「荻沢拓実か。覚えときます。いつかまた翔子さんとも会えるだろうし」悪いんだけど松本は今回だけのことに思ってるんだけどね。多分二度と来ることはない。
「佑真君に会うのも今回だけに思うんだけどな。また松本に来ようって思ってないし」
「じゃ僕が東京行きますよ。住んでるのどこです?」
「もういいじゃない。第一君は年下なんだよ。私が年下の男の子好きになれると思う?」
「・・・あー、残念、僕の一世一代の告白だったのにな。こんなこと言うの初めてだったんですよ。ウチに入ったときのあのときの驚きってなかったんです。それだけ翔子さんは美人だったんです」そう言われてもね。私には拓実君と言うれっきとした彼氏がいるんだし。
「悪かったね、ゴメン。でも拓実君とはこれから死ぬまで一緒なの。私の未来は彼なしじゃやってけないの」
「わかりました。でも、僕のこと忘れないでくださいね。僕の生まれて初めての告白だし、翔子さんの一目惚れなんですから」
「ありがとう、君もいい子ね。でも彼女のこともっと大切にしてあげてね」
「はい、ありがとうございます」
「でもどうして私のこと好きになったの?」
「そりゃ翔子さんは綺麗で可愛いからです」
「そっか。ありきたりな返事だったけどアリガト、嬉しいよ」ホントはもっと具体的な言葉聞きたかった。私のどこがどんな風に綺麗で可愛いのかってことを。
「はい。僕も嬉しいです」
終わった。何だか変な告白。松本城行く途中のことだったけど。でも、私のこと好きだって言ってくれる人が二人もいたなんてね、そっちの方がびっくり。私もひょっとしたらびっくりするくらいの美人なのかななんて思った。いけない、私が私でなくなっちゃう。自惚れは私には禁句。自分のプラスには決して繋がらない。でも、佑真君のこの告白には少し心動かされた。ありがとう、佑真君。ここにいる間は楽しく過ごしてくよ、約束ね。
そんな感じで松本城着いた。ずっしりと重たいイメージのある黒い平城。東京とか関東にこんなお城はないと思う。全国的に有名な姫路城や熊本城ほどのインパクトはないにしてもこの重圧感はなかなかない。お城の北東部がかなり広い芝生の原っぱがある。とりあえずそこを歩いてみた。
「翔子、ここって凄いね」姉
「そうだね。驚く以前に圧倒されそうだね」私
「びっくりした?東京じゃこんなお城まずないもんね」さやかさん
「さやかさんが自慢するのもわかる。これだけのお城ってないな。松本来れて良かったよ」私
「ありがとう、嬉しいな、翔子からそう言ってもらえると」さやかさん
「いや、私もびっくりしてる。これだけのお城連れてきてもらってありがとう、さやかさん」姉
「東京はお城ないから関東で見てもいいとこ小田原城くらいですかね、お城って呼べそうなとこって」佑真君
「小田原城か、行ったことないな」私
「私もないね」姉
「じゃ行きましょうか、小田原城」佑真君
「え?いいよ、お城なんて興味ないもん」私
「私もだね。佑真君もお城に興味ある人誘えばいい」姉
「ちぇ、悲しいな。せっかく共通の話題ができたと思ったのに」佑真君
