モース警部シリーズの長編第7作。ホテルでの仮装パーティー。その優勝者が自室である別館三号室で死体となって発見される。その妻も含め、滞在客の数名が警察が来る前に部屋を引き払っていた。被害者を含め、滞在客の数名の身元が掴めない。[???]
マーガレット・ボーマン:地方試験常任委員会の臨時職員
トム・ボーマン:マーガレットの夫
ジョン・ビニョン:ホーアス・ホテルの経営者
セーラ・ジョンストン:ホテルの受付
パーマー夫妻:ホーアス・ホテルの別館一号室の客, 夫・Fと妻・フィリッパ
スミス夫妻:同二号室の客, 夫・ジョンと妻・ヘレン
バラード夫妻:同三号室の客, 妻・アン
グラディス・テイラー:マーガレットの同僚
ミス・ギブスン:委員会の書記
エドワード・ウイルキンズ:工事の作業員
マックス:警察医
ベル:警視
フィリップス:部長刑事
ルイス:同
モース警部:主任警部
12月31日、ホーアス・ホテルでは仮装パーティーが催された。その優勝者はラスタファリー教徒に扮したミスター・バラードだった。
ミスター・バラードは深夜に別館三号室へと引き上げた。残った客たちもそれぞれ自室に引き上げ、ホテルの主人は別館の戸締りをした。
翌朝、別館三号室にはラスタファリー教徒に扮した男の死体が一つ。ミセス・バラードはいなくなっていた。そして警察が来るまでに、別館の残りの客も皆いなくなっていた。彼らの住所は出鱈目なものばかりだった。
殺されたミスター・バラードと、その妻の正体はまったく不明だった。
捜査を進め、推理を組み立てるモース主任警部だったが、上手く説明がつかない点があった。
――いったい何のために、仮装した男はパーティーに出て、深夜まで居残っていたのだろう?――
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モースは殺害された男と同じ扮装をした者がパーティーに出ていたと推理するが、犯人がそんなことをした理由について、説明が付けられずに苦労する。
んで、終盤についに真相が明らかになるわけだが、これが拍子抜け。最大のガッカリポイントとしては、いきなり登場する共犯者。
仮装したミスター・バラードがほとんど何も食べなかったこと、深夜になってもまだそこら中に染みを付けていたこと、その仮装の出来は優勝するほど素晴らしかったこと。それらの手掛かりの解答こそが、その共犯者の存在なのだが、モースでさえもそれは偶然の出会いの結果として捕らえた人物であり、唐突さは半端ではないw 登場人物表にその名がない人物が、終盤に重要人物として立て続けに登場されると、だったら真相なんてどうにでもなるじゃん…という気がしてくる。
あと、犯人たちが用意したアリバイは、ほとんどどれも無意味に近いってのもなぁ。この事件は第一の計画と、それを別人が逆に利用した第二の計画から成ってるんだけど、第一の犯人のアリバイ工作は、作中に書かれている部分から判断する限りはまったく無価値。(きっと計画にはほかに細かい部分があるのだろうが、作中ではその詳細には触れられてない) 旅行に出掛けたと、本人が手紙に書いてるだけなんだもん。
第二の計画の犯人の一人のアリバイ工作は一応機能しているが、肝心のもう一人のアリバイはない。これじゃ意味ないだろう。
事件の謎のほかに、読者には解答が伏せられた謎が一つ提示されている。それはモースに届いたラブレターの送り主の正体について。
手紙の「トマス・ハーディの伝記」と、それに付随する「家はごく近く」、ほかにはちょっと弱いいくつかの点、モースが服の色を訂正した描写などから僕は単純に考えたけど、果たして正解は?w
[1 11月] マーガレット・ボーマン、葬儀に出掛ける。その夫・トムは留守番。
[2 11月] トム、妻とその浮気相手との手紙を見つける。妻への愛情と、その浮気相手への憎悪を意識し、殺人計画が練られ始める。
[3 12月] “ホーアス・ホテル”の案内。
[4 12月30日~31日] 12月31日の朝、“ホーアス・ホテル”は急な事態により人手が足りなくなり、休暇中のセーラ・ジョンストンが駆り出される。
[5 12月31日(火)] ドリス・アークライトから電話があリ、別館四号室の予約は取り消され、ホテルの客は38人に減った。
