大衆演劇梅南座・嵐瞳劇6/26芝居感想 | BOOのなみはや国風土記

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第2部お芝居は、峠の茶屋。

 おせいに手紙が来た。息子の清次郎からだ。悪さをして裏と飛び出したが、江戸で真面目に働き100両貯めて帰ってくるみたいだ。喜ぶおせい。そこに金貸しの金兵衛が。貸した金を返せときた。息子がもうすぐ帰ってくるので、もう少し待ってくれというが、悪さをして飛び出した息子このことは信用できないと言われ、娘のおみつを連れ去られようとしたところ、旅人吉蔵が割って入った。借りた金は5両。吉蔵は金を返した。礼を言う親子。どちらまでとおせいが聞くとあの山超えた麓ですと。おっ母さんが死んだんで、墓を立て墓守をしようと。それならひと晩泊まってくださいというが、あっしの顔が怖くないんですかい。吉蔵の顔半分に痣がある。それで、苦労した一生を送ってきた。いじめられ、金が無くなれば疑われる。そんなあっしを泊めてくださるんでぃ。今にも泣きださんような顔で礼をいい、いつでも出て行けと言われれば出ていきますので、といい家の中へ。

 しばらくすると戸を叩く音が。おみつが出ると、そこには兄清次郎が。手を取り合う親子。おせいはおみつに急かされ、100両見てみたいといった。顔が曇る清次郎。実は金を取られたという。怒ったおせい。お前やっぱり嘘をついていたんだね。今までのことを話す清次郎。村の公金を捕って江戸に逃げたが、金が無くなり、大川に身を投げようとしたところ、伊勢屋の旦那に拾われた。一所懸命働き、蔵の鍵を預かる番頭までになった。やめるとき、貯めた金20両、今まで働いた褒美だと10両、あわせて30両もって帰ってきてた。ところが峠の茶屋で盗られた。信じられない、真面目に働いた証拠をお出し。無いなら村から出ておいき。すがる清次郎を払おうとしたとき手が触れた。お前、そろばんタコに、筆タコ。1日2日で付くもんじゃない。真面目に働いたんだねぇ。あいつが盗ったんだ。先になったり後ろになったり。つけていたんだ。顔に大きなあざのあるやつ。おみつが、あっ、家に泊まっている。馬鹿なこと言うもんじゃない。あの人はいい人だよ。出てきた吉蔵に、コイツだコイツがとったんだ。何を言ってるんだ、オメェさんとは会うのが初めてだ。峠の茶屋で荷物をすり替えたんだ。何をてめぇと怒りに任せて殴りつけ、もし俺の荷物から金が出てきたらいくらでも誤ってやる。おっ母さんの位牌が出てきたときは、お袋さん、あっしはゆるしませんよ。振分け荷物に短刀を突きたて、どこにあるんだほら、どこにあるん・・・。なにか硬い感触。突き破れば中から小判が。それを拾い集め清次郎に手渡す。清次郎はおっ母さんに手渡す。清次郎の荷物を開けると、おっ母さんの位牌が。手ぬぐいで大事に懐にしまい、短刀をみんなに差し出し、討てと言う。おせいは、誠治郎から1両受け取り、吉蔵に返す。涙ながらに受け取る吉蔵。吉蔵は、そのまま家に帰るつもりだが、雨が。そっと傘をさし出す清次郎。それを受け取り、雨風の強い中、家路に急ぐ吉蔵だった。

 この間記事に書いたGHQの検閲の中にあった芝居で、恐らく戦前からある代物。粗筋は他劇団からコピペ。長いこと観てなかったんでこの芝居見たかった。休みの日で良かったで。

 人間の業を表している。特徴のある人物は記憶に残るものや。ところが普通の人は記憶に残らん。それがセリフに現れている。吉蔵の台詞にも前フリが有り、それが後から効いてる。ただ荷物を取り違えただけなんやが、人相が悪い奴は、悪いことをするという人間が持つ固定観念が生んだ悲劇。盗ったんじゃ無いことを知ってる母親はそっと金を返す。おっ母さん役の高野花子が見事に演じた。ちょっと残念なのはお金の単位が大きすぎる。本人も言ってたが、100両なら重さでわかる。2・30両なら分からんでもない。

 座長が言うてたが、最近はこういった芝居はあまり受けない。残念な話や。芝居好きが減って芝居のいい劇団を支えきれてない。そのへんが問題。今回は出来んかったか、前やってた長谷川伸日などを復活してほしい。お芝居みたい人もおるんやから。

ほんじゃ