館シリーズの長編第1作。建築家・中村青司が命を落とす惨劇の舞台となった無人島・角島に建つ、“十角館”で起こる連続殺人事件。滞在する七名の関係者のもとへ届いた謎の手紙。「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」 千織は、十角館を作った青司の娘である。[???]
[十角館に滞在する、K**大学・推理小説研究会の面々]
エラリイ
カー
ルルウ
ポウ
アガサ
オルツィ
ヴァン
[推理小説研究会会員及び元会員]
江南孝明(かわみなみたかあき):推理小説研究会の元会員, 在籍時の呼び名は“ドイル”
守須恭一(もりすきょういち):推理小説研究会会員
中村千織(なかむらちおり):推理小説研究会の元会員, 青司の娘, 故人
東一(ひがしはじめ):推理小説研究会会員
[青屋敷事件の当事者]
中村青司(なかむらせいじ):建築家
和枝(かずえ):青司の妻, 旧姓・花房
北村(きたむら):使用人夫婦
吉川誠一(よしかわせいいち):庭師
[その関係者]
紅次郎(こうじろう):青司の弟
政子(まさこ):吉川誠一の妻
[その他]
島田潔(しまだきよし):寺の三男坊
K**大学・推理小説研究会のメンバーの一人である“ヴァン”の伯父のつてによって、彼を含めた七名は、無人島・角島に建つ“十角館”で合宿することになった。これは天才肌の建築家・中村青司の作であり、もう一つの彼の作である“青屋敷”の別館である。その青屋敷は、かつてのある事件の際に焼け落ちている。その事件とは、青司とその妻・和枝に加え、使用人夫婦も死亡し、庭師・吉川誠一は失踪、屋敷は焼失という凄まじいもの。和枝の左手が切断され失われていたというのも、この事件の謎めいた要素の一つであった。
そんな惨劇の地は、推理小説研究会などという連中の合宿の場には、いかにも相応しい。期間はほぼ一週間。迎えのボートが来るまでは、外部との連絡手段もない島に閉じ込められることとなる。その状況もまた彼らに相応しいものだ。
二日目の朝に異変があった。中央ホールのテーブルに、前夜にはなかった七枚のプラスティック板が置かれていたのである。それぞれに、「第一の被害者」「第二の被害者」「第三の被害者」「第四の被害者」「最後の被害者」「探偵」「殺人犯人」と書かれている。彼らは当然連想した。これはアガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」などでお馴染みの、“嵐の孤島”での連続殺人のお膳立てだ。この中の誰かのちょっとした悪戯のようでありつつも、そこには不安を感じさせるものがあった。
三日目の朝、やはり事件は起きた。“オルツィ”が絞殺されていたのである。その部屋の扉に貼られた板には、「第一の被害者」とあった。そしてその夜、今度は“カー”が毒殺される。翌朝には、彼の部屋の前に「第二の被害者」の板が貼り付けられていた。彼らの死体からは左手が失われていた。
五日目、“ルルウ”と“アガサ”が死亡。ルルウはなぜか一人で屋外に出て、海に面した岩場へと向かい、戻ってきたところを殺されたらしい。現場には犯人のものと思われる往復の足跡が、岩場のほうへと続いていた。“エラリイ”は、島を出入りする外部犯の可能性に思い当たる。
十角館に滞在する七名のうち、生き残ったのは、今やヴァンとエラリイ、そして“ポウ”の三名だけであった。犯人は外部犯なのか、それとも――
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
綾辻行人のデビュー作。天才肌の建築家・中村青司作の奇妙な屋敷を舞台とする“館シリーズ”の第一作でもある。当初はシリーズ化のことはあまり考えていなかったらしく、探偵役として登場する“島田潔”の命名については、安易過ぎたと後悔したという。
本作を含め、彼の基本的な作風はフェアプレイの論理パズル風ではあるが、それよりも叙述トリックに重きを置いたもの。
