巧みに事故として偽装されたと思しき連続殺人。ストーブがある部屋で凍死した容疑者。[???]
ニッコロウ・ベイネデイッティ:教授
ロン・ジェントリイ:私立探偵
ジャネット・ヒギンズ:精神科医
ミセス・ゴラルスキー:ロンの秘書
ビューアル・テイサム:新聞記者
ディードゥル・チェスター:ビューアルの恋人
ウィリイ:ビューアルの伯父
ベス・リング:ハイ・スクールの学生
キャロル・サリンスキイ:同
バーバラ・エレガー:同
スタンリ・ワトスン:ひとり暮しの老人
デイヴィッド・リード:死体で見つかった少年
ミスター・リード:デイヴィッドの父
ジョイス・リード:デイヴィッドの母
レスリイ・ビッケル:大学院生
ディック・ビッケル:レスリイの父
テリー・ウィルバー:レスリイのボーイフレンド
ハービー・フランク:コンピューターを学ぶ学生
ジョージ・R・バースケイス:ファン・ビザーロ, へロインの売人
ハロルド・アトラー:ブローカー
ジェファリイ・ジャストロウ:元保安宿補
グロリア・マーカス:掃除婦
ウィリアム・スミス:放火犯
マーク・グッドサイト:同
ショーナシイ:部長刑事
ジョウゼフ・フライシャア:警視
その連続殺人犯は“HOG”と名乗った。彼(あるいは彼女)はあたかも偶然の事故のように見せかけた殺人を繰り返す凶悪犯で、その手口も動機も不明。被害者の共通点も見当たらず、無差別犯行のようである。ある者はハイウェイを走行中に倒れた標示版の直撃を食らい、ある者は階段から突き落とされ、またある者は大きなつららを落とされ殺されてしまうとあっては、いったいどのようにしたら殺されずに済むのかわからず、市民が恐れるのも当然だった。
HOGは犯行後にそれを誇るかのように声明を発表するのだが、その内容からすると、HOGは事前に被害者についてかなり調べ上げているらしい。それをいったいどのように行なっているのかもまた謎なのである。
仕方なく警察は、このような奇妙な事件の大家・ニッコロウ・ベイネデイッティ教授の出馬を請うのであった。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
瀬戸川猛資が「十年に一度の傑作」と賞賛し、一部ではまるで現代(とは言え発表は1979年。今ではもう30年以上前だがw)の本格古典作品として扱われるようになったらしい。メイン・トリックは後にTVドラマの「古畑任三郎」にほとんどそのままの形で使われており、そっちを既に観てしまった者はすぐに気づいてしまうだろう。(使うとしても、本書未読者のためにももうちょっと工夫しろよと言いたくなるほどのパクリっぷり) 僕は「古畑任三郎」は好きなのだが、本書はトリックを知って読むのと知らずに読むのとでは面白さが数倍違うであろう作品なので、これについては本当に「古畑任三郎」の罪は深い…。
メイン・トリックに関わる部分なのだが、序盤のハイウェイでの出来事で示されるある手掛かりは某有名作品の“ちょっとした”手掛かりと酷似している。そこからもわかるとおり、全編に作者のフェアプレイ精神が感じられる作品となっている。
テリー・ウィルバーががなぜストーブを使わずに凍死したのかという謎も面白い。これは実は本筋とは無関係なのに、その部分が物語から浮いていないのは作者の力量によるものだろう。
金田一耕助シリーズばかり読んでいると、本作の登場人物がかなりすっきりしているのにも感心するw 精神科医・ジャネット・ヒギンズは僕には不要と思えるが、作者としては物語上どうしても必要だったのだろうw
(1) 新聞記者・ビューアル・テイサム、ハイウェイを走行中。前方の陸橋から標示版が落下。前走車を直撃。乗員は3名。ベス・リング、キャロル・サリンスキイ、バーバラ・エレガー。ベスはその場で死亡、キャロルは後に死亡、バーバラは命を取り留める。
(2) 到着した警官、標示版の留め金の切断面は自然に折れたものではなく、明らかに人工的に切断した跡がある。
(3) ビューアル、手紙を受け取る。ハイウェイの事件は自分の仕業と書かれている。“HOG”と署名されている。
(4) 81歳の一人暮らしの老人・スタンリ・ワトスン、階段から落ちて死亡。HOGからその犯行を認める手紙がビューアルに届く。
(5) 8歳の少年・デイヴィッド・リード、死亡。首がほとんど切断されている。凶器はガレージの屋根に垂れ下がっていた氷。
