つーの先輩からの 連絡は


その日の夜 


すぐくれた


「聞いたんですけど


やっぱり一人で行くって言ってました


子供の病院のこととか


調べてみて


どのくらいいるか わかんないけど


1,2年したら 多分戻ってくると」



つーが尊敬している


この先輩に


そういった


なら


本当だ


でも ひとつ


子供のことで 行くんじゃないけどねあせる


それは


勤務先のダレもが


知らされていないこと


あたしだけが知っている


あほな秘密



有難うございました


聞いてくれて



お礼をいい


電話を切った





とりあえず


それだけ聞いて


ほっとした




現状 夫婦仲がよくないのは


確信した





そんな中


つーは 転勤していった





電話では


とても元気で 家族と離れて暮らすのが


楽しそうに


聞こえた


早く戻ってきて・・・などと


べそをかくものなら


切るぞ とも言わず


切られた



離れてから


3週間ほど



彼のもとへ行くことにした



つーの 日曜日休みにあわせ


支度をした


「気をつけて来いよ」


そんなに 嬉しそうでもない声


そんなモンなのか





私は


逢いたい・・・・


顔が見たい・・・・


手をつなぎたい・・・




それだけだった





土曜の午後


出発車




2時間くらいは


道は分かる



問題はその先だ


途中のコンビニで


地図を買った




不安ながらも


好きな人に逢える


その気持ちで


いっぱいで


こんなに頑張っている自分が


とても


可愛い・・・


と同時に


なんてバカなんだ・・・



と 痛感しきり



前につーと一緒に来たときの


風景なぞ


まったく


覚えていなかった


ただひたすらに走った


路肩に止まり


地図と 青い標識を見比べ


懸命に


走った



4時間ほど走ると


つーから電話が来た



びぇ~っ


どこ向かえばいいのぉ~?



でも


時間が過ぎると同時に


車も走っていると


何とか


たどり着けた


携帯着いたよ着いたよ


つーのいる町まで


入ってきたよ



それが


夕方7時




「服でも見て待ってて


土曜だから


早く仕事終わるよドキドキ


なんていっってたのに



もう9時過ぎていた


一人で


ご飯も食べずに


お店でうろうろし


時間を潰した






やっぱり


あたし来るの


そんなに楽しみじゃないんだ・・・



一人で涙をこらえていた





結局


つーが来たのは


10時を過ぎていた



毎日 身に付けていた


おそろいのリングを



奪還


された




わたしが 指にはめたいのは


彼にもらった おそろいのものだけ


それだけだったのに・・・




もうしょうがない


彼の気持ちが 


離れていっているのは


こんなことでも 充分感じ取れる




あきらめられないんだから しょうがない




でも 連絡を取ることが


悲しさで 苦痛になっていた


メールをしても


返事は来ない


夏から 秋にかけて


5ヶ月間 一度も返事をくれなかった

(電話を週一くらいにくれるだけ)




いなくなってもしょうがない相手だと


充分承知している




楽しかった頃のことだけ


思い出残して


一人になろう


一番初めにくれた 指輪


あれがあれば 


生きていける



一ヶ月後



空っぽになった 指に


思い出を いつも付けておこうと


タンスの扉を 開けた


ごそごそ・・


・・・・・


・・・・!!!!!!!




やられた


他に つーが嫁にあげたリングも


何個かあったが


ほぼ




絶句した




いつの間に・・・?




ようやく思い出したのは


指輪を持っていかれたあの日を


さかのぼること 1ヶ月


つーは 


お泊りにきていた・・・



あのときしか


ないっ



いつも私より早く


お風呂から出るのだが


そのときは


やけに さっさと 風呂を済ませていた



そして 上がり際のわたしに


「おまえんとこに オレのパステルカラーのシャツ きてねー??」


私が以前つーの家から


持ってきていたシャツのこと


来てないと思うよ?


ぜんぜん 見てないし


と しらを切った




とまあ そんな話をしたとき


彼は すでに奪還済みだったのだ


怒りなのか何なのか


ぷるぷる 震えていた


直接話しても


しらを切られる だけ




メールを入れた



あれを あの指輪を


持っていかれるとは


思わなかったよ


あれだけは 


つーの


純粋に 


私を好きになってくれた気持ちの


証だと思っていた



とても 悲しいよ・・・




返事はなかった



絶望感を


ひさびさに 味わった


妻子持ちが


判明したときも


あじわった



もう慣れっこと思っていたが



苦しい・・









これが


去年の秋の出来事です。


次回は


過去の転勤話になります。









11月の末


久しぶりに


仕事中に


ご飯を 食べにうちに来ていた


たった1時間半くらいしか居ないけど


嬉しかった





つーの転勤先に行ったとき


前回のデートで


ごねた私に


「指輪買いに行こう!」


そう言って


シルバーアクセサリーのショップへ


連れて行ってくれた


お揃いの 


リング 買ってくれた






ご飯を食べ 


二人でテレビを見ていた


時間がないつーは


私を抱き寄せ


愛撫してくれた



そのとき


テレビの前にいつも置いていた


あのときのリング


・・あ するの忘れた・・・


つーに会うときは


いつもしようと思ってたのに・・・




そう思いながら


彼との立ちバックで


あえぎながらも 


つかの間の 


幸せを感じていた




「じゃ 行くわ」


そう言って


彼は仕事に戻った


やっぱり寂しくて


しばらく


ボーっとしていた




・・・あれっ?


あの指輪が  なあい~!!





だって 来た時に


それを見て


あ 忘れた と思い


彼に突かれてるときも


それを見たのに



何で ないのよっ!!!




考えられるのは


ひとつだけ



私を壁に立たせた時


持っていったんだ



怒りがこみ上げてきた




即電話した



つー?

 

さっき 指輪持ってったでしょ・・・


「は? 俺持ってるんだぜ? 何言ってんの?


よく探してみろよ その辺」



あるわけないでしょっ!


どこにも 動かしてないのに


無くなってるんだから




・・・誰にあげるの・・・?



「しらねーよ とにかくよく探してみな!」


そう言って


電話を切られた






つーの嫁と


同じことされた・・・・


女に 


自分が買ったあげたものは


また誰かにあげたくなると



それを取りに来る






ありえねーと思いません?




あれだけ 嫁を 


何ともおもわねー


と言っていた


つーに


嫁と 同じ扱われ方をされてしまった





彼の気持ちが


見えたような気がした






そして私は


一ヵ月後に


また どん底に落とされるのである