[6 12月31~1月1日] 参加者はできるだけ自分の正体をわからないようにする、仮装晩餐会。優勝者はラスタファリー教徒に扮した、ミスター・バラード。その左手がセーラに触れ、ドーランが彼女の服を汚した。
[7 1月1日(水)午後] モース主任警部、休暇を中断し、殺人事件捜査へ。
[8 1月1日(水)午後] ホーアス・ホテル別館での殺人事件はすぐに客たちに知れ渡り、警察の到着時には別館の客すべてを含む数名は立ち去ってしまっていた。三号室のベッドの上に横たわった死体は、ラスタファリー教徒の衣装を身にまとっている。
[9 1月1日(水)午後] 別館一号室の客はパーマー夫妻。二号室の客はスミス夫妻。三号室の客はバラード夫妻。四号室の客はドリス・アークライトだが、彼女は予約を取り消し、来館していない。バラード夫妻の住所は存在しない。ところがホテルからその住所宛への返信が送り返されることもなかったのは謎。
[10 1月1日(水)午後] 被害者は白人男性。年齢は30~40前後。現場の部屋の窓は開放され、冷え切っており、死亡時刻の推定は困難。発見の16時間から24時間前。前頭部への強い打撃が致命傷。
[11 1月1日(水)午後] 凶器は不明。
[12 1月1日(水)午後] ベッドには死体の重みでへこんでる以外、使用された形跡なし。
[13 1月2日(木)午前] ラスタファリー教徒に扮したミスター・バラード、そのそばにはベールで顔を隠した妻がほとんど常に付き添っていた。晩餐会の席ではほとんど何も食べなかった。真夜中近くにミセス・パーマーやセーラと踊っていた。午前1時頃、ミセス・パーマーとミセス・スミスの肩に手を回して、別館のほうへと引き上げて行った。そしてミスター・パーマーとミスター・スミス、ミセス・バラードが別館に引き上げると、ホテルの主人のビニョンが別館の戸締りをした。もちろん別館の滞在客ならその後の出入りも自由だった。
[14 1月2日(木)午後] スミス夫妻の住所は存在しない。彼らはシャンペンを4本注文し、3本の空き瓶を残してホテルを立ち去っていた。酒代も宿泊費も支払っていない。ドリス・アークライトの住所は赤の他人のもの。本人の住所は不明。
[15 1月2日(木)午後] “ミセス・パーマー”と名乗ったフィリッパは高級娼婦。
[16 1月2日(木)午後] 二号室に誰かが侵入。スミス夫妻はその部屋を立ち去る際に、その鍵も持ち去っていた。
[17 1月2日(木)午後] モース、フィリッパと面会。フィリッパともにホテルに滞在した“ミスター・パーマー”は彼女の客の一人。彼女はミスター・パーマーのアリバイを証言。彼女のレインコートにはミスター・バラードが残したらしきドーランの染み。
[18 1月2日(木)午後] ルイス、二号室から発見した、眼鏡の入ったケースをモースに見せる。スミス夫妻の住所を突き止める。
[19 1月2日~3日] マーガレット・ボーマン、夫・トムが彼女の浮気を知り、その相手の男に対する復讐計画を語ったことを思い出す。
[20 1月3日(金)午前] 詐欺師のジョン・スミス、妻・ヘレンへの置き手紙を残し、逃亡。
[21 1月3日(金)主に午前] モース、バラード夫妻がどのようにして存在しない住所宛の手紙を受け取った、あるいは受け取ったように見せかけたのか考える。
[22 1月3日(金)午後] スミス夫妻はホテルの無賃利用の常習犯。4本目のシャンペンの瓶は彼らの家の中にある。ミスター・バラードが汚したレインコートもある。ミセス・バラードの顔の大部分はヤマシックで隠されており、ヘレン・スミスは彼女を見分ける自信はないが、彼女の鼻と上唇の間に小さな赤い斑点があったのを覚えていた。ルイス、美容処置に思い当たっている。
[23 1月4日(土)] ルイス、美容クリニックを当たるが、プライバシーを盾に回答拒否するところもあり、有力情報は得られない。
[24 1月5日(日)] 存在しない住所宛の手紙を簡単に受け取れる者がいる。それは郵便集配人。モース、トム・ボーマンに目を付ける。
[25 1月6日(月)午前] マーガレット・ボーマン、モースの尋問に呼び出される。
