で

その共通点を探ってみたい

1. コンドル思考

出社したら、取引先から

商談の件でメールが来ていた。

 

どう返事をすべきか

相談するために上司を探すが、

なかなかつかまらず、

返信に30分はかかった。

 

相談ついでに、上司から

「新人のつくった

資料チェックしてあげて」

と言われ、すぐに対応。

 

ひと息ついたと思ったら、

今日の社内会議資料の
大きなミスを

他部署から指摘され、
慌てて修正。

 

このように、

そのつど発生した仕事だけで

精いっぱいになると、

仕事はとても遅くなるもの。

 

なぜなら、

目の前のこと “しか” 

見えていないから。

 

じつは
仕事の速い人は、

仕事全体を俯瞰して

ゴール地点を

最初に確認する
思考をしている

 

上空から
地上を見渡すコンドルのように、

仕事の目的や全体の
スケジュールを

最初に確認する思考を

「コンドル思考」と呼ぶ。

 

対して、

上の例のように目の前の

仕事のことだけを考えるのは

「カメ思考」

 

童話の

『ウサギとカメ』が示すように、

地道に仕事を進めるのは

よいことだ。

 

だが、目の前しか見ていないと、

全工程を把握していないせいで

 

一工程に時間をかけすぎたり、

目的を理解していないせいで

重大な間違いをしたりなどの

問題が起きやすくなる

 

問題に後手後手で

対応することになるため、

結果的に仕事がとても遅くなる

 

では、先ほどの例の場合、

コンドル思考の人なら

どう対応するか??

  • 商談に関する
    メールへの返信について、
    上司に相談したかったが、
    なかなかつかまらなかった

    →のちほど確認する旨だけ
    すぐ返信し、
    上司の手が空くタイミングを
    チェックしたうえで

    余裕をもって相談する。
     
  • 新人の資料チェックにすぐ対応した
    いつまでに必要な、
    なんの目的の資料かをまず確認

    優先度が低ければ午後にまわす。
     
  • 今日の社内会議用資料のミスを
    他部署から指摘されて修正した

    →そもそもコンドル思考の人は、
    調整作業を見据え
    早めに他部署確認を終わらせている

    そのため、
    当日に重大な指摘は入らない。

コンドル思考を身につける方法は
「この仕事はなんのために、
いつまでにするのか」と
逐一考える習慣をもつ
こと。

たとえば

「明日までに◯◯のデータを集めておいて」
という指示も、
社内用かプレゼン用か、
新規提案用か改善用か、
明日の何時までに
どの程度完成させるのか、
といったところまで考えて取り組む

 

2. 仮説思考

営業で新規顧客の獲得率が
伸び悩んでいる。

何が原因かわからないので、
「WEBや架電からの問い合わせ数」
「競合商材との比較」
「広告効果」など


時間をかけて
手当たり次第に情報を収集。
ひととおり情報がそろってから、
ようやく問題解決策を考え始める
 

一見とてもよいやり方にも思えるが、
情報収集にばかり時間をかけていては、
仕事のスピードも質も上がってこない。

仕事の速い人は、
わからない問題にも先に
「仮の答え」を想定している

 

速くて質の高い仕事をする人は
「仮説思考」を身につけている。

これは、
情報やデータから
問題の答えを導くのではなく、
「たぶんこうだろう」
という答えを先に考えてから
情報やデータを探す思考
のことだ
 

仮説思考は以下のステップで行なう。


上で挙げた


「営業で新規顧客の獲得率が
  伸び悩んでいる」

という問題を解決する
ケースを例にしてみたい

  1. 問題発見の仮説を立てる 
    a:WEBページで商材の魅力が
        伝わっていないのではないか
    b:競合他社の商材よりも
        価格が高いのではないか
     
  2. 1の仮説を検証する
    aの検証:WEBからの
                 問い合わせ数を調べる
    →WEBからの問い合わせは
       ほとんどないことがわかる

    bの検証:競合商材のリサーチ
    →価格は競合商材よりも
      むしろ安いことがわかる
     (問題解決の必要なし)
     
