あなたに出会うのを待ってる
図書館が好きだ本当はずっと好きだったのだと思う。本を読むことが好きな子供だった。図書館にもよく連れて行ってもらったし、連れて行ってもらわなくても平気な年になっても、よく行っていた。だからたぶん、好きだったんだと思う。たぶん、とか、思う、というのは二十歳くらい、大学進学のために上京して、勉強もしないでバンドがたのしくなって、友達ができたあの頃から、すっかり行かなくなってしまったのだ。部屋は狭くて貧乏であることを自負していたから、本もなかなか買えなかった。買うなら、お気に入りのものをどうしても、と思えばやっぱりハードルは高かった。図書館が好きだ、と今確かに口にして、図書館が通いができているのは彼のおかげだ。今からたった数ヶ月前ではあるけれど、自分の在り方に、とても悩んでいた。悩みながらも、もがくようにうたうことだけを選んだ。何もなくても、進んでみよう。そこから考えていこう。弾き語りのライブの帰り、年上の男友達は、わたしにこう言ったのだ。「まつながちゃんスマホは、OSが低いと新しいアプリが入らないでしょう。人間だって同じだよ」衝撃だった。なんとわかりやすい例えだろう!!!ばかみたいな顔で頷くしかできなかった。そのとおりだと思った。次の休みに、わたしがしたことは図書館にいくことだった。何を学びたいか、どんなわたしになりたいのか、まだわからない。でも、家から歩けるところにあるらしい図書館にわたしは、この街に住んで何年か経つのに、行ったことがなかったのだ。懐かしさとときめきと、そんな風な自分への恥ずかしさを抱えて、図書館に向かった。あれからたった2ヶ月だけれどわたしは20冊以上の本を読んでいる。もちろん、もともと本を読むのが好きでそう、図書館の本は家に置く本を選ぶのと違ってざくざくと読み進めることができる。これは、わたしのお気に入りの一冊じゃないし待ち望んだ新刊のようにじっくり読まなくてもいい。貧乏根性の「元を取る」という気持ちも発揮しなくていい。図書館に通わないこの期間も、何冊か本を買ったのだけれどお気に入りのものばっかり、読みきれなかったりした。この本から何かを学ばなければ、と必死になってしまったのだ。理解できる自分で在りたい、と。図書館の本は、そういう見栄みたいなものを置き去りにしてくれた。だから、20冊も読めたんだと思う。図書館には膨大な本がある。選ぶのもめんどう、だとか「なりたい自分がわからなかったわたし」が、どうやって本を選んでいるのか。それに関しても、少し答えが見つかったから、あなたにも伝えたい。もともと、興味があるジャンルっていうのがあるんだよね。みんなまあ、それはあるんじゃないかと思うんです。手に入らなくても。まだ、自分はそんな知識もないからあこがれてるだけ、みたいな。わたしにはいくつかのジャンルがあって、広告マーケティング、心理学、ものの売り方とそのための考え方。たぶん、生徒会長をやっていた頃のわたしの考え方と変わらない。どう人の心を動かして、目的を達成させるのか。その中でわたしは「読める本」をしっかりと選んだ。そのジャンルではとにかく初心者で、もちろんみんな最初初心者なんだけど、みんな、なんとなく「憧れているだけだから自分には恐れ多い」の先の一歩を踏み込めずにいないか?その一歩を踏み出すために、専門知識がなくても読める、そのジャンルの「一般向け」の本を選ぶ。たとえば、「楽譜を読めるようになりたい」と言っていた友人に、ミッキーの絵が描いてある「楽譜の読み方」を貸したことがある。これなら彼にもわかるだろうし、「わからない!」とパニックになったり怖がったりすることもないだろう。そんな風な一冊を探している。当たり前だけど、最初から難しい本が読めるわけじゃない。最初はみんな、なーんにも知らないんだ。ちなみに、わたしが最初に選んだのはこれだったかなまずタイトルを見て、興味があるものを選ぶ。厚いのは疲れそうだから、あんまり選ばない。疲れそうなものを選ばない、というのもとても大切だ。わたしは、「字が大きくて、数ページおきにまとめがある本」または、「見開きでひとつの項目が完結する本」を選んでいた。これなら、電車の中の少しでも読みやすい。一項目くらいなら、すぐに読めちゃうということでハードルもさがった。あと、紙が薄くてあまり余白がない本ていうのがあって。それは、専門的なこと、ないしは専門的に見えることや難しそうなことが書いてある気がして!ほんとうかわからないけど。そういうのは、疲れそうだなあ、という理由で外していた。読みやすい本、ていうのが確かにある。「この話をみんなに聞いて欲しい」という本。本の中には「僕を好きな人だけ僕を選んで」という強い意志があるものも存在する。ということを知った。そういう本を我々初心者が選んでしまうと、「やっぱり難しくてなにを言っているかわからない」という恐れと「このジャンルは向いていなかったのかな」という寂しい結末を迎えてしまうのだ。友人の何人かに、本を読むのが苦手、という人がいるけれどそういう人は、自分の読みやすい本に出会っていないだけその出会い方を知らないんだだけじゃないかな、て今はそんな風に思っている。うたが嫌いで苦手でへたくそなわたしが、なぜそうなってしまったかって、うまくなるための練習方法と、うまくうたえるための曲を知らなかったからだ。文字はみんな読めるし、声はみんな出るわけだから、今すぐにでもきっとできる。知らないだけなのだ。じゃあみんな図書館に行こう!とか、そういう話じゃなくて。もやもやしてるなら、図書館はおすすめだよ~疲れた自分を自分で掬い上げることは、とてもたいへんだから、友達に話したりする。それと一緒で、新しい自分に出会う、そのためのひとつの、こんなゆかいでかんたんな選択肢を、ちょっと君に自慢したかっただけなのである。あの日、彼がわたしの世界を広げてくれたように世界を広げたい、そう願う誰かの世界の扉を今度はわたしがノックできたらいい。