金田一耕助シリーズ。絶世の美女・智子の婿候補が殺される。智子の亡父にまつわる謎。[??]
[大道寺家]
大道寺鉄馬(だいどうじてつま):故人
槙(まき):鉄馬の妻, 琴絵の母
琴絵(ことえ):鉄馬・槙の一人娘, 故人
智子(ともこ):琴絵の娘
欣造(きんぞう):智子の血の繋がりのない父, 琴絵の夫(婿養子)
文彦(ふみひこ):欣造・蔦代の息子, 智子の血の繋がりのない弟
神尾(かみお)秀子:琴絵・智子の家庭教師
蔦代(つたよ):欣造の愛人
伊波良平(いなみりょうへい):蔦代の兄, 大道寺家の執事
静(しず):大道寺家の女中
遊佐(ゆさ)三郎:智子の婿候補
三宅嘉文(みやけよしぶみ):智子の婿候補
駒井泰次郎(たいじろう):智子の婿候補
多門連太郎:本名・日比野謙太郎, ジゴロ
カオル:キャバレー“レッド・アウル”の女
衣笠智仁(きぬがさともひと):変名・九鬼能成(くきのりしげ), ホテル松籟荘の前所有者
日下部達哉(くさかべたつや):智子の本当の父, 故人
九十九龍馬(つくもりゅうま):行者
姫野東作:ホテル松籟荘の使用人, 元旅芸人・嵐三朝(あらしさんちょう)
田島修三:元嵐三朝一座座員
加納辰五郎:加納法律事務所所長
金田一耕助:探偵
宇津木慎介:新日報社調査部社員
等々力(とどろき)警部
亘理(わたり):修善寺警察署署長
かつては密貿易で栄えた月琴島も明治維新後はすっかり落ちぶれてしまった。そんな島の名家の当主である大道寺鉄馬には輝くばかりに美しい一人娘・琴絵がいたが、あるとき琴絵は島を訪れた若者と恋に落ち、その子を身籠った。しかしその子が誕生する前に若者は変死し、琴絵は形ばかりの結婚をする。その相手である欣造は戸籍上は大道寺家の婿養子となったわけだが、それ以降も彼と琴絵が会う機会はほとんどなかった。
琴絵の娘・智子も、母に負けず劣らず美しく成長した。彼女は18歳の誕生日を迎え、島を出て、戸籍上の父・欣造の暮らす東京の家に移り住むこととなった。それは以前から決められていたことでもあり、現在の島の大道寺家の財政事情からもやむを得ないことでもあった。
智子は島を名残惜しむように、立ち入ることを禁じられていた“開かずの間”に入った。するとそこにははっきりと古い暴力の跡が見て取れた。室内や壊れた月琴に血がこびりついていたのである。
島を出て、ホテルに到着した智子には三名の婿候補が用意されていた。どれも冴えない連中である。しかしそんな彼らの一人・遊佐三郎が殺害されてしまい、そしてさらにホテルの従業員・姫野東作の死体も発見される。
それらの事件は日下部の死の謎にも結びついていたのである。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
また絶世の美女か!
