相談(TFCC損傷) | Web手外科研究所

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「手の外科無料相談所」で相談を受けたメールとその返事を患者さんの氏名を匿名にする等一部改変して掲載しています。どなたでも読者登録O.K.

 今年に入ってからTFCC損傷に悩まされ、インターネットで色々検索し調べていた際にこのサイトを知りました。「相談内容の書き方」に沿って書かせて頂きます。宜しくお願い致します。
1) 31歳 女性
2) 現在は両手
3) 利き手は右手です(職業がピアニストの為、両手共に同じように使用します)
4) ピアノの練習中、左手のポジションは45度外側に傾け(親指も鍵盤を押さえている状態)で連打を弾いていた。その時は速くもなく音量も強くないが長時間、不自由なポジションで練習していた為、手首辺りに力が入っていたと思う。その練習後、痛みが少しある為、直ぐに練習を止めたが、次の日の朝に痛みが増していた。半年前のこと。原因は分からないが現在は右手にも同じような痛みがある。左をかばい、右を以前より多く使用し始めてから。
5) 両手共に同じような痛み。尺骨の手首の出っ張っている骨が時々痛み、その痛みはチクチクする時と、ズキーンと痛む時と、脈を打つように痛む時がある。盛り上がっている骨はかなり外に飛び出した状態。ほぼ常に痛む場所は手首。手首が痛む時は手首から肘に掛けての筋肉もだるく、肘と腕の付け根?(背中側)も痛む。自転車のブレーキを握る時、パソコンのキーを打つ時(手首の位置が少し低め) 、練習最中や練習後に傷む事が多い。練習では体重を掛けて大きな音を出ことが怖い為、常に控えめな音で練習している。主にロキソニンテープを多用し、市販のバンテリンもよく使う。毎日の様にロキソニンテープを貼っているが、使用後は和らぐ。練習後をアイシングでケアをしている。
6) 今迄、整骨院や整形外科、手の専門外科医、音楽家専門の手の外来等、10件以上の病院に診察に行った。最後に行った大学病院にTFCC損傷の治療専門の方がいらっしゃって、再度レントゲン(両手)、MRI検査(左手だけ)をし、TFCC損傷、その周辺2箇所に水が溜まり手首はその負担で腱鞘炎という事だった。元々、左は尺骨が6ミリ、右は2ミリ長い事も分かり、その為、長年弾いて来た負担が今出てきたとおしゃっていた。現在は様子見で三ヵ月後に日本に帰国した時に再度検査をし、今後の方針を決めようとの事だったが、先生は尺骨短縮術を勧めていた。
7) クラシック・ピアニスト
8) プロ(海外在住)コンサート活動は現在休止中。
相談メールの書式
 以上、現在の症状を書いてみました。職業がピアニストなだけあり、手は命、商売道具ですので本当に困っております。もし手術をして100パーセント以上の確率で、以前と同じ様に不自由なくピアノが弾ければ迷う事もなく手術の道を選ぶのですが、今迄20年近く練習して身に付けた技術は、本当に繊細な神経を使うものです。微妙なタッチの感覚が手術しても問題なくできるかと言いましたら不安があります。現在の医療の発達は素晴らしい事は承知でありますが、TFCC損傷の術後、一般的にどの様なリスクがあるのでしょうか。因みに診察をして下さった先生は「骨を短く切る手術は骨折と同じだから、逆に術後は強くなるよ」とおしゃっていました。確かにピアノを演奏する際、強さも必要ですが細かい神経をどれだけ使えるか、というのも大変重要です。今後のTFCC損傷との向き合い方、手術後のリスクや可能性、また練習を控えめにし、安静にしていれば治るものなのか等、アドバイスを頂ければ幸いです。実際、TFCC損傷の手術をされた方の体験記を読み、その後、悪化しているという事が書いてあり怖くなってしまいました。長文になってしまいましたが、どうぞ宜しくお願い致します。

 メール拝見しました。
 文面からはTFCC損傷または尺骨突き上げ症候群だと思います。両者は似たような疾患です。手術のリスクはほとんどないですが、治らない可能性を心配することになります。ただピアノの微妙な演奏云々を言われると何とも言えない所はあります。手の外科の中でも音楽家の手の外科を扱う医師がいますので相談されるといいかと思います。あとは現状または保存的治療(手術をしない治療法)でなんとかなればそれで対応し、何ともならなければ手術するしかないということになります。
 手の外科病院一覧を貼っておきます。参考にしてみてください。(これ重要⇒手の外科専門の医師の診察を受けないと意味はありません)