UR | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

UR/Stephen King
¥1,438
Amazon.co.jp

ついに!キンドルです、キンドル!

水曜夕方にamazon.comにオーダーして、金曜午後にはもうアメリカから届いた!速い!


しかも、電源つないだらすぐにWifi対応してくれるんで、あっという間に何冊もダウンロードしちゃいました。

これはキングがキンドルのためだけに書き下ろしたという短編。4.99ドルでした。


しかも、内容がまたお誂え向き。

35歳にしてどちらかというと旧式・アナログな英文学教師ウェズレーが、恋人に振られた勢いでキンドルを注文する、というお話なのです。本は本屋で買ってこそ本だぜ!って信じていた彼は、いつか自分も小説を書くんだ、と言ってるだけでいつまでもその「いつか」が来ないモラトリアム青年。彼女と喧嘩して、捨て台詞に「本なんかPCで読んだらいいでしょ!」と言われてしまいます。その後、講義の最中に、携帯電話だかゲーム機だか知らないけど遊んでる学生がいる!こら!って取り上げようとしたら、「先生、これキンドルですよ、僕はちゃんと授業の課題作品を読んでるんですよ!」って言われてびっくり。

心の片隅で、別れた彼女を取り戻したい、という計算も働いて、ついにウェズレーはキンドルデビューを果たすのでした。


ところが、届いたキンドルはなぜかピンク色。(実際にはアマゾンのキンドルには白しかありません)

ボタンを押しているうちに、不思議な「UR」というカテゴリーにたどりつきます。

この「UR Book」にアクセスすると、ヘミングウェイの生年や没年が事実と違うことに気づくウェズレー。しかも、聞いたこともない未発表作品がいくつも紹介されています。ほかの作家で試してみても、ちょっとずつ没年齢がずれていて、その空白の間に何作も知らない小説が発表されている。ダウンロードして読んでみると、どれもその作家の文体としか思えないリアリティがある!いったいどうなってんだこれ?!・・・ってな具合で、彼はキンドル、もとい、URの世界にのめり込んでいきます。


さらに、URには新聞記事のアーカイブがあり、彼が認識している史実とは異なるニュースが、複数のUR上に展開されていることもわかります。自分がおかしくなりかけているのか、URがどうかしているのか?やがて彼は同僚や学生も巻き込んで、URの深い闇に入り込んでいくのでした。URによってはヒラリーが大統領になってたり、JFKは暗殺されていなかったり、果てには、とんでもない大惨事で歴史が途絶していたり・・・


とどめは「プレ・アーカイブ」。要するに、これから起こる近未来を予測した記事のアーカイブというわけなんですが、そこで恐ろしい記事を見てしまったウェズレーたちは、なんとかその出来事を阻止しようとして・・・


途中で何度か、「本当はURのカテゴリーが私のキンドルにもあるんじゃないか」と気になって探しちゃったりして、かなりワクワクする体験でした。ちなみに、URというのは「プリミティブな」という意味なんだそうです。


キンドル君によって、きっとこれからの読書生活が、ドラスティックに変わっちゃいますねー。