金田一の事件にはやたらと並外れた美女が登場する。まるで世の中の美女はすべて連続殺人事件に絡んでいるかのようだw 今回の美女はその血筋が源頼朝にも繋がるとも伝えられるお嬢様。最後まで読むと、まるでハーレクイン・ロマンスのようなストーリー展開だ。(ハーレクイン読んだことないけどw)
遊佐殺害時に偶然生まれたアリバイトリックはひどいなぁ。元々壁にもたれかかっていた死体が、第三者によってたまたま倒れ、スイッチをオンにしてしまったとは…。単にストーリー的なものであるというのは理解はできるのだが、その真相が明かされたときは腰が砕けたよw しかもそれが明かされるのは、事件からかなり後のほうだし。
日下部が死んでいた密室についても偶然に奇妙な状況が生まれてしまったものであり、その御都合主義が少々目に余る。
欣造がなぜ智子の婿候補にロクデナシばかり集めたのかわからん。
(1) 琴絵、島を訪れた日下部達哉と恋仲となり、子を身籠る。
(2) 日下部、事故死。
(3) 琴絵、欣造と形式的に結婚。智子が生まれる。
(4) 智子、“開かずの間”を開く。室内や月琴に血痕。日下部の死の真相に疑問を抱く。
(5) 智子、18歳となり、島を離れる。三人の婿候補、遊佐三郎、三宅嘉文、駒井泰次郎、そして多門連太郎と知り合う。
(6) 智子、島へ戻るようにとの警告文を受け取る。
(7) 智子、匿名の呼出状によって屋上の時計台に行くと、壁際の床に倒れた遊佐の死体と血の付いたピンポンラケットを見つける。そのそばには多門がいた。
(8) 時計台の鐘の音が鳴る。スイッチを見ると、近頃はずっとオフにしてあったスイッチがなぜかオンになっていた。スイッチがオンの状態では鐘は15分毎に鳴るので、それが犯人によって行われたことならば犯行時刻が狭められる。
(9) 文彦の秘密の遊び場である洞窟内にて、ホテルの使用人・姫野東作の死体が見つかる。姫野は遊佐よりも先に殺されていた。
(10) 智子が受け取った呼出状は、文彦が作った物を誰かが加工したものと判明。
(11) 秀子は遊佐と姫野が殺害現場付近で、「蝙蝠を見つけた」などと何やら話し合っていた場面を目撃していた。「蝙蝠」については、日下部も手紙の中で、写真に取ったなどと触れていたが、彼の撮影した写真には蝙蝠は写っていない。
(12) 金田一、日下部の写真を現像し関係者たちに見せるが、「蝙蝠」は見出せず。しかしその後金田一は何者かに襲撃され、写真もネガも失ってしまう。
(13) 関係者一同、歌舞伎を観劇。智子、多門に呼び出されてそちらへ向かうが、その際、三宅にチョコレートをいくつか渡す。
(14) 智子と多門が話していると、三宅の死が伝えられる。
(15) 三宅は青い包み紙のチョコを食べた直後に死んだ。智子が渡したのは赤い包み紙に入ったものなので、毒入りチョコは何者かによって混入されたもの。
(16) 金田一、衣笠智仁から話を聞き、時計台の鐘のスイッチがオンになったのは彼が原因であり、遊佐殺害時の関係者のアリバイがすべて無意味になることを知る。
(17) 智子、意識を失い、九十九龍馬の毒牙にかかる寸前に何者かにより救出される。九十九は殺害される。現場にはごく一部のものしか知らない秘密の通路があり、犯人はそれを使用したと見られる。
(18) 秀子、日下部の死の状況を語る。日下部の死体は琴絵とともに内側から閉じられた密室の中にあった。琴絵はパニック状態。琴絵が日下部を殺害してしまったことは明白なようであったため、日下部の死を崖からの転落死のように偽装した。妙なこととしては、日下部が琴絵に贈った後に返還を求めていた指輪が、二人が密室に入ったときには確かに居間にあったのに、事件以来紛失している。
(19) 金田一、田島修三から話を聞き、島で公演を行った一座の人数が12人であることを知る。ところが日下部撮影の写真には13人が写っていた。それは「島田」と名乗る島の芝居好きらしく、頼まれ端役として参加させたのだという。金田一が調べてみると、当時の島にそのような人物はいなかった。
(20) 金田一、日下部の死の際の密室に説明を付ける。二人が密室に入った後、琴絵は居間まで指輪を取りに戻った。そのとき密室は開放されており、そこに犯人が現れ日下部を殺害し逃亡。その後に琴絵が戻って再び密室となった。そして琴絵が死体に気づきパニック状態になった。