椰子・椰子 | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

椰子・椰子 (新潮文庫)/川上 弘美
¥500
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あっという間に早、7月です。

先月末は珍しく仕事が立て込んで、音楽のほうも趣味の領域を逸脱する忙しさ・・・サッカーの試合を見てるわけでもないのに、毎晩続く寝不足。おまけによせばいいのに週末に痛飲するもんだから、その余波で平日の昼間がヘロヘロです。キンドルを持ち歩いても、電車の中で気を失ってちゃ、読み進められるはずがありません。ウィリアム・ギブソン、面白いんだけどね・・・


これじゃあ、いけない!と思って、原書購読はお休みし、軽い日本語の文庫を数冊、買ってみました。(ほんとは生活を根本から改善すべきなんですけどね・・・)


いやーすごい。川上弘美さん、やっぱり天才。メッチャクチャな話なのに、すんなり「まあ、これもありね」と思わせるこの技量。ただものでない言語感覚と発想力。そして、平常心。


タイトルからして人を食っています。「やし・やし」って何なのよ?!


構成としては「夢日記」のようなかたちで、1月1日から12月の暮れまでの、短い文章が綴られていて、間と最後にちょっとした掌編小説?が2つ入っています。


元日からいきなり、「もぐらと一緒に写真をとる。」で始まります。文庫の表紙絵は、そのもぐらなんだけど、山口マオ氏のイラストもあいまって、超常世界ともいうべき奇天烈な物語の中に、何の違和感も無理もなく読者を連れて行きます。ま、違和感ある読者もいるかもしれないか。


主人公の女性は、料理をしたり洗濯物をたたんだり、ごくごく普通に生活を送っているようでありつつ、冬眠(松が明けたら節分頃まで)したり、ベランダに来る鳥の「ジャンとルイ」に翻弄されたり、古い友達の「山本アユミミ」と旅に出たり、町内会の副会長を兼務している「殿様」の訪問を受けたり、します。子供がふたりぐらいいるようですが、出かけるときには彼らを「きちんとたたんで押入れにしまっ」ちゃうし、夫がいても、「長い間の片思いをしている人」といそいそとデートに出かけたり、恋人ができて有頂天になって彼の肩に「とりついたり」します。もう自由自在。


これ以上この面白さを言葉で解説することは私には無理なので、興味を持った方は勝手に読んでみてください。

ちょっとだけ梅雨の蒸し暑さが忘れられるかもしれません。