Transgressions(4) | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

Stephen King, John Farris, Ed McBain
Transgressions: The Things They Left Behind / the Ransome Women (Transgressions)

去年初めて読んだアンソロジーTransgressions なんですが、何しろ一冊にまとまっていないので、なかなか10人分の全作を読むことができず、マクベイン、ディーヴァー、オーツのあと、1年あいて発見したのがこれ。スティーブン・キングとジョン・ファリスの短編です。


先にキングの作品The Things They Left Behindが収録されており、これはとても短いものです。NYに暮らす主人公は、ある日、死んだはずの女性のサングラスを自分の部屋で見つけます。激しく動揺する彼の様子を読んで、「なるほど、殺した相手の遺留品がでてきたのね」と思うも、とんだ早合点。サングラスだけでなく、バットとかほら貝とか、果てはブーブークッションとか、ヘンテコなガラクタはすべて、彼のもと同僚たちがオフィスにおいてあったものばかり。

そう、これは9.11で勤め先と同僚すべてを失った男性の物語なのでした。たまたまその日の朝、「さぼっちゃえ!休んじゃえ!」という内なる声?にそそのかされて、その通り会社を休んだ彼は、公園でホッケーをしていて難を逃れます。

何の前触れもなく、突然に訪れた仲間達との別れ。ズルした自分だけが生き残ってしまった罪悪感。

そんな彼に、現れたガラクタたちは、何かを訴えかけようとしているのか・・・というお話。結構しみます。


そしてファリスの「The Ransome Women」。こっちはわりと穏やかに始まるので、油断していて途中でゾーって感じ。

自らも絵を描く美女、エコーは、あこがれの画家ランサムに見出され、絵のモデルにならないかと持ちかけられます。1年間、家族や恋人と遮断され、小さな島でランサムと暮らすことが条件。当然、婚約者のピーターは猛反対するのですが、そんな反対を押し切って出かけてしまうエコー。ランサムは寡作で知られ、常に美しい女性をモデルに肖像画を発表し続けているものの、モデルの名前や詳細は明かさない秘密主義者です。警察官でもあるピーターは、嫉妬と疑惑にかられ、エコーの先代のモデルたちを訪ね歩くのですが、なんと!!あーこわ。


今月は過密スケジュールのわりに、いつもより本がよく読めました。

電車で外出することが多かったせいかもしれない・・・