子供に対し

「叱る」という場面はたくさんある

 

ただ、

自分では叱っているつもりでも

感情が入りすぎて

「怒っている」ケースに

なっている場合があり

こうなると、

ほぼ納得させることは不可能だ

 

最近の科学調査において

子どもを叱ることには、

いろんな弊害がある事が

分かってきた。

 

では子どもに

何かできないことがあるとき、

親はどんなふうに

注意すればいいのか?

 

その1つの答えとして

「くふう」がある

 

くふうには2つあって、

ひとつは「合理的なくふう」、

もうひとつは「言葉のくふう」だ

 

「合理的なくふう」というのは

なかなか自分で歯を磨けない子だったら、

あらかじめ食べる前に

食卓に歯ブラシを出しておく。

 

そうすると食後すぐ

歯を磨きやすくなる。

 

自分で磨けたら

「この頃、自分で磨けるね!」と

言ってほめてやる。

 

それをしばらく続けて、

できるようになってきたら、

ある日歯ブラシを出すのをやめてみる。

 

それで磨けたらさらにほめるし、

もし磨けなくなったら、

また歯ブラシを

出してあげればいい

 

そんなことを

繰り返しているうちに、

だんだんできるようになる。

 

そういう生活習慣的なことについて、

感情的にとがめる必要なんか

何にもない。

 

むしろ逆効果になるだけで、

いいことは一個もない

 

あとは「言葉のくふう」だ。

 

否定的に言いそうになったら、

口から出る前に自己翻訳する。

 

たとえば

「いまのうちに準備しておけば、

明日の朝余裕だよ」とか、

 

「見直しすると、

点数が増えるよ」とか。

 

「こうすると、

こういういいことがあるよ」と

いうふうに言えば、

子どもは素直になれる

 

とがめるんじゃなくて、

プラスイメージで

伝えることがポイントだ。

 

とがめられると、

子どもはどうしても

素直になれない。

 

プラスイメージで伝えれば

明るい結果が予想できるから、

やる気も高まる

 

 

もう一つ意識したいのが

 

「ほめる」が「できる」の前にある

 

という事だ

 

手っ取り早く言えば

「とりあえずほめる」ことだ

 

たとえば、

「うちの子たち、

きょうだい仲が悪いな~」と

思ったとき、

 

「なんであんたたち、

そう仲が悪いの! 

もっと仲良くしなきゃ、

お母さん悲しいよ」

 

とか言っちゃうけれど、

それでは逆効果だ

 

子どもたちが

「ぼくたちは、

どうやら仲の悪い

きょうだいみたいだな~」

というまずい自己イメージを

もってしまうからだ。

 

イメージの力って大きいから、

否定していても

そっちに行っちゃう可能性がある。

 

実はとても危険なのだ

 

だから、逆に

「とりあえずほめる」

 

たとえば、出かけるときに

お兄ちゃんが弟の靴を出してくれたら

「優しいね~。

よく気がつくわ。弟も幸せだな~」

 

とか言ってあげると、

 

「どうやらぼくは、

いいお兄ちゃんみたいだな」っていう、

いい自己イメージができる。

 

そうやって

「とりあえずほめる」ところから入ると、

だんだんそっちのほうに、

道ができていく。

 

ただこう言うと

「褒めるところがない時は

どうするの?」

 

という疑問が浮かぶ

その場合は

「部分」に注目する。

 

全体を漠然と見ているから

ほめられないのであって、

部分を見れば、

ほめるところって必ずある

 

たとえば書き取り帳を見て、

「きったない字だな~!」

と思っても、

 

「ダメじゃない、こんな字じゃ!」

と言うのは意味がない。

 

そういうときは

部分に注目する。

 

なかには偶然、

上手に書けた字があるから

「あ~、これうまいね、花丸! 

このハライもうまい、

このトメもうまい」って、

部分をたくさんほめる。

 

それを毎日やっていれば、

だんだん字がきれいになっていく

 

どうしても

直させたいことがあるときは、

たくさんほめてから、

最後に「これとこれ、直して」

って言えば、喜んで直してくれる

 

それを最初から

「汚い字だね、こんなの書き直し!」

とか言っても無理だ

 

だからこそ「ほめたら、できる」

って思って欲しい

 

みんな「できたら、ほめる」

って思ってるから、

永久にほめられない

 

そうじゃなくて、

「ほめたらできる」。

順番が逆なのだ

 

もうひとつ、

大事なのは「共感」だ

 

親はとにかく、

門前払いしちゃうことが多いけど、

いろんな場面で、

子どもに共感してあげることが

すごく大事だ。

 

とにかく共感、共感で、

言いたいことは最後にする。

 

たとえば、

お兄ちゃんが弟をたたいたとする

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

って聞くと、

「だって弟が、

おれのおもちゃで遊んでたの! 

弟がとっちゃったんだもん!」

 

とか言ったとする。

 

そういうとき、

大体の人は

「あんた、お兄ちゃんでしょ。

おもちゃとられたからって、たたくの? 