孤島に閉じこめられた七人が、奇妙な屋敷にて次々と命を落とし、殺人者の影に怯えるという、あざといほどにベタな設定の物語。だが、それが良いw 本作は、状況の割にサスペンスは少々弱いが、その分、推理に集中しよう。
一応のエクスキューズはされているものの、作中の犯行計画に必然性はあまり感じられない。被害者たちが恐怖を味わって、罪の重さを感じるようにさせたいだけなら、睡眠薬でも飲ませて拘束し、徐々に殺害していくだけでも充分だろう。犯人がミステリ好きゆえの計画と納得するしかないw
印象深いのは、何をさておいても第十章の最後の1行。その、たった数文字で世界がひっくり返るのである。登場人物たちが妙なニックネームで呼び合い、江南孝明のことを「コナン」と呼ぶという稚戯に、「厨二病も甚だしい」と苦笑するのみだった無邪気な読者は、それこそが読者に仕掛けられたトリック、木を隠す森であったと気づき、驚愕するしかない。このトリックは、ミステリのまったくの初心者よりも、古典的名作を既にある程度読んだ者に対して、より効果が高いものであると思われる。
(1) 一日目・島。K**大学・推理小説研究会の七名が、無人島・角島に建つ、通称“十角館”を訪れる。六日後に迎えのボートが来るまでは、島に閉じ込められるということである。十角館は、通称“青屋敷”の別館。この二つの建築物は、ともに天才建築家・中村青司によって建てられたものであり、彼自身の邸宅として使用された。しかし青屋敷は、青司が命を落とすことになった凄惨な事件の際に焼失している。その事件とは、青司とその妻・和枝、使用人夫婦と見られる四名が殺害され、庭師・吉川誠一が行方不明になったというものである。
(2) その十角館に滞在できることとなったのは、推理小説研究会のメンバーであるヴァンの伯父のつて。当人のヴァンは体調不良のため、一足先に自室へと下がる。
(3) 一日目・本土。中村青司の名で、江南孝明に手紙が届く。「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」 千織は江南が途中退席した三次会で、急性アルコール中毒となり、死んでいる。
(4) 江南、東宅に電話、彼は既に角島に行ってしまい不在だったが、家族から、彼にも同様の手紙が届いていることを訊き出す。三次会に居合わせた他のメンバーにも電話するも、皆不在で確認できず。
(5) 青司の弟・紅次郎宅を訪問。彼らにも同様の手紙が届いていることを知る。紅次郎の友人・島田潔と知り合う。島田、江南を「かわみなみ」ではなく「こなん」と呼ぶことにする。推理小説研究会在籍時の江南は呼び名は、コナン・ドイルから取った「ドイル」で、当時からの友人は、未だにそう呼ぶことも多いらしい。
(6) 江南、帰宅した守須と連絡を取る。彼にも手紙が届いていることを確認する。
(7) 島田、江南、守須、集合し、手紙の謎と、“青屋敷”の事件について語り合う。江南、事件調査に乗り気。
(8) 二日目・島。十角館のホールのテーブルに、七枚のプラスティック板。「被害者」が五枚、「探偵」「殺人犯人」がそれぞれ一枚ずつ。ホールに集まった七名は、皆が自身の関与を否定。エラリイ、それを食器棚の抽斗にしまう。
(9) ヴァン、依然として体調不良。微熱を示す。
(10) 二日目・本土。島田、江南、青屋敷事件の際に失踪した吉川誠一の妻・政子と面会。午後9時過ぎに紅次郎宅を訪問するも留守。守須を訪ね、三名で“青屋敷”事件や手紙の謎について語り合う。守須、他人の心に踏み込むことに良心の咎めを感じると、事件調査から降りる。
(11) 三日目・島。アガサ、オルツィの部屋の扉に「第一の被害者」の板が貼られているのを見て、悲鳴を上げる。皆が自室から出てくる。ポウ、オルツィの部屋に入り、ベッドの上に横たわる彼女に駆け寄り、その姿を見ると、他の者の接近を制す。彼女の身体を調べた後、部屋を出るように皆に促す。彼女は絞殺されたと告げる。現場保存のため、部屋を閉ざす。