[26 1月6日(月)午前] マーガレット、美容クリニックに行ったことは否定。夫の行方を問われると、彼からの置き手紙を見せる。日付は12月31日。不倫の告白と、その精算のために数日間の旅行に出る旨が書かれている。筆跡に怪しい節はない。
[27 1月6日(月)午前] モースの推理。「マーガレットの不倫を知ったトムが、彼女と和解し、相手の男の殺害を計画する。マーガレット、相手の男をホテルの仮装パーティーに連れ出す。三号室に忍び込んだトムが、仮装した相手の男を殺害。トムもその男とまったく同じ仮装をして、マーガレットとともにパーティーへ。ドーランを他の客たちに残し、自分の存在を印象付けてから自室へと引き上げる。トムとマーガレットはこっそりホテルから抜け出す」 ルイスの疑問。「死体を部屋に放置したままパーティーへ行くのは、その間に従業員に発見される危険性が高いのでは? トムの仮装はいつ、どこで行ったのか?」
[28 1月6日(月)午前] マーガレット、彼女の車で逃走。
[29 1月6日(月)午前] マーガレット、駐車違反で取り締まられる。
[30 1月6日(月)正午] マーガレット、教会の塔の頂上へと上る。彼女のハンドバッグが落下して行く。
[31 1月6日(月)午後] トムの同僚に、ホテルの死体を確認させる。トム・ボーマンと断定。塔の上から落ちたバッグを浮浪者が警察に届ける。
[32 1月6日(月)午後] ボーマン宅の捜索。“エドウィナ”からマーガレット宛の絵葉書。台所に積まれた新聞紙の中に本日のものがある。マーガレットはモースたちが来る前にタクシーで帰宅して、立ち去っていた。
[33 1月7日(火)午前] マーガレットのバッグが遺失物として警察に保管されているが、担当者のミスにより、それを届け出た人物の情報は記録されておらず、落ちていた場所などの情報は不明。その中には料理店の宣伝用のカード。その裏に「M 愛してるよダーリン。T」とボールペンで書かれている。
[34 1月7日(火)午後] モース、ボーマン宅へ引き返す。エドウィナからの絵葉書がなくなっている。そこに書かれた筆跡は、料理店のカードの裏の文字と同じだった。マーガレットが危険を犯してまで自宅に戻り、絵葉書を持ち去ったのは、それが重要なものであるため。絵葉書の“エドウィナ”と、料理店のカードにあった“T”は、マーガレットの浮気相手の名を示すと推理。すなわちエドワード、愛称・テッド。
[35 1月7日(火)午後] モース、匿名のラブレターを受け取る。
[36 1月7日(火)午後] マーガレットの浮気相手からの手紙のコピーが見つかる。ルイスの推理。「マーガレットの不貞行為は長期間に渡っている。相手の男は彼女よりも少し歳下(36歳以下)。相手の男はここに書かれた待ち合わせ場所から、車で数分、西側の場所に住んでいる」
[37 1月7日(火)午後] モースの推理。「マーガレットとその相手の男はしばしば公然とすぐ近くにいた。相手の男はマーガレットとの初めての出会いの際、彼女を見下ろす高所にいた」
[38 1月7日(火)午後] エドワード・ウイルキンズを尋問。不貞行為を認める。最後に彼女に会ったのは1時間とちょっと前。彼が連行される際にはまだ彼の家にいたという。彼女は助けを求めていた。彼は外国にでも行くように助言したが、彼女にはパスポートがなく、その申請も難しいためできなかったという。ウイルキンズは殺人容疑で逮捕された。
[39 1月7日(火)午後] トムの計画を逆に利用して、マーガレットとウイルキンズが彼を二号室で待ち構えて殺害したとしても、彼らが犯行後にすぐに逃亡せずに、わざわざ仮装パーティーに出て、その姿を他の客たちに印象付けたのは、いったい何のために行ったことなのかが謎。
[40 1月7日(火)午後] 12月31日の夜から午前2時頃まで、ウイルキンズはバーでジャズ・グループの一員として演奏していた。ウイルキンズ、釈放される。モースに素晴らしい出会いがある。
[41 1月8日(水)午前] セーラ・ジョンストン、ドリス・アークライトを確認。
[42 1月8日(水)正午] 旅客機の中で男が逮捕される。
[43 1月8日(水)午後] 事件の第一の重要な手掛かりとして、ミスター・バラードはほとんど何も食べなかった。第二として、深夜になってもまだそこら中に染みを付けていた。第三として、ミスター・バラードの仮装の出来は素晴らしく、優勝した。