そういうの暴力だよ、

ダメなものはダメ!」

 

と言って正論を押しつけてしまうと、

それでは絶対に子どもは納得しない

 

子どもだって、

そんなことはとっくの昔にわかってる。

頭では理解していても、

気持ちが処理できないだけ。

 

その気持ちを

処理してあげるのが共感だ。

 

「あ、そうだったの? 

おもちゃとられたんだ、

いやだったね」と言ってあげる。

 

そうすると子どもはうれしくなって、

「いやだったよ! 

だってこの前も、こうでこうで……」

とか言って、どんどんしゃべる。

 

ただ、それがなかなかできない

 

「あんた、

人のことばっかり言ってなに? 

自分は悪くないと思ってるの? 

そういうところがダメ、

まず『ごめんなさい』って言いなさい!」

とか言ってしまう。

 

でもモヤモヤしたまま

「ごめんなさい」を言ったって、

意味ない

 

それを全部、

たっぷり共感して聞いてあげると、

スッキリできる

 

そうなったとき、

子どもは特定の精神状態に入る。

 

「お母さんは、わかってくれた! 

おれがどんなにいやな気持ちだったか、

お母さんはわかってくれた!」

というふうに、

相手への信頼感が高まる。

 

そこで初めて、

「じゃ、お兄ちゃん、

これからどうする?」とか言えば、

もう素直になってるから、

 

「じゃあ、おれはお兄ちゃんだからね、

これからは、弟に先にやらしてあげちゃう!」

なんて言える

 

気持ちのわだかまりを処理してあげれば、

良い部分が出る

 

正論の押し付けでは絶対無理なのだ。

いろんな場面で、

とにかく門前払いしないで、

聞いてあげてほしい

 

中学生だって同じ。

ある女の子が

「お母さん、部活やめたい」

と言ってきたとしよう。

 

親はやめさせたくなくて、

「何言ってんの、

今までがんばってきたじゃない。

もうすぐ選手でしょ、

もうちょっとがんばんなさいよ。

お母さんも応援してるよ、

ファーイト!」

 

とか言ってしまうケースがある

 

そうすると子どもは、

「だめだ、この人に言っても。

わたしがいまどんなに苦しいか、

ちっとも聞いてくれない」

となってしまう

 

親は、励ましているつもりだけど、

共感がないところでそれを言われると、

子どもはただ「お説教された」って

思ってしまうのだ

 

そこで「どうしたの?」って聞けば、

「だってこうで、こうでこうで」

って言い始める。

 

「そうなんだ、そりゃ大変だね。

あんたも苦しいね」

って答えれば、

子どもはうれしいから、

どんどんしゃべる。

 

全部ぶちまけるとすっきりして、

「もうちょっと、やってみるよ」

となる場合もある

 

もちろん、

そうならない場合もあるけれど、

少なくとも理由がはっきりする。

 

言っている本人も

自分の気持ちを整理できるし、

聞いている親のほうにも、

情報がいっぱい入る

 

「ああ、これは体力的に無理なんだな」

とか、

「これは友達ともめてるのかな」

とか

「先生とうまくいってないんだな」

とか、

「この子、ほかにやりたいことが

あるんじゃないかな」

とか。

 

そうやっていっぱい情報が入れば、

的確な判断がしやすくなる。

 

それを、共感しないで

いきなり励ましたりすると、

そういう情報が何も入らない。

 

だからとにかく、共感が最優先だ

 

しかし一方で親ももう、

ストレスがいっぱいだ。

 

とくにお母さんたちはそれが顕著だ

 

日本の社会はいまだに、

お母さんが子育て、

という意識が強いから、

パンク寸前だ

 

子育てする世代は、

仕事も一番忙しい時期だし、

場合によっては、

おじいちゃんおばあちゃんの世話もある。

 

時間的にも金銭的にも、

気持ち的にも労力的にも苦しい

 

そんなときに、

たまたま子どもが

親を怒らせる引き金をひく。

 

それで

「また、片づけしてない、

ダメでしょ!」ってことになる。

 

でもそれって、

ただ引き金をひいただけなのだ

 

その前にもう、

お母さんのタンクには

ものすごい不満がたまってる

 

それが一気に出てしまう。

子どもがやったことなんて、

ほんとちょっとしたことなんだけど、

すべてのストレスがそこに出てしまう。

 

ストレスって、

弱いところに出る。

 

わが子って一番弱い相手だから、

そこに向かってしまうケースが

すくなくない

 

だからストレスが少ないときは、

子どもが同じことをしても

笑って許せるし、

ストレス満載のときは、

絶対に許せない。

 

そういう意味で、

とにかくストレスを

ためこまないというのは、

非常に重要だ

 

親の精神が安定しているということ。

過度の忙しさっていうのは、

お母さんにも本人にもよくない

 

ただ現実問題として

わかってはいるけど、

母親たちも、

好きで過度に忙しくなっている

わけではない

 

だからこそ

こういう時こそ

夫婦の連携が重要になる

 

とか偉そうに言っているが

僕自身しかっかり家内と連携が

出来ているかと言われれば

返す言葉がない

 

父親として

越えるべき課題は少なくない