(12) ポウ、死体の状況について、皆に語る。首にはナイロン紐、激しく抵抗した形跡なし、死体の姿は整えられていた、左手首の先が切断され持ち去られている。
(13) 島を探索するも、やはり外部と連絡を取ることは困難と知る。探索中のルルウ、何か引っ掛かるものを見た記憶があると感じるが、それが何なのか思い出せない。中村青司生存・潜伏・犯人説が提起される。
(14) アガサ、カップに入れたコーヒーを用意する。砂糖とミルクは各自にお任せ。各々がそれを手に取り、飲み始める。カー、呻き声を上げて倒れる。ポウ、服毒と推測し、その場で可能な処置を取るも、数時間後、カーは死んだ。毒を盛る機会は誰にでもあると結論。
(15) 三日目・本土。島田、江南、青屋敷事件の調査継続。青司は生存していて島に潜伏し、どこかに隠してあるボートで食料などを調達してるのではと、島田は語る。
(16) 四日目・島。カーの部屋の扉に、「第二の被害者」の板。浴槽には、カーの左手首。
(17) 青屋敷を探索、地下室を発見。入り口の足元にはテグスが張られ、エラリイは転倒し、負傷。内部には清掃されたような痕跡。テグスはポウの持ち物と判明。
(18) 四日目・本土。島田、千織の父は紅次郎なのではないか、青司から和枝の左手首が送られてきたのではと、彼を追及。紅次郎、左手首の行方について認める。青屋敷事件の真相については、青司の無理心中という線で、ほぼ解明される。
(19) 守須、江南を訪ね、紅次郎との面会の結果を知る。
(20) 五日目。ルルウ、記憶に引っ掛かっていたものの正体に気づき、部屋を出る。
(21) アガサ、心身ともに疲れ果てていた。化粧は一段明るめにする。
(22) ヴァン、洗面所の扉が半開きであることに気づき、様子を見に行く。アガサの死体を発見。口紅に毒。
(23) エラリイ、ポウ、騒ぎに気づく。アガサの死体だけでなく、ルルウの部屋の扉に「第三の被害者」とあるのを見る。部屋の中にルルウの姿はない。エラリイ、ポウ、ヴァンを玄関に残し、ルルウ捜索に出る。
(24) 青屋敷跡にルルウの撲殺死体を発見。死体の周辺には岩場のほうへと続く足跡。一つはルルウのものと思われる、こちらに向かうもの。そしてあと二つ、何者かの往復の足跡。エラリイ、近くの“猫島”に潜む犯人が、この島と行き来しているという推理を披露する。
(25) ポウ、死亡。煙草に毒。
(26) 十角館の秘密の地下室を発見。中には、既に半ば白骨化した死体。
(27) 十角館炎上。エラリイは焼死。
[十角館に滞在する、K**大学・推理小説研究会の面々]
エラリイ
カー
ルルウ
ポウ
アガサ
オルツィ
ヴァン
[推理小説研究会会員及び元会員]
江南孝明(かわみなみたかあき):推理小説研究会の元会員, 在籍時の呼び名は“ドイル”
守須恭一(もりすきょういち):推理小説研究会会員
中村千織(なかむらちおり):推理小説研究会の元会員, 青司の娘, 故人
東一(ひがしはじめ):推理小説研究会会員
[青屋敷事件の当事者]
中村青司(なかむらせいじ):建築家
和枝(かずえ):青司の妻, 旧姓・花房
北村(きたむら):使用人夫婦
吉川誠一(よしかわせいいち):庭師
[その関係者]
紅次郎(こうじろう):青司の弟
政子(まさこ):吉川誠一の妻
[その他]
島田潔(しまだきよし):寺の三男坊
K**大学・推理小説研究会のメンバーの一人である“ヴァン”の伯父のつてによって、彼を含めた七名は、無人島・角島に建つ“十角館”で合宿することになった。これは天才肌の建築家・中村青司の作であり、もう一つの彼の作である“青屋敷”の別館である。その青屋敷は、かつてのある事件の際に焼け落ちている。その事件とは、青司とその妻・和枝に加え、使用人夫婦も死亡し、庭師・吉川誠一は失踪、屋敷は焼失という凄まじいもの。和枝の左手が切断され失われていたというのも、この事件の謎めいた要素の一つであった。