[44 1月8日(水)午後] モース、ちょっとしたトリックに引っ掛かったことに気づく。
マーガレット・ボーマン:地方試験常任委員会の臨時職員
トム・ボーマン:マーガレットの夫
ジョン・ビニョン:ホーアス・ホテルの経営者
セーラ・ジョンストン:ホテルの受付
パーマー夫妻:ホーアス・ホテルの別館一号室の客, 夫・Fと妻・フィリッパ
スミス夫妻:同二号室の客, 夫・ジョンと妻・ヘレン
バラード夫妻:同三号室の客, 妻・アン
グラディス・テイラー:マーガレットの同僚
ミス・ギブスン:委員会の書記
エドワード・ウイルキンズ:工事の作業員
マックス:警察医
ベル:警視
フィリップス:部長刑事
ルイス:同
モース警部:主任警部
12月31日、ホーアス・ホテルでは仮装パーティーが催された。その優勝者はラスタファリー教徒に扮したミスター・バラードだった。
ミスター・バラードは深夜に別館三号室へと引き上げた。残った客たちもそれぞれ自室に引き上げ、ホテルの主人は別館の戸締りをした。
翌朝、別館三号室にはラスタファリー教徒に扮した男の死体が一つ。ミセス・バラードはいなくなっていた。そして警察が来るまでに、別館の残りの客も皆いなくなっていた。彼らの住所は出鱈目なものばかりだった。
殺されたミスター・バラードと、その妻の正体はまったく不明だった。
捜査を進め、推理を組み立てるモース主任警部だったが、上手く説明がつかない点があった。
――いったい何のために、仮装した男はパーティーに出て、深夜まで居残っていたのだろう?――
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モースは殺害された男と同じ扮装をした者がパーティーに出ていたと推理するが、犯人がそんなことをした理由について、説明が付けられずに苦労する。
んで、終盤についに真相が明らかになるわけだが、これが拍子抜け。最大のガッカリポイントとしては、いきなり登場する共犯者。
仮装したミスター・バラードがほとんど何も食べなかったこと、深夜になってもまだそこら中に染みを付けていたこと、その仮装の出来は優勝するほど素晴らしかったこと。それらの手掛かりの解答こそが、その共犯者の存在なのだが、モースでさえもそれは偶然の出会いの結果として捕らえた人物であり、唐突さは半端ではないw 登場人物表にその名がない人物が、終盤に重要人物として立て続けに登場されると、だったら真相なんてどうにでもなるじゃん…という気がしてくる。
あと、犯人たちが用意したアリバイは、ほとんどどれも無意味に近いってのもなぁ。この事件は第一の計画と、それを別人が逆に利用した第二の計画から成ってるんだけど、第一の犯人のアリバイ工作は、作中に書かれている部分から判断する限りはまったく無価値。(きっと計画にはほかに細かい部分があるのだろうが、作中ではその詳細には触れられてない) 旅行に出掛けたと、本人が手紙に書いてるだけなんだもん。
第二の計画の犯人の一人のアリバイ工作は一応機能しているが、肝心のもう一人のアリバイはない。これじゃ意味ないだろう。
事件の謎のほかに、読者には解答が伏せられた謎が一つ提示されている。それはモースに届いたラブレターの送り主の正体について。
手紙の「トマス・ハーディの伝記」と、それに付随する「家はごく近く」、ほかにはちょっと弱いいくつかの点、モースが服の色を訂正した描写などから僕は単純に考えたけど、果たして正解は?w
[1 11月] マーガレット・ボーマン、葬儀に出掛ける。その夫・トムは留守番。
[2 11月] トム、妻とその浮気相手との手紙を見つける。妻への愛情と、その浮気相手への憎悪を意識し、殺人計画が練られ始める。
[3 12月] “ホーアス・ホテル”の案内。
[4 12月30日~31日] 12月31日の朝、“ホーアス・ホテル”は急な事態により人手が足りなくなり、休暇中のセーラ・ジョンストンが駆り出される。
[5 12月31日(火)] ドリス・アークライトから電話があリ、別館四号室の予約は取り消され、ホテルの客は38人に減った。
[6 12月31~1月1日] 参加者はできるだけ自分の正体をわからないようにする、仮装晩餐会。優勝者はラスタファリー教徒に扮した、ミスター・バラード。その左手がセーラに触れ、ドーランが彼女の服を汚した。
