- Stephen King, John Farris, Ed McBain
- Transgressions: The Things They Left Behind / the Ransome Women (Transgressions)
去年初めて読んだアンソロジーTransgressions なんですが、何しろ一冊にまとまっていないので、なかなか10人分の全作を読むことができず、マクベイン、ディーヴァー、オーツのあと、1年あいて発見したのがこれ。スティーブン・キングとジョン・ファリスの短編です。
先にキングの作品The Things They Left Behindが収録されており、これはとても短いものです。NYに暮らす主人公は、ある日、死んだはずの女性のサングラスを自分の部屋で見つけます。激しく動揺する彼の様子を読んで、「なるほど、殺した相手の遺留品がでてきたのね」と思うも、とんだ早合点。サングラスだけでなく、バットとかほら貝とか、果てはブーブークッションとか、ヘンテコなガラクタはすべて、彼のもと同僚たちがオフィスにおいてあったものばかり。
そう、これは9.11で勤め先と同僚すべてを失った男性の物語なのでした。たまたまその日の朝、「さぼっちゃえ!休んじゃえ!」という内なる声?にそそのかされて、その通り会社を休んだ彼は、公園でホッケーをしていて難を逃れます。
何の前触れもなく、突然に訪れた仲間達との別れ。ズルした自分だけが生き残ってしまった罪悪感。
そんな彼に、現れたガラクタたちは、何かを訴えかけようとしているのか・・・というお話。結構しみます。
そしてファリスの「The Ransome Women」。こっちはわりと穏やかに始まるので、油断していて途中でゾーって感じ。
自らも絵を描く美女、エコーは、あこがれの画家ランサムに見出され、絵のモデルにならないかと持ちかけられます。1年間、家族や恋人と遮断され、小さな島でランサムと暮らすことが条件。当然、婚約者のピーターは猛反対するのですが、そんな反対を押し切って出かけてしまうエコー。ランサムは寡作で知られ、常に美しい女性をモデルに肖像画を発表し続けているものの、モデルの名前や詳細は明かさない秘密主義者です。警察官でもあるピーターは、嫉妬と疑惑にかられ、エコーの先代のモデルたちを訪ね歩くのですが、なんと!!あーこわ。
今月は過密スケジュールのわりに、いつもより本がよく読めました。
電車で外出することが多かったせいかもしれない・・・