あの女はあの女でもあの女ではない、あの女の本 | 野良翻訳家・HanaBananaの Enjoy Life!

すっかり忘れておりました。
今週の筋トレ占い、週報。

http://d.hatena.ne.jp/weekly/

今週の水がめ座は
「受け入れる」んだそうです。
「今まで、正しくないと忌避していた、自分に禁じていたものを
解除する時期、案外(あんがい?)水がめ座は我慢強いところがあるが、
自分が不当に耐えているものを回避して、受け入れることができるかも」
とな。







いや、息子のお弁当づくり、まだ3日目ですが、
自分のと違って、お弁当箱が大きいので、入れるオカズの数を
そろえるのが、大変どす。
私が住む県は、給食率全国ワースト2位(1位は大阪)。
しかも他県は、8割以上の率なのに、この1府1県は1割以下。
もしかしたら給食費を払わない人が多い県2位なのかいな、と
思っていたら、それは勘違いで、ある時代に一気に住民が増えたため、
給食施設を建てるに至ってない学校が多いらしいです。
まぁ、前の晩、作るのに30分、朝つめるのに10分、計40分の話なんで、
いいんだけどさー。これ、料理が嫌いな人、早起きがダメな人はかわいそうだよ。



最近、読んだ本・・・は、いっぱいあるのですが、
緊急出版と謳って発売された
日常の恐怖、土着で湿っぽく不気味な物語をつづる女王、
岩井志麻子先生の新刊、「あの女」!

アマゾン:http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%AE%E5%A5%B3%EF%BC%88%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%8A%EF%BC%89-%E6%96%87%E5%BA%AB%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81-%E5%B2%A9%E4%BA%95%E5%BF%97%E9%BA%BB%E5%AD%90/dp/4840145725



フログ「あの女」が、いわゆる平凡だけど痛い女(知ってますか?アメブロで有名だよ)。
自分も、自分の周りにもいそうな、恋するがばかりに、痛い事をしている女を
ばっさり切るのが、ゴマぶっこ先生の「あの女」であるならば、



志麻子先生の「あの女」は、平凡な我々とは生きる次元を隔する
サイコな女の「あの女」。
物語は、志麻子先生の事ではなく、「女芸人」が体験したことになって
進んでいくのですが、私はあえて、S子先生の体験として、
粗筋を書きます。



7年前、S子先生は、とあるマッサージサロンに行き、
偶然、客として来ている「あの女」に会う。
あの女は、突然、「S子先生ですよね?ファンです!」と話しかけてきて、
著名な業界人、経済人、政治家とも、公私に渡り深い関係のある
華麗なる自分の経歴の自分についてしゃべりまくり、
挙句の果て、S子先生が住んでいるマンションに
自分も住んでいる!感激!きっとこれはご縁があるんですよ!
つきましては、自分をマネージャーにしてほしい!と
言ってくる。旋風に乗って登場した、閃光のような「あの女」、
その乱反射ぶりに、S子先生はつい、マネージャーとして
彼女を雇うことに。



しかしながら、海外の要人でさえ認める、どの業界でもスター的存在の
有能でモテモテなはずの彼女は、
アポ1つ満足に取れるわけでもなく、請求書1つ書けるわけではなく、
まったくといっても過言ではないほど、社会常識が無い。
また、マネージャーとしても、物忘れはひどく、取材前に読む資料も紛失、
当日は遅刻、どうにも使えないマネージャー。
自分は「○○で働いていた」と言うわりには、どうにもこうにも使えない。
また、多くの人をあきれさせたのが、
「○○という富豪に結婚を申し込まれた」だの、
とにかくそういった、常人が経験しえない華麗なる経歴を
機関銃のように話まくる。S子先生を押しのけて、
いかに「どれだけ私がいい女で、どれだけモテたか、どれだけ私が
スペシャルな女なのか、わかってますー???」と耳元で怒鳴られるような勢い。



がしかし、見た目はヒトメで整形(しかも安い)とわかるような
狂ったデッサンの顔、ロングヘアとは形だけのパサパサのヘア、
年甲斐もないローライズジーンズにTバック、
それだけ華麗なる生活、交友関係があるにもかかわらず、
ペラッペラの安い服装。

S子先生だけではなく、誰もが最初は、ある意味心を奪われる。
素敵!ではないけれど、異形のモノとして目が離せなくなる。
そして「まさか、大の大人が、こんな陳腐なウソをつかないだろう」と思い、
感心し、信じ、途中で「あれ?」と思っても、今度は信じた自分のコケンに
関わると恥ずかしく思い、怪しいところに目をつぶり、ご注進に耳をふさぐ。



