基本セット2021がアリーナやMOでリリースされましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕は異形化とルーカでワームを踏み倒すデッキを組んだところ、環境にサクリファイスが多すぎて心を折られました。
どんなに大きいクリーチャーも布告除去の前には無力なのだ……
さて、そんな好調な滑り出しで始まったM21環境。皆さんは使いたいカードを見つけましたか?8ウギンに4テフェリー、祭殿に白緑の巻き付き蛇、猫に犬……と、今回のセットには魅力的なカードが沢山収録されています。僕自身、1,2を争うレベルで使ってみたかった果敢も再録されましたし、かなりカードパワーの高いセットに感じられます。
僕も猫デッキや果敢デッキ、果てはならずもの部族デッキ等様々なデッキを組んでみたのですが、そんな中あるカードに目が留まりました。
そう、新しいリリアナです。僕自身はコンボデッキがめちゃくちゃ好きなので、こういった相手のリソースを削っていくようなデザインのカードは親の仇のように憎んでいるのですが、それはそれ。ただただ憎み続けているばかりでは争いは終わりません。まずは相手を理解するところからでしょう。今まであんなに嫌いだったハンデスも、2年間撃たれ続けて最早ふーん……くらいにしか思わなくなりました。「自分で使う」という次のステージへ進む時が来たのでしょう。なんかリリアナにしては悪い顔してなくてびっくりしたってのも正直あります。
さらにもう1つ、このカードに目をつけた理由があります。それは……
これ書いてあることヴェールのリリアナじゃない?
という、身も蓋もない考えからでした。1マナ重いとはいえ、プラスの文章はほぼ同じだし、小マイナスでボードに触れるのも同じだし(しかも4マナの方は白力線に引っかからない!)、奥義はまぁ……ヴェリアナのが強いけど……
というわけで、M21の4マナリリアナはスタンダード界のヴェリアナと言えるのではないか、と思ったわけです。
じゃあ、ヴェリアナが活躍している場所といえばどこだろう?と言うと、それは間違いなくモダンなわけで……
https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/288775/show/
そう、ジャンドデッキの中核を担っているわけです。つまり、このカードは「スタンダードでジャンドを再現してみろ」というウィザーズからのメッセージに違いないのです……!
ジャンドはモダンで活躍している黒赤緑のグッドスタッフデッキで、ハンデスや除去でじわじわと相手のリソースを削っていき、タルモゴイフやヴェリアナと言ったパワーカードで蓋をすることが目的です。いわばインタラクションの鬼のようなデッキ構成で、世界のあらゆるコンボデッキファンが恨んでいると言っても過言ではありません。今まで散々コンボデッキを組んできた自分がこんなデッキ(のパチモン)を使う日が来るとは思ってもいませんでしたが、デッキビルダーにおいて一番大事なことは様々なデッキを触ってみることです。たまにはこういうのもいいでしょう。
さて。4マナリリアナを使うにはジャンドのようなデッキ構成を目指すべきである、というのは方針として固まりました。では、ジャンドの中核を担っているのはヴェリアナの他に何がいるのでしょう?
まずは、ジャンドなら必ず4枚入っている「タルモゴイフ」。マジでこいつを見ないジャンドのリストはありません(当社調べ)。
その圧倒的なマナレシオによって、序盤の壁から終盤のフィニッシャーまでそつなくこなします。
次に、「稲妻」「致命的な一押し」と言った優秀な軽量除去。これによって相手の序盤の動きを妨害し、着実にボードを取っていきます。そして、「思考囲い」「コジレックの審問」と言った軽量ハンデス。こちらもリソースを削り、コントロールデッキの重要なスペルや、コンボデッキのキーカードを抜き去ります。
つまり、ジャンドというデッキは、「タルモゴイフ」「ヴェールのリリアナ」と言った強いカードを、ハンデスや除去でバックアップするデッキとも言えます。そう考えるとクロックパーミッションに近いのかもしれません(打ち消しがないからパーミッションではないけど)。
いやそもそもグッドスタッフってそういうもんじゃない?という気もしないでもないですが、それはそれとしてスタンダードでそれぞれに当てはまるカードを探していきましょう。まずはタルモゴイフ。
2マナ、墓地依存であり、サイズもデカい(多分)。こいつで決まりでしょう。マナ拘束もショックランドのある現スタンダードのマナベースなら問題ないでしょう。お前が令和のタルモゴイフや。
