大衆演劇・適材適所 | BOOのなみはや国風土記

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 中学、高校とお芝居を見る行事があった。覚えてるのは2つ。一つは中学時代に見た走れメロス。学校を巡業してる一応プロの劇団。演出が奇抜(延々走ってる)と演技の拙さで覚えてる。友のもとに向かってるメロスの心情を吐露とかも一切なし。あまりのくだらなさで覚えてる。


 二つ目は高校のときに見たアマチュアの市民劇団の芝居。これは出来がよく覚えてる。簡単な粗筋はこう。


 とあるところに大金持ちの一家が住んでいた。召使いの男は毎日こき使われていた。ある日一家で旅行に。ところが船は難破。一家は無人島へ漂着した。何もできない一家に、召使いがリーダーを決める提案をする。


 カシラになった召使いは一家のものに慕われ、テキパキと指示を出している。一家の娘はそんなカシラに惚れている。思い切って告白した娘はカシラに受け入れられた。そんなときに近くに船が通った。止める娘。「今の生活がいいの」。カシラは断腸の思いでシグナルを出す。


 一家は元の家に戻り、普段の生活にもどった。カシラは、もとの召使いに。またこき使われる日々。ラスト、出かける娘が召使いに一言「カシラ、あんたのことが好きだったよ。」


 この芝居は適材適所を謳ってる。ラストの娘の告白も過去形。もとに戻ったらお嬢様と召使いの関係。だから娘は船に居場所を伝えるのを必死で止めた。カシラはリーダーとして使命を全うしただけ。フリとして、序幕で一番辛く当たったのは娘。そんな娘が一時でも召使いを好きになり、心情を吐露した。そんな変化も楽しめた芝居やった。


 フリが長くなった。劇団紀州の芝居はまさしく適材適所やった。モブキャラで男を努めた女性の口跡が素晴らしく、そこで座員のレベルが分かった。主人公の二人も素晴らしい。台詞回しは大衆演劇とは違ったナチュラルな台詞回し。ゲストの花柳劇団の人と絡むとよく分かった。芝居を見終わったあとはベストな配役と確信した。この芝居するために花柳劇団をゲストに呼んだかと思われるほど。


 ところが普通の大衆演劇では中々そうは行かない。座員の数もあるけど、大きい役ほど役付がする。例えあってなくても。知り合いと観に行ったときはよく言う。あそことあそこの役逆やったなとか。芝居のええところは適材適所使ったり、役をものにしてるんであまりそうは思わんが。適材適所にすれば、もうちっと芝居が良くなるんやが。


ほんじゃ