彼女の怪しさが露呈したのは(露呈したのはずっと前だけど、S子先生が
認めたのは)、S子先生の周りに関して、彼女の虚言が始まったから。
それで、芋づる式にS子先生も開眼し、マネージャーを辞めていただくことに。
ちなみに「あの女」の、その輝かしい華麗なる経歴は、当然、「ウソ」、
そして、S子先生のところの給与もたっぷりあるのに、
何故か、特殊な趣向を持つ人のためのソープで働いていることも、
またS子先生と同じマンションに住んでいるのも、最初に会った日の後に
引越しをしてきたことがわかり、マンションの持ち主も、別な国の
ペーパーカンパニーであることがわかった。



しかしながら、その不気味であり、何だったんだ、この数年間?と思わせるような
出来事には、後々、さまざまなところで、さまざまな形で、
彼女の生霊の仕業としか思えない事が起きている。
もうお別れしてから既に数年たつというのに、いまだ、S子先生は
「あの女」の幻影に追われているのか、追っているのか。



そして、久しぶりに、その後の「あの女」についての情報が。
なんと、電話専門の占い師、○○先生となっていた。



そう、占い師。



昨今、芸能ニュースの話題をさらった
O(オー)というグループの、Nという女芸人が、占い師と称する女性と
同居し、仕事を無くし、家賃を滞納し、ようやっと最近、
縁を切り、洗脳された生活からリハビリしている、
その話題と、このS子先生の体験が、酷似しすぎて、同一の人ではないのか、
という噂で世間が盛り上がり、

今回、この「あの女」を緊急出版するにあたったわけで。



いや、これ、読んでみてくださいよ、面白いから。

それもね、私はですよ?「わー、怖い」と、他人事のように怖がれない。



こういう人に出会ってしまうのって、
少し前は志麻子先生のような、そして女芸人Nのような、
いわゆる著名人だけでしたよね?
または、世に知られないだけで、大金持ちとかね、狙われるのに
明確な理由が突出した方々。



しかしながら、たとえば、たとえばですよ、ブログをやっていたり、
SNSをやっていると、不特定多数の人と交流が発生します。
会ったことがない人、話したことがない人と、
ブログに書いてある記事や、本人の発言が
「ウソじゃない」という事をベースとして、
交流が始まる。



でも、よく考えると、それが「ウソじゃない」という証明は
なかなか出来ませんよね?
実際、リアルで会って話しても、確信できるものなんて、
無いわけですよ。時折、漏れたり、垣間見える
その人となりを知るにつれ深まっていくものであり、
人付き合いって、すごく時間がかかるのが常だったじゃないですか。
それがインターネットで交流サイト、自分を表現するサイトが出来る以前、
広がる以前の時間軸であり、そして距離感でもあったわけです。



が、交流サイト系に身をおくと、自ら進んで時間軸と距離感を
グイィッと縮めることが出来るし、一方、そのアタリを意識していない人にも、
そういうアグレッシブな人に近寄られてくる機会・余地を与えてしまいます。
だから、特に著名人や、人からうらやましがられる突出した理由がなくとも、
占い師とまではいかずとも、変な人に出会う機会が多くなったと思っています。



また、以前から、志麻子先生の作品が好きで、欠かさず読む私は、
志麻子先生の作品の多くが、この嘘つきの占い師をベースに書かれているので、
その人となり、どういうウソをつくか、どういう性格か、
志麻子先生の作品を通してですが、とても詳しいのです。
そうするとね、なんか、この占い師を彷彿させるブロガーさんやら、
異形だなぁと感じさせるブロガーさん(パンチドランカーみたいに同じことを繰り返すとか)、
イメージが重なる人って、たくさんいるんですよ。私が勝手に思っているだけで、
嘘つきじゃないかもしれないし、会えば案外、普通の常識人に思えるのかもしれない、
でも、「嘘つきじゃない」、「常識人じゃない」とも証明できない。


まぁ、シンプルに言えば、自己顕示欲が人より少し多く入ってまーす、みたいなの。
そういうブロガーさんを見つけると、ちょっと薄ら寒い気持ちに
させられるんですヨ。



ゴマブっこさんが書いている「あの女」、恋して我を忘れている女も、
やっぱり薄ら寒いものがありますが、この類の薄ら寒さはさ、いわば特殊、というより、
誰でも持っている習性でもあるし、ティーネージャーや20代、
若かりし時代は、そういう熱さ・暑さ・青さは誰しもが持っていたからね、
芯から冷えるこたぁ無いんですよ。



でもね、志麻子先生の「あの女」、
とことんわからない「あの女」ですけど、他人事のようで他人事じゃないような、
ケツの穴から立ち上る悪寒に見舞われる、そんな1冊です。



是非、悪寒を。