つーがやってきたのは


10時半を過ぎていた




姿を見つけたときは


人目はばからず


飛びつきたっかった



顔を見てしまえば


もう


嬉しさでいっぱい






「腹減ったあ~  


焼肉食いにいこドキドキ




ズボンのポケット


手を突っ込んでいる腕に


手をくぐらせた




ほんとに嬉しかった






つーの車で


地元では有名な


焼肉やさんに 連れて行ってくれた



中に入り


真向かいで見る つーの顔は


少し頬が こけていた気がした




「いっぱいたべていい?かお



いくら 地元とはいえ


毎晩 豪勢な食事をしているわけもなく


おまけに


給料は


嫁が 


さくっと


お小遣いを残して


下ろしてしまう



自由になるお金などないのだ



さんざん


騙されて 無心されても


好きな人が


辛い生活をしている


それを思うだけで



お腹いっぱい食べなねニコニコ



口からこぼれる




やっぱり


私は バカなのねガクリ





さんざん


食い尽くしたようで


お腹がきついと


顔をしかめる



そんなお顔を見ているのも


嬉しかった






うれしくてうれしくて




この地に


引っ越そうかと


思ったりしてみたが


子供のこと


仕事のこと


何より


彼は いずれ


また嫁の住む家へ


戻るのだ


そう思うと


また切ない自分の立場を


嫌と言うほど


思い尽くしていた