とうとうバイト先で、担当社員が変わってしまった。

本当に好きだった。

救われた。

父親であり、母親であった。

俺が、一人暮らしでもさみしくないも~ん

って言えちゃうのは、

この人のおかげだったかもしれない。

良い父親ってこういう人なんだろうなと思った。

ひそかに、息子になったつもりでいた。

朝から夜遅くまでバイトした。

あの人の下でならいくらでも働ける。

全然苦でもなんでもない。

もっと親しくなりたかった。

結婚していて、多分子供はいない。

夫婦で同じ会社で働いている。

いつか家に呼ばれて、

ご飯なんか食べたりして。

そんな妄想をよくした。

人を好きになるというのは

こういうことかと思った。

それまで、自分は運が悪いとずっと思ってたが、

気付いたらそんなこと考えなくなった。

それもあの人のおかげだったんだ。

学生時代、友達がいなかったとか、

偏屈だといわれていたとか、

一人でよく飲みにいったとかね。

仕事中の雑談で言っていたけど、

僕は、僕のために言ってくれているのだろうと、

勝手に解釈していましたよ。

似ているって思い込んで、そして嬉しかった。

冷静に見れば全然違うけど、

あの人と俺にしか見えてないものがあると思う。

あの人はいつも堂々としていて、

仕事も一番できるし、やさしくて、

人を強制するようなことをしない。

何度もご飯や飲みに連れて行ってもらった。

ご馳走様ですというと、

会社の伝統だから、お前ももし社会人になったら、

後輩におごってやるんだぞといつも言う。

それにしたってさ、

無口な俺と二人きりで食事するなんて、

俺だってやだもん。

部署の皆でアルバイト含めて飲み会をやったとき、

店を出て、帰る人と、二次会に行こうかという人がいるなか、

あの人は一人、会社へ、様子を見に戻っていった。

会では皆と楽しそうに騒いでいた。

普段、冗談ばかり言っている。

だけど責任があることを知っている。

というより、やっぱり好きなんだな。

そこもかっこいいし、好きなんだ。

ある日担当が変わることを聞かされて、

あのときはショックだったなぁ。

そして、今日、この日のために、

俺は意識がどうだの、

自信がどうのこうのって、

必死に考えてきたんだろう。

そう、考えてみればこの日のためだったかもな。

ふと出てきた言葉は、

なんとか、間に合ったみたい・・・

うん。

悲しかろうが寂しかろうが苦しかろうが、

真剣に生きよう。

今はそう思う。

思おうと思えば思えるよ。

俺が思えるんだから。