１２年前、当時の彼の後輩が亡くなりました
ただ、会社の人が亡くなったから・・・というだけで、詳しい話は聞いていませんでした
彼のお母さんが旅行中だったのと 私の仕事が休みだったのとで、お葬式に参列する間 彼の家で待っていました
夕方になって帰宅した彼はとても疲れている様子で、そのまま２階の自室で眠ってしまいました
２時間くらいたって、夕飯も出来たので彼を起こそうと部屋に行きました
ドアを開けて右側に壁一面に窓があり（カーテンはありません）窓の外には高速道路のライトが まるで銀河のように見えます
その部屋のドアを開けたとき ソレは寝ている彼に覆いかぶさるようにしてボソボソと話をしていました
夜景を遮る様なピンク色の人型・・・あまりの違和感に自分の目が信じられず、何度も瞬きをしましたが、そのピンクのモノは実在していました
寝ている彼に耳打ちをするように覆いかぶさるソレの思念が頭に入ってきました
Sくん『ｏさん どうしたらいいんでしょう？こんなつもりは無かったんですようぅ・・彼女に上手く（嘘を）言ってくださいよ～ぅ』
私（あぁ・・この人Ｓ君だ・・彼と出会ったときに一緒に来てた 私と同い年の男の子・・・メガネかけてサラサラヘアーしてたなぁ）
ｓくん『ねぇｏさん どうやったら彼女の気持ちを戻せますかねぇ・・』
私（この人 まだそんなこと言ってる 誠意が無いなぁ 自分のことしか考えてない）
私「だって もう死んでるじゃん（呆れ声）」
Sくんの姿は消えました
私は彼を起こし、単刀直入に彼に言いました
私「ねぇ 亡くなったのＳ谷くんでしょ？」
彼「うん。Ｓ谷のこと知ってたっけ？」
私「うん。バイト先（赤坂のクラブ）にみんなで一緒に来たよ。 さっきOさんに覆いかぶさって『そんなつもりじゃ無い』とかメソメソ言ってたよ。浮気？」
彼「うん。 ３股だか４股かけてたのが本命にバレて、やめるって嘘ばかりいってたらしい。彼女に愛想をつかされて、別れ話が拗れて自殺したらしい」
私「自殺？変だな・・本人は全然そんな気は無かったみたいだよ。 まだ生きてて何とかしようと思ってるようだったもん」
彼「別れ話がモメて、じゃあ最後って事で写真とかを００川に捨てた時に『俺は終わりになんて出来ない！』って川に飛び込んだらしい・・・心臓発作で一瞬だったらしいよ」
私「そっか・・（カッコつければ彼女の気が変わると思ったんだ・・・つくづく自分勝手だな）」
夕飯を食べているときに本命の彼女さんのお父さんから電話がかかってきました
やりとりが所々耳に入ってきます・・様々なヴィジョンが見えました（アクセスしているのはＳ谷くんの思念のようです）
S谷くんは一見爽やかな真面目な好青年風の容姿です
学生時代から長年付き合った本命の彼女がいて、将来は結婚するつもりでいました
ですが、当時２５歳の彼は若かったのもあって、ナンパが楽しくて仕方がなかったようです
浮気についても「男の甲斐性」罪悪感とかはなく、ただ上手くやれればいい・・そう思っています
ナンパだけではなく数人の女性とも影で付き合っているようでした（Ｓ谷くんは軽い遊び相手だと思っています）
なんども浮気がバレて本命さんと喧嘩になり、本命さんはノイローゼのようになってしまい、何度か手首を切ったりしていた様です
それでもＳ谷君は『俺に惚れてるから大丈夫』と思っていたらしいのですが、最近になって本命さんに本気で別れ話を出されていたのだそうです（でも モメ事を嫌がって他を切らなかった）
Ｓ谷君のお葬式では ２番目の彼女が親族席に座り、彼の母親と一緒になって我が物顔で 憔悴しきった本命さんを攻めたのだそうです
「あんたが 殺したのよ！」
お門違いだと思うのですが、憎む相手が欲しかったのでしょう
周りを巻き込んで こんなに大変になっているのに・・・
当の本人は今でも「どうしましょう・・」などと自分勝手なことを言っている・・・私は思わず眉間が険しくなるばかりです
私はＳ谷君に同情する気にはなれず、思念を送ってきても冷たくあしらいました
ソレっきり思念は来なくなりました
後日 その日たまたま千葉に行っていた彼の友人のＤさんが、「仕事の帰りさ～００川の上でイキナリ車のドアが開いたんだよ！！運転してて事故るかと思った」
という話をしてくれました
「後ろの席が気持ち悪くて、なんでかｏの家に行かなきゃって思って家の前まで行ったんだけど、桂ちゃんが来てるって聞いてたから声掛けないで帰ったんだよ」
その話を聞いた彼の顔が引きつっていました