[7 1月1日(水)午後] モース主任警部、休暇を中断し、殺人事件捜査へ。
[8 1月1日(水)午後] ホーアス・ホテル別館での殺人事件はすぐに客たちに知れ渡り、警察の到着時には別館の客すべてを含む数名は立ち去ってしまっていた。三号室のベッドの上に横たわった死体は、ラスタファリー教徒の衣装を身にまとっている。
[9 1月1日(水)午後] 別館一号室の客はパーマー夫妻。二号室の客はスミス夫妻。三号室の客はバラード夫妻。四号室の客はドリス・アークライトだが、彼女は予約を取り消し、来館していない。バラード夫妻の住所は存在しない。ところがホテルからその住所宛への返信が送り返されることもなかったのは謎。
[10 1月1日(水)午後] 被害者は白人男性。年齢は30~40前後。現場の部屋の窓は開放され、冷え切っており、死亡時刻の推定は困難。発見の16時間から24時間前。前頭部への強い打撃が致命傷。
[11 1月1日(水)午後] 凶器は不明。
[12 1月1日(水)午後] ベッドには死体の重みでへこんでる以外、使用された形跡なし。
[13 1月2日(木)午前] ラスタファリー教徒に扮したミスター・バラード、そのそばにはベールで顔を隠した妻がほとんど常に付き添っていた。晩餐会の席ではほとんど何も食べなかった。真夜中近くにミセス・パーマーやセーラと踊っていた。午前1時頃、ミセス・パーマーとミセス・スミスの肩に手を回して、別館のほうへと引き上げて行った。そしてミスター・パーマーとミスター・スミス、ミセス・バラードが別館に引き上げると、ホテルの主人のビニョンが別館の戸締りをした。もちろん別館の滞在客ならその後の出入りも自由だった。
[14 1月2日(木)午後] スミス夫妻の住所は存在しない。彼らはシャンペンを4本注文し、3本の空き瓶を残してホテルを立ち去っていた。酒代も宿泊費も支払っていない。ドリス・アークライトの住所は赤の他人のもの。本人の住所は不明。
[15 1月2日(木)午後] “ミセス・パーマー”と名乗ったフィリッパは高級娼婦。
[16 1月2日(木)午後] 二号室に誰かが侵入。スミス夫妻はその部屋を立ち去る際に、その鍵も持ち去っていた。
[17 1月2日(木)午後] モース、フィリッパと面会。フィリッパともにホテルに滞在した“ミスター・パーマー”は彼女の客の一人。彼女はミスター・パーマーのアリバイを証言。彼女のレインコートにはミスター・バラードが残したらしきドーランの染み。
[18 1月2日(木)午後] ルイス、二号室から発見した、眼鏡の入ったケースをモースに見せる。スミス夫妻の住所を突き止める。
[19 1月2日~3日] マーガレット・ボーマン、夫・トムが彼女の浮気を知り、その相手の男に対する復讐計画を語ったことを思い出す。
[20 1月3日(金)午前] 詐欺師のジョン・スミス、妻・ヘレンへの置き手紙を残し、逃亡。
[21 1月3日(金)主に午前] モース、バラード夫妻がどのようにして存在しない住所宛の手紙を受け取った、あるいは受け取ったように見せかけたのか考える。
[22 1月3日(金)午後] スミス夫妻はホテルの無賃利用の常習犯。4本目のシャンペンの瓶は彼らの家の中にある。ミスター・バラードが汚したレインコートもある。ミセス・バラードの顔の大部分はヤマシックで隠されており、ヘレン・スミスは彼女を見分ける自信はないが、彼女の鼻と上唇の間に小さな赤い斑点があったのを覚えていた。ルイス、美容処置に思い当たっている。
[23 1月4日(土)] ルイス、美容クリニックを当たるが、プライバシーを盾に回答拒否するところもあり、有力情報は得られない。
[24 1月5日(日)] 存在しない住所宛の手紙を簡単に受け取れる者がいる。それは郵便集配人。モース、トム・ボーマンに目を付ける。
[25 1月6日(月)午前] マーガレット・ボーマン、モースの尋問に呼び出される。
[26 1月6日(月)午前] マーガレット、美容クリニックに行ったことは否定。夫の行方を問われると、彼からの置き手紙を見せる。日付は12月31日。不倫の告白と、その精算のために数日間の旅行に出る旨が書かれている。筆跡に怪しい節はない。