次に除去。ここは難しいところではありますが、スタンダードの除去といえばまずは「ショック」。
稲妻と同様クリーチャー選びの基準になっており、これは外すことができないカードでしょう。あとは黒から、「無情な行動」。
現環境に存在するクリーチャー除去カードで最も優秀と言っても過言ではありません。さながら致命的な一押し(2マナだけど)。
最後に、「暗殺者の戦利品」。モダンのジャンドにもたまに入っている、優秀な万能除去です。黒は古来よりエンチャントやアーティファクトに触れない色として有名なので、この手の万能除去は何枚か必要でしょう。
さて、あとはハンデススペル。スタンダードで見るハンデスと言えば、そう、
今見て知ったけどこれダクソスが死ぬシーンなのね
こちら。苦悶の悔恨。2マナというのは少々重いですが、脱出や「エルズペス、死に打ち克つ」と言った墓地利用系カードが跋扈する現環境では追放ハンデスは本当に偉いです。ソーサリータイミングとは言え最低でも墓地対策になるのもグッドポイント。僕も何度も墓地の「孤光のフェニックス」を追放されて悲しい思いをしました。
あとは「思考消去」「強迫」あたりなのですが、思考消去は色が合わないし、強迫はどちらかと言うとサイドカードなので、ここでは触れないことにします。
さて、デッキの核は概ね決まりました。あとはこいつらを詰め合わせて、強そうなカードを並べればデッキの完成です。
一応ほかのカードの解説を軽くしておきます。
軟泥くん。モダンのジャンドにも入ってる。墓地対策兼ライフゲイン要員。先述の通り現スタンには墓地を利用するデッキが多いので4積み。普通にクリーチャーとして強いですし。
モダンの(ry。序盤は手札を捨てさせつつ、中盤~終盤ではこっちの軽量スペルを餌に場に定着します。フィニッシャー。スタンの墓地肥え速度だと2回くらいしか帰ってこられないのが難点。アグロ相手には微妙で、かつ環境に緑入りのアグロがちょこちょこいるので3枚。そも1~2回しか帰ってこないので4積みしても仕方ないと言えばそうなんですよね。
追加の除去枠。ニッサやニッサ、あとニッサ等の初期忠誠度が高いPWは火力やコンバットでは落としきれないので、PWに当たる除去はかなり重宝します。暗殺者の戦利品増やしてもいいんだけど、ニッサとか使うようなランプデッキにあんまり土地あげるのも……というのもありこちらを多めに3枚。(一応書いておきますが、+から入ったテフェリーやその他PW、カウンターもりもりのクリーチャーをしばくのにも使えます。)
アグロ相手にいきなり2/3絆魂として出すことも結構あります。
お前は……ボブ!ボブじゃないか!
こっちじゃないイラストのが好きなんだけど探すのが面倒だった
ボブだけどレジェンダリーなので3枚。
(補足しておくと、実はジャンドカラーはハンドアドバンテージを取る手段に乏しく、たとえ土地だけでもトップから出せるというのは意外と大きいのです。さらに言えば、ショックで落ちないボディ、先制攻撃によるアタッカー適正、起動型能力によるフラッド受け……と、意外と器用なクリーチャーです。)
追加のヴェリアナ。ドローもできる器用な奴です。プレイヤーにダメージが通らないといけないので、到達持ちが出てきたらしっかり焼いてから出しましょう。樹上の草食獣にチャンプされたと思ったら返しで死んだりします。
いやぁまさにグッドスタッフ。強いカードしか入ってませんね。このデッキが弱いわけがない。
お前……お前は何だ?
言い訳をしますと、ジャンドのハンデスって大体囲い3審問3の6枚体制なんですね。でまぁ、除去とか増やしてもいいんだけどやっぱハンデス欲しい、できれば1~2マナでとなった時、今のカードプールだと強迫かこれの2択なんですよ。で、クリーチャー系のアグロやミッドレンジ相手に腐ると悲しいので、最低でもハンド1枚と2点のライフ差をつけてくれるこっちにしようと、そういう思考なんですね。こいつしかなかったんですよ。
最後にマナベースですが、まずクロクサとリリアナのために墓地を肥やしたいので寓話の小道は4枚。そこから、1ターン目に「ショック」、2ターン目に「漁る軟泥」、3ターン目に「迅速な終わり」がキャストできるよう調整しました。多分序盤の動きがカツカツだろう、ということで占術ランドは使わず、ショックランドをフル投入しました。
さて、カード紹介最後の1枚で途端に雲行きが怪しくなってきましたが、これでジャンドをスタンダードに落とし込むことに成功しました。俺が考えた最強のデッキ……こいつと一緒に、M21環境を駆け抜ける!
なんだそのやる気のないサイズは!
ウーロ入りデッキの墓地を肥やすんじゃない!
相手の6/6、落とせねぇ~!
4マナ目、出ねぇ~!
