日々、折々…

日々、折々…

折々に浮かびくることをとりとめもなくつづってみました 風の音を聴きながら…

 野をわたる風、林を通ってくる風・・・

 思い浮かんだあれやこれやを、書き綴ってみました

 風の音をききながら・・・


舘野泉著 絶望している暇はない 「左手のピアニスト」の超前向き思考 小学館


 舘野泉さんは80歳を超えてなお、ピアニストとして国内外で年間50回ほどのコンサートを行う

 舘野さんはフィンランドに拠点を置き国際的に音楽活動を行ってきたが、2002年にヘルシンキでのリサイタル中に脳溢血で倒れ、右手の自由を失ってしまった しかし、2年後に左手だけで演奏を行うピアニストとしての活動を始める

 舘野泉さんの奏でるピアノにいつも「自然」や「あたたかさ」を感じていた それは舘野さんの愛する北欧フィンランドの人々の生き方や歴史的なこととも大きく関わっているのだろう そして、楽譜から読みとり奏でる一音一音を慈しみ、その音と触れ合うその一瞬一瞬が「生きること」なのだと改めて感じた 

 音楽の演奏では楽譜書かれたことの「再現」をおこなう 実は、楽譜に書かれたことを再現しているように見えて再現ではない その時代に生きた作曲家が楽譜にこめた(記録した)ものをいま生きている私たちが蘇らせたり、命を吹き込んだりしているのであって、決して再現などではない 正しく演奏することと再現とは似て非なるものである 再現するならAI殿にまかしたらいい 人間がやるよりもきちっと再現してくれるだろう 生きる私たちがその音一つ一つと向き合い、奏で、歌うことが「生きる」ということそのものではないのだろうか

 しかしまあ、この本のサブタイトルの「超前向き思考」には苦笑させられる 確かに今の日本のスタンダードからすれば「超前向き」となるのかもしれないが、この本からはそんなことは一切香ってこない むしろ、自由とはなにか、生きるとはどういうことなのかが全編を通してさりげなく語られている 私の頭の中には自由(liberal)という概念がいつも浮かんでいた

 そう!自由、愛こそが音楽の本質ではないだろうか