(6) 大学院生・レスリイ・ビッケルの死体が発見される。死体は椅子に座り、左肘の内側に注射器の針が刺さっている。死因は薬物過量投与。右手は負傷しており、彼女が自身で行なったとは認めづらい。発見者はその階下に住むハービー。前夜から彼女の部屋で流れ続ける水が不審としてレスリイを訪ねた。前夜、彼女と揉めていたテリー・ウィルバーが失踪している。テリーの部屋にある本は児童向けの童話ばかり。
(7) レスリイは5000ドル窃盗事件の容疑者。
(8) ビューアル、レスリイとデイヴィッド殺害を認めるHOGからの手紙を受け取る。
(9) 第一のHOG事件の標示版の留め金は単に切断したにしては破片の長さが短い。中間部分が持ち去られていることがわかる。
(10) へロインの売人・ジョージ・R・バースケイスは暴行を受け重傷。入院している。犯人は不明。レスリイに5000ドル分の粗悪ヘロインを売ったことを認める。
(11) 元保安宿補・ジェファリイ・ジャストロウ、死亡。自殺に偽装された他殺と断定。部屋に備え付けの便箋が減っている。何らかの書類を書いている際に犯人に殺され、書類は持ち去られたと推定。
(12) HOGにちなんだ豚の面を販売するスーパーマーケットが放火され、掃除婦・グロリア・マーカスが死亡。ウィリアム・スミスとマーク・グッドサイトが犯行を認める。マークは母が「あんな店燃えてしまえばいい」と言っていたのを聞いて、犯行に及んだという。彼らはほかの誰からの犯行の指示もそそのかしも買収も認めず。
(13) HOGから手紙が届く。スーパーマーケットの事件の関与を認める。
(14) ニッコロウ・ベイネデイッティの推理によって、テリーの潜伏場所である山奥の山荘に捜査の手が伸びる。現場は深い雪に覆われた極寒の地。捜査陣が山荘に入ると、中は冷え切っており、テリーは凍死している。薪はなく、椅子まで燃やして暖を取った形跡が窺える。しかし一部破損しているものの、ガスもあり充分使用できる状態のガスストーブは使用されていない。実際に捜査陣がストーブに書かれた手順通りに試してみたところ、あっさりと暖を取ることができた。
ニッコロウ・ベイネデイッティ:教授
ロン・ジェントリイ:私立探偵
ジャネット・ヒギンズ:精神科医
ミセス・ゴラルスキー:ロンの秘書
ビューアル・テイサム:新聞記者
ディードゥル・チェスター:ビューアルの恋人
ウィリイ:ビューアルの伯父
ベス・リング:ハイ・スクールの学生
キャロル・サリンスキイ:同
バーバラ・エレガー:同
スタンリ・ワトスン:ひとり暮しの老人
デイヴィッド・リード:死体で見つかった少年
ミスター・リード:デイヴィッドの父
ジョイス・リード:デイヴィッドの母
レスリイ・ビッケル:大学院生
ディック・ビッケル:レスリイの父
テリー・ウィルバー:レスリイのボーイフレンド
ハービー・フランク:コンピューターを学ぶ学生
ジョージ・R・バースケイス:ファン・ビザーロ, へロインの売人
ハロルド・アトラー:ブローカー
ジェファリイ・ジャストロウ:元保安宿補
グロリア・マーカス:掃除婦
ウィリアム・スミス:放火犯
マーク・グッドサイト:同
ショーナシイ:部長刑事
ジョウゼフ・フライシャア:警視
その連続殺人犯は“HOG”と名乗った。彼(あるいは彼女)はあたかも偶然の事故のように見せかけた殺人を繰り返す凶悪犯で、その手口も動機も不明。被害者の共通点も見当たらず、無差別犯行のようである。ある者はハイウェイを走行中に倒れた標示版の直撃を食らい、ある者は階段から突き落とされ、またある者は大きなつららを落とされ殺されてしまうとあっては、いったいどのようにしたら殺されずに済むのかわからず、市民が恐れるのも当然だった。
HOGは犯行後にそれを誇るかのように声明を発表するのだが、その内容からすると、HOGは事前に被害者についてかなり調べ上げているらしい。それをいったいどのように行なっているのかもまた謎なのである。
仕方なく警察は、このような奇妙な事件の大家・ニッコロウ・ベイネデイッティ教授の出馬を請うのであった。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