……散々な結果でした。まぁ正直ウーロに当たる除去は他にも沢山あるのでそこは(一応)いいのですが、他はかなり問題がありましたね。
まず、令和のタルモゴイフこと「悪魔の職工」。こいつは参照するのが「自分の墓地の」「クリーチャー」のみであるため、タルモゴイフみたいな圧倒的なサイズには成長しませんでした。せいぜいクロクサ1枚、軟泥くんの死体1枚で3/3とか。さらにクロクサと墓地を食い合うためあまり相性が良くないことも発覚。職工最強伝説は幕を下ろすこととなりました……。せめて相手の墓地も参照してくれたらなぁ。
次に、「悪意ある噂」。テキストの「1枚切削する」を軽く見ていたのですが、これによって墓地が肥えてウーロが帰ってくる事態が頻発。本来ハンデスを刺したいはずのランプやコントロールと友情コンボを演出してしまい、とんでもカードであることが明るみに出てしまいました。弱いのは分かってたけどね
さらに、マナベースの貧弱さ……というより土地の少なさも露呈。ミッドレンジだし24枚でええやろ!と思っていたのですが、思ったより4枚目が引けなかったり、それ以降が伸びなかったりと悩まされました。特に軟泥くんの起動コストが確保できないことが多く、「軟泥くんを出した上で1回追放を構えたい」という結構あるシチュエーションに対応できないことが多かったのが課題でした。あとはレギサウルス君のせいでハンドがないみたいなシーンが結構あるので、フラッド受け兼ハンド補充でロークスワイン城は欲しいな、と感じました。
また、薄々感づいていたのですがかなりアグロに弱いこともわかりました。こっちが1点払ってハンデスしてる間に相手は5点とか殴ってくるので当然と言えば当然ですが……やはり追加で1マナの除去が欲しい、と思いました。
しかし、弱いカードが分かったなら入れ替えるカードを探さなければなりません。新たな令和のタルモゴイフ、悪意ある噂の入れ替え先、マナベース……問題は山積みです。
流石にタルモゴイフは悪魔の職工以外いないだろ……と思っていたのですが、意外とスタンダードにもいるんですね。タルモゴイフ。
なんとクリーチャー以外も参照する優れもの。しかも飛んでいる。お前が令和のタルモゴイフや……
……というのは冗談で。(一応Sparkyくん相手に試してみたのですが、複数積みしている軽量スペルが多いことからあまり墓地に色々なマナコストがなく、かつ3ターン目最速出しだと2/2とかになってしまうので全くタルモゴイフではありませんでした。先出しして後からデカくなるタルモゴイフってすごいんだな……と改めて思い知らされました。)
一度冷静になりましょう。タルモゴイフに求められているのは圧倒的なマナレシオ。スタンダードにいる圧倒的なマナレシオのやつで、この色に合ってるクリーチャーと言えば……
当然こいつでしょう。3マナとは言え、毎ターンカード1枚というデメリットを補って余りあるスタッツ。正直リリアナやランクルで自分も手札を捨てるせいで手札がないこともよくあるので、言うほどデメリットは気になりません。見た目も気持ちタルモゴイフに似てるし、お前こそ令和のタルモゴイフだったんだなぁ……と感心させられました。
さて、では悪意ある噂問題を解決しましょう。先述した通りハンデススペルは現行スタンダードには無いので(厳密には死霊の金切り声というカードがあるのですが、相手が黒以外を捨てるとこっちも1枚捨てなければならないので、アドバンテージに乏しいこのデッキではかなり微妙です)、別のスペルに入れ替えるのが妥当でしょう。そこで、アグロ対策用の1マナ除去と入れ替えることにしました。黒の1マナ除去と言えば、そう……
こいつでしょう。インスタントであり、一応ショックと同じくらいの働きはしてくれます。破壊不能も倒せますし(タフ2の破壊不能がいるかは別として)。
といった様々なフィードバックを受けて、改良されたリストがこちら。
入れ替えカードは先述の通り。あとは土地を1枚増やしたかったので、寓話の小道から持ってこられるということで森を追加、4枚あった悪魔の職工を3枚のレギサウルスにしました。タルモゴイフ3枚のジャンドって見たことないけど、レギ君入れすぎると3マナが増えて重たくなってしまうのと、複数出しても維持がしんどいので……
これによってマナベースは大幅に改善。軟泥くんの能力分のマナもそこそこ出るようになりました。(本当にそこそこだけど)
というわけで、これが現時点での最新版ジャンド(スタンダードver.)です。まだ色々入れ替えの余地はあると思うので、ここからもっと改善してTier2くらいのデッキにはなれるといいな……と思っています。個々のカードパワーは高いわけだし。
また、地味にスタン落ちするカードが少ないので、ローテーション後もそこそこやれる気がしています。ショックランドとトロフィーが落ちちゃうのはかなり厳しいけど……まぁ、代わりのカードが来るでしょう。
ずらずら書いていたら随分長くなってしまいました。では、次はメインボードの洗練とサイドボード作りが終わったらお会いしましょう。












































