  3. 問題解決の仮説を立てる
    aの解決策:WEBページの
    レイアウトを改善する
    といいのではないか
     
  4. 3の仮説を検証する
    aの解決策の検証:
    実際にレイアウトを変更して
    問い合わせ数の変化を見る

このように、
仮説と検証を繰り返しながら
問題を解決していく。

たとえ仮説を検証した結果、
問題解決に至らなかったとしても、
新しい仮説のヒントを
得ることができる。

WEBページのレイアウトを
改善しても問い合わせ数が
上がらなければ


商材の打ち出し方に
問題があるのかもと、
別のことが見えてくるという具合だ。

手当たり次第情報を集めてから
ようやく検証を始めるのに比べると、
問題解決への道筋が
はるかにスピーディに見えてくる

 

仮説思考を身につけると、
主体的に動き、
すばやい意思決定が
できるようになる。

変化が激しく
先が読めない現代の
ビジネス現場において、
仮説思考はますます
重要になってくるだろう

 

3. エッセンシャル思考

上司から突然、
資料用のデータ
作成を頼まれた。
でも本当は、
いま手がけている企画が
大詰めで手一杯……。

上司の指示だから断れないし、
大変だけど
頑張ってやってみよう!
 

頑張る人ほどしがちな
この考え方は危険だ。

キャパシティ以上の
仕事を抱え込むことで、
ひとつひとつの仕事が
遅れる可能性があるからだ。

じつは、
仕事の速い人は断り上手でもある
 

重要ではない仕事を減らし、
少ない時間と労力で
最大限の成果を出す

という考え方を
「エッセンシャル思考」という。

AppleやGoogleといった
世界的企業にも影響を与えているもの。
エッセンシャル思考と
非エッセンシャル思考の違いを
以下のようにまとめる事が出来る
 

【エッセンシャル思考】

  • 上手にNoと言う
  • 本当に重要なことしか
    引き受けない

【非エッセンシャル思考】

  • 周囲の期待とプレッシャーに
    負けてYesと言う
  • なんでも引き受ける

とはいえ、
先に挙げた例のように、
指示された仕事を
断るのは難しいもの。

そこで大切になるのが
「トレードオフ」という考え方。

「もしその仕事を引き受けたら、
代わりに何ができなくなるのか」

意識する。

上の例であれば、
データ作成を引き受ける代わりに
企画の詰めが行き届かなくなる、
という具合だ
 

このトレードオフを
上手に示せれば、
重要ではない仕事を
断りやすくなる。

そのために活用したいのが、
「アサーション」という話法だ

以下の「DESC」に沿って、
自分の気持ちや状況を
相手に配慮しながら伝える

  • D(Describe / 描写)
     →客観的に事実や状況を述べる
  • E(Express / 表現)
     →自分の意見や感じていることを
       表現する
  • S(Specify / 特定の提案
     →
    妥協案、解決策、
        相手に望むことを提案する
  • C(Choose / 選択)
     →肯定的な結果と
    否定的な結果を伝えて
    選択肢を示す

上のシチュエーションにおける
アサーションを使った断り方は、
以下のようになる

  • D(描写)
    →「いま手がけている企画が
         大詰めの状況です」
     
  • E(表現)
     →「引き受けたい気持ちは
         やまやまですが、
         いまお引き受けすると
         代わりに企画のクオリティが
         下がってしまいます
        (=トレードオフを伝える)」
     
  • S(提案)
      →「手をつけるのは来週でも
           かまいませんか?」
     
  • C(選択)
      →「来週からでよければ
            私がやれます。
             今週中に終わらせなければ
             ならないものでしたら、
             ほかの方にお願いできますか?」

アサーションのよい点は、
自分の意見を主張しつつも
相手との妥協点を見つけられるところ。

いつも指示や頼みを断れず、
仕事がどんどん増えて遅くなる人には、
まさにうってつけの方法だ

経験や能力の差は
簡単に埋まるものではないが、
思考を変えることなら
すぐにでも挑戦できる。

僕自身も大手学習塾勤務時代

辞める前の最後のポジションは

運営管理部長 兼
事業部長代理だった

 

事業部長は
社長が兼務していたので

この思考法を

身に付けていなかったら

多分仕事は

全くまわっていなかっただろう

 

当時は必死に仕事術について

手あたり次第本を読みつつ

タスク管理が上手い本部幹部に

教えを乞うた

 

あの時の経験が

今の仕事に役に立っていると

常々思う