さて、製品化の技術的な目途も立ち、知財管理も確立すれば、後は市場に打って出るだけですが、このためには、もう一つ必要なことがあります。

それは、その「製品」が、ちゃんと売れる「商品」にするということです。

具体的には、
①マーケティング(競合がいるのかどうか、いたとすれば、対抗戦略をどうするか;どのような顧客をターゲットにするか、B to Bか B to Cか、適正価格はどの範囲か;現市場の大きさはどれくらいで、それが新商品の投入により、どの程度まで成長するか)
②デザイン(ターゲットにマッチした商品のサイズ、外観、機能、法的制限)
③販売ルート(代理店か直販か)

最低、上記のようなことを考えておかないと、製品にはしたものの商品にはならない、ということが多々起こります。

また、これらは、製品化の後に時系列的に行うのではなく、商品開発の最初の段階から、並行して取り組んでおくべきものだと思います。

ここまで、一連の商品開発の流れを簡単に説明してきましたが、次回以降は、具体的な事例を元に、もう少し掘り下げて考えていきましょう。

技術のよろず屋 株式会社 半一
代表 坂本仁志

今日は、商品開発を進める上で必要な「知財管理」について考えてみましょう。


知財とは知的財産、つまり特許や実用新案だけではなく、文書化されていない、単なるアイディアからノウハウも含めたものを言います。


商品開発を進めれば、当然、知的財産が生まれます。


中小企業においては、特許登録に至るまでにかかる費用が莫大なため、出願せずにブラックボックス化を図るところが多いようですが、商品として世の中に出し、売れるようになってくると、回りが放っておきません。


当然、他社が模倣しますし、特許侵害で訴えてくる企業も出てきます。このような事態を避けるために、つまり事業の防衛のために、特許というものは非常に重要な役目を果たします。


また、有効な特許を積極的に他社に活用させる、つまり権利許諾することにより、商品の世の中への拡散を加速させることができます。これは、攻めの知財管理ですね。


一方で、決して公表してはいけない知財もあります。非常に特殊な作り方の手順や鼻薬的なものがそれです。これらは、きちんと文書化して技術の承継に備えるとともに、その文書にタイムスタンプを押し、先使用の証拠を残しておく必要があります。


先使用の証拠さえあれば、仮に他社が同じ内容で出願しようとしても、それに異議を唱えることができます。


いずれにしても、他社の動きや商品情報を常につかんでおくことは重要なので、特許を始めとした調査活動は定常的に行っておくべきです。



技術のよろず屋 株式会社 半一

代表 坂本仁志

さて、開発のテーマが決まりました。


ここからは、弊社での具体的例でご説明しましょう。テーマは、「ナノバブル発生装置」です。


ナノバブル、つまりナノメートル(1/1000000000 メートル;髪の毛の太さは1/10000 メートル)サイズの泡を発生する装置です。


これは、超精密洗浄や動植物の成長促進への応用が期待されるものですが、弊社は、東北大学・庭野教授の基本プロセス技術をベースに、低コストなナノバブル発生装置への展開を計画しました。


これはプロジェクトですから、必要な「予算」の中で必要な「人員」を確保し、ある決まった「期間」で開発を進めなければなりません。


予算は、1/3を自己負担、2/3を助成金で賄うべく、日本政策金融公庫からの融資と、新技術開発財団からの助成を目指すこととしました。その結果、商品企画と事業計画のプレゼンにより、両者からの資金調達に成功しました(http://www.sgkz.or.jp/project/newtech/85/document_05.html )。


人員は、計画以前に庭野教授の研究室から人材を獲得しており、さらに化学系のポスドクを採用することにより、陣容を強化しました。


期間は、開発に2年、商品化に2年+αを想定し、現在、若干の遅れはあるものの、デモ機供給にまで到達しています。


企業の大きさに関わらず、日本人は、なぜかプロジェクト運営があまり上手ではありません。


既存の商品を受注して、その納期を管理することはできますが、問題が次々と発生する商品開発においては、なかなかスムーズに開発を進めることができないようです。


これは、単なるプロジェクト運営だけの問題ではなく、その商品開発にかける情熱や執念が不足しているせいではないかと、個人的には考えています。


次回は、商品開発と並行して進めなければならない、知財管理について述べたいと思います。


技術のよろず屋 株式会社 半一

代表取締役 坂本仁志