大衆演劇此花演劇館・劇団松丸家4/29千秋楽芝居感想 | BOOのなみはや国風土記

BOOのなみはや国風土記

日々の出来事(主に大衆演劇、スポーツ観戦、買い物、音楽など書いてきます。コメント、ペタをいただけたら嬉しいです。

第2部お芝居は、幻の八九三。ゲスト澤村玄武

 韮山の宿に住む伊之助は、こともあろうか土地の代官と結託して所場代と冥加金(営業税)を集めて堅気に嫌われている土地の親分権助に身内にして欲しいと頼み込む。「親分みたいな日本一のやくざになりたいんだ。」「おめぇの兄貴は俺の子分を5人も叩き斬ったやつだぞ。そんなやつを身内に加えることはできん。」お世辞を言われその気になった権助は、「10両持ってこい。俺の小遣いにするんじゃねぇ。その金で親分衆にあいさつ回りするんだ」金を作ってくるとその場を離れる。

 茶店で目明しの治平が腰を下ろす。「茶を二つくれ。なぁにもうすぐ連れが来る。」暫くすると旅烏風情が。「馬篭の伊三郎さんで。茶でも飲んでいってくれ。凶状持ちのお前さんを江戸ならしょっ引くがここは韮山だ。取って食おうと言ってるんじゃねぇ。俺はこの土地出身の与力様に頼まれてきた。何でも土地のやくざ者と代官所の者が結託して堅気衆を泣かしていると言う。」伊三郎は耳も貸さす、茶店の娘を呼び、近況を聞いた。「伊三郎さん、すぐに旅立った方がいいですよ。弟さんがやくざになりたいって権助に頼み込んでたから。」それを聞いた伊三郎は旅立つと言ってその場を離れた。



 しかし伊三郎は年老いた父親を一目見ようと経営する居酒屋に。しかに見つかってしまい、母親に線香をあげに奥の部屋に。そのあと来た伊之助。10両くれと言ってないと答えると家探し。「10両あるじゃねえか。」「その金どこにあった。」「おっ母さんの仏壇の前。」伊三郎が供えた金だと察知した父親は奪い返そうとするも力づくで奪い去り出ようとしたところ、表に治平が居り、軽くひねられ伊之助は這う這うの体で逃げ出した。奥から出てきた伊三郎。「お父っぁん、無傷で伊之助を届けるよ」



 伊之助は権助のところに行き、10両が作れなかったことを報告。「そのことはもういい。お前の兄貴が帰ってきている。ここに連れてこい。」「兄ちゃんが。」「その必要はない。」出てきた伊三郎、瞬く間に権助一家を皆殺し。」「兄ちゃんは日本一強いだろう。お前を身内にしてやる。」「本当かい。」そこにやって来た治平。「伊三郎、日本一のやくざだと。俺がしょっ引いてやる。」瞬く間に縄目に掛け、「おめぇは江戸に行き、六尺高ぇ木の上で死ぬんだ。」「俺ぁ死にたくないよ。伊之助助けてくれ。」断末魔の叫びを残して曳き立てられていった。「日本一だと思った権助親分が兄ちゃんに斬られ、木端役人に捕まった。もうやくざになんかなるもんか。」その場を立ち去る伊之助。それを見ていた伊三郎と治平。「これでもう大丈夫だ。俺は弟にとっちゃ幻のやくざだ。すぐに旅立つよ。」「伊三郎、権助はお前が叩き斬った。代官所で権助と結託していた役人も目星がつき、早飛脚で与力様に伝えるよ。どうだ、俺と江戸まで旅をしねえか。」「遠慮しとくよ。縄目を持つ人間とは一緒に旅をしたくない。」一人旅立つ伊三郎だった。


 ヤクザに憧れた伊之助。兄の伊三郎が情けない姿を見せ、伊之助の思い描くやくざ像が幻になった。カタギにさせる。それは自分がヤクザになった為の父親への恩返し。座長の目明かしと伊三郎役の澤村玄武との爽やかな交流。見事やった。ちなみに今、舞踊ショー中。


ほんじゃ