More Twisted | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

Jeffery Deaver
More Twisted

リンカーン・ライムシリーズでおなじみの、ジェフリー・ディーバーの短編集。

2003年に出たTwisted の続編です。「もっと、ねじれてる」話ばっかり16作。


突然ですが、ピラティスのエクササイズで「スパイン・ツイスト」というものがあります。簡単にいうと背骨をねじる運動。しかし、まずは背骨をまっすぐに立てた状態を作り、骨盤から下を固定した上で、ウエスト⇒胸⇒首、と横にねじっていく、これがなかなか難しいのです。ちゃんとやっているつもりでも、ちょっと背中が曲がっていたり、骨盤が動いてしまったりすると効果がないらしい。


何を言いたかったかというと、「ツイスト」が効力を発するのは、もとの「まっすぐ」な状態があってこそ!ということ。つまり、正統派ミステリ、王道の謎解き、サスペンスの定石、こういうものがきちんと整っているから、「ねじれ」が生じたときに「うわああっ」となるわけです。ね。


それでこの本。全体の感想としては、前作に比べて毒気が少なめ、おとなしめ。

その中にあって、私が一番「うわああっ」と思ったのが、【Born Bad】というお話でした。50代の主婦が、幼かった娘を育てたときの思い出に浸りながら、悔恨に暮れています。可愛かった娘は、親に反発して全く言うことを聞かなくなり、やがては家を出てしまった。いったい自分は何を間違えたのか・・・そして、もう何年も音沙汰のなかった娘から電話がかかり、訪ねてくることになるのですが、彼女の目的とは果たして・・・秀逸です。


他に、青髭を思わせるゴシックホラー調が一転する【Afraid】も面白かった。リンカーン・ライムが出てくるサービス編もあり、なんとシャーロック・ホームズとワトソンが出てくるお話もあります。