[27 1月6日(月)午前] モースの推理。「マーガレットの不倫を知ったトムが、彼女と和解し、相手の男の殺害を計画する。マーガレット、相手の男をホテルの仮装パーティーに連れ出す。三号室に忍び込んだトムが、仮装した相手の男を殺害。トムもその男とまったく同じ仮装をして、マーガレットとともにパーティーへ。ドーランを他の客たちに残し、自分の存在を印象付けてから自室へと引き上げる。トムとマーガレットはこっそりホテルから抜け出す」 ルイスの疑問。「死体を部屋に放置したままパーティーへ行くのは、その間に従業員に発見される危険性が高いのでは? トムの仮装はいつ、どこで行ったのか?」
[28 1月6日(月)午前] マーガレット、彼女の車で逃走。
[29 1月6日(月)午前] マーガレット、駐車違反で取り締まられる。
[30 1月6日(月)正午] マーガレット、教会の塔の頂上へと上る。彼女のハンドバッグが落下して行く。
[31 1月6日(月)午後] トムの同僚に、ホテルの死体を確認させる。トム・ボーマンと断定。塔の上から落ちたバッグを浮浪者が警察に届ける。
[32 1月6日(月)午後] ボーマン宅の捜索。“エドウィナ”からマーガレット宛の絵葉書。台所に積まれた新聞紙の中に本日のものがある。マーガレットはモースたちが来る前にタクシーで帰宅して、立ち去っていた。
[33 1月7日(火)午前] マーガレットのバッグが遺失物として警察に保管されているが、担当者のミスにより、それを届け出た人物の情報は記録されておらず、落ちていた場所などの情報は不明。その中には料理店の宣伝用のカード。その裏に「M 愛してるよダーリン。T」とボールペンで書かれている。
[34 1月7日(火)午後] モース、ボーマン宅へ引き返す。エドウィナからの絵葉書がなくなっている。そこに書かれた筆跡は、料理店のカードの裏の文字と同じだった。マーガレットが危険を犯してまで自宅に戻り、絵葉書を持ち去ったのは、それが重要なものであるため。絵葉書の“エドウィナ”と、料理店のカードにあった“T”は、マーガレットの浮気相手の名を示すと推理。すなわちエドワード、愛称・テッド。
[35 1月7日(火)午後] モース、匿名のラブレターを受け取る。
[36 1月7日(火)午後] マーガレットの浮気相手からの手紙のコピーが見つかる。ルイスの推理。「マーガレットの不貞行為は長期間に渡っている。相手の男は彼女よりも少し歳下(36歳以下)。相手の男はここに書かれた待ち合わせ場所から、車で数分、西側の場所に住んでいる」
[37 1月7日(火)午後] モースの推理。「マーガレットとその相手の男はしばしば公然とすぐ近くにいた。相手の男はマーガレットとの初めての出会いの際、彼女を見下ろす高所にいた」
[38 1月7日(火)午後] エドワード・ウイルキンズを尋問。不貞行為を認める。最後に彼女に会ったのは1時間とちょっと前。彼が連行される際にはまだ彼の家にいたという。彼女は助けを求めていた。彼は外国にでも行くように助言したが、彼女にはパスポートがなく、その申請も難しいためできなかったという。ウイルキンズは殺人容疑で逮捕された。
[39 1月7日(火)午後] トムの計画を逆に利用して、マーガレットとウイルキンズが彼を二号室で待ち構えて殺害したとしても、彼らが犯行後にすぐに逃亡せずに、わざわざ仮装パーティーに出て、その姿を他の客たちに印象付けたのは、いったい何のために行ったことなのかが謎。
[40 1月7日(火)午後] 12月31日の夜から午前2時頃まで、ウイルキンズはバーでジャズ・グループの一員として演奏していた。ウイルキンズ、釈放される。モースに素晴らしい出会いがある。
[41 1月8日(水)午前] セーラ・ジョンストン、ドリス・アークライトを確認。
[42 1月8日(水)正午] 旅客機の中で男が逮捕される。
[43 1月8日(水)午後] 事件の第一の重要な手掛かりとして、ミスター・バラードはほとんど何も食べなかった。第二として、深夜になってもまだそこら中に染みを付けていた。第三として、ミスター・バラードの仮装の出来は素晴らしく、優勝した。
[44 1月8日(水)午後] モース、ちょっとしたトリックに引っ掛かったことに気づく。