瀬戸川猛資が「十年に一度の傑作」と賞賛し、一部ではまるで現代(とは言え発表は1979年。今ではもう30年以上前だがw)の本格古典作品として扱われるようになったらしい。メイン・トリックは後にTVドラマの「古畑任三郎」にほとんどそのままの形で使われており、そっちを既に観てしまった者はすぐに気づいてしまうだろう。(使うとしても、本書未読者のためにももうちょっと工夫しろよと言いたくなるほどのパクリっぷり) 僕は「古畑任三郎」は好きなのだが、本書はトリックを知って読むのと知らずに読むのとでは面白さが数倍違うであろう作品なので、これについては本当に「古畑任三郎」の罪は深い…。
メイン・トリックに関わる部分なのだが、序盤のハイウェイでの出来事で示されるある手掛かりは某有名作品の“ちょっとした”手掛かりと酷似している。そこからもわかるとおり、全編に作者のフェアプレイ精神が感じられる作品となっている。
テリー・ウィルバーががなぜストーブを使わずに凍死したのかという謎も面白い。これは実は本筋とは無関係なのに、その部分が物語から浮いていないのは作者の力量によるものだろう。
金田一耕助シリーズばかり読んでいると、本作の登場人物がかなりすっきりしているのにも感心するw 精神科医・ジャネット・ヒギンズは僕には不要と思えるが、作者としては物語上どうしても必要だったのだろうw
(1) 新聞記者・ビューアル・テイサム、ハイウェイを走行中。前方の陸橋から標示版が落下。前走車を直撃。乗員は3名。ベス・リング、キャロル・サリンスキイ、バーバラ・エレガー。ベスはその場で死亡、キャロルは後に死亡、バーバラは命を取り留める。
(2) 到着した警官、標示版の留め金の切断面は自然に折れたものではなく、明らかに人工的に切断した跡がある。
(3) ビューアル、手紙を受け取る。ハイウェイの事件は自分の仕業と書かれている。“HOG”と署名されている。
(4) 81歳の一人暮らしの老人・スタンリ・ワトスン、階段から落ちて死亡。HOGからその犯行を認める手紙がビューアルに届く。
(5) 8歳の少年・デイヴィッド・リード、死亡。首がほとんど切断されている。凶器はガレージの屋根に垂れ下がっていた氷。
(6) 大学院生・レスリイ・ビッケルの死体が発見される。死体は椅子に座り、左肘の内側に注射器の針が刺さっている。死因は薬物過量投与。右手は負傷しており、彼女が自身で行なったとは認めづらい。発見者はその階下に住むハービー。前夜から彼女の部屋で流れ続ける水が不審としてレスリイを訪ねた。前夜、彼女と揉めていたテリー・ウィルバーが失踪している。テリーの部屋にある本は児童向けの童話ばかり。
(7) レスリイは5000ドル窃盗事件の容疑者。
(8) ビューアル、レスリイとデイヴィッド殺害を認めるHOGからの手紙を受け取る。
(9) 第一のHOG事件の標示版の留め金は単に切断したにしては破片の長さが短い。中間部分が持ち去られていることがわかる。
(10) へロインの売人・ジョージ・R・バースケイスは暴行を受け重傷。入院している。犯人は不明。レスリイに5000ドル分の粗悪ヘロインを売ったことを認める。
(11) 元保安宿補・ジェファリイ・ジャストロウ、死亡。自殺に偽装された他殺と断定。部屋に備え付けの便箋が減っている。何らかの書類を書いている際に犯人に殺され、書類は持ち去られたと推定。
(12) HOGにちなんだ豚の面を販売するスーパーマーケットが放火され、掃除婦・グロリア・マーカスが死亡。ウィリアム・スミスとマーク・グッドサイトが犯行を認める。マークは母が「あんな店燃えてしまえばいい」と言っていたのを聞いて、犯行に及んだという。彼らはほかの誰からの犯行の指示もそそのかしも買収も認めず。
(13) HOGから手紙が届く。スーパーマーケットの事件の関与を認める。
(14) ニッコロウ・ベイネデイッティの推理によって、テリーの潜伏場所である山奥の山荘に捜査の手が伸びる。現場は深い雪に覆われた極寒の地。捜査陣が山荘に入ると、中は冷え切っており、テリーは凍死している。薪はなく、椅子まで燃やして暖を取った形跡が窺える。しかし一部破損しているものの、ガスもあり充分使用できる状態のガスストーブは使用されていない。実際に捜査陣がストーブに書かれた手順通りに試してみたところ、あっさりと暖を取ることができた。