そんな惨劇の地は、推理小説研究会などという連中の合宿の場には、いかにも相応しい。期間はほぼ一週間。迎えのボートが来るまでは、外部との連絡手段もない島に閉じ込められることとなる。その状況もまた彼らに相応しいものだ。
二日目の朝に異変があった。中央ホールのテーブルに、前夜にはなかった七枚のプラスティック板が置かれていたのである。それぞれに、「第一の被害者」「第二の被害者」「第三の被害者」「第四の被害者」「最後の被害者」「探偵」「殺人犯人」と書かれている。彼らは当然連想した。これはアガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」などでお馴染みの、“嵐の孤島”での連続殺人のお膳立てだ。この中の誰かのちょっとした悪戯のようでありつつも、そこには不安を感じさせるものがあった。
三日目の朝、やはり事件は起きた。“オルツィ”が絞殺されていたのである。その部屋の扉に貼られた板には、「第一の被害者」とあった。そしてその夜、今度は“カー”が毒殺される。翌朝には、彼の部屋の前に「第二の被害者」の板が貼り付けられていた。彼らの死体からは左手が失われていた。
五日目、“ルルウ”と“アガサ”が死亡。ルルウはなぜか一人で屋外に出て、海に面した岩場へと向かい、戻ってきたところを殺されたらしい。現場には犯人のものと思われる往復の足跡が、岩場のほうへと続いていた。“エラリイ”は、島を出入りする外部犯の可能性に思い当たる。
十角館に滞在する七名のうち、生き残ったのは、今やヴァンとエラリイ、そして“ポウ”の三名だけであった。犯人は外部犯なのか、それとも――
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
綾辻行人のデビュー作。天才肌の建築家・中村青司作の奇妙な屋敷を舞台とする“館シリーズ”の第一作でもある。当初はシリーズ化のことはあまり考えていなかったらしく、探偵役として登場する“島田潔”の命名については、安易過ぎたと後悔したという。
本作を含め、彼の基本的な作風はフェアプレイの論理パズル風ではあるが、それよりも叙述トリックに重きを置いたもの。
孤島に閉じこめられた七人が、奇妙な屋敷にて次々と命を落とし、殺人者の影に怯えるという、あざといほどにベタな設定の物語。だが、それが良いw 本作は、状況の割にサスペンスは少々弱いが、その分、推理に集中しよう。
一応のエクスキューズはされているものの、作中の犯行計画に必然性はあまり感じられない。被害者たちが恐怖を味わって、罪の重さを感じるようにさせたいだけなら、睡眠薬でも飲ませて拘束し、徐々に殺害していくだけでも充分だろう。犯人がミステリ好きゆえの計画と納得するしかないw
印象深いのは、何をさておいても第十章の最後の1行。その、たった数文字で世界がひっくり返るのである。登場人物たちが妙なニックネームで呼び合い、江南孝明のことを「コナン」と呼ぶという稚戯に、「厨二病も甚だしい」と苦笑するのみだった無邪気な読者は、それこそが読者に仕掛けられたトリック、木を隠す森であったと気づき、驚愕するしかない。このトリックは、ミステリのまったくの初心者よりも、古典的名作を既にある程度読んだ者に対して、より効果が高いものであると思われる。
(1) 一日目・島。K**大学・推理小説研究会の七名が、無人島・角島に建つ、通称“十角館”を訪れる。六日後に迎えのボートが来るまでは、島に閉じ込められるということである。十角館は、通称“青屋敷”の別館。この二つの建築物は、ともに天才建築家・中村青司によって建てられたものであり、彼自身の邸宅として使用された。しかし青屋敷は、青司が命を落とすことになった凄惨な事件の際に焼失している。その事件とは、青司とその妻・和枝、使用人夫婦と見られる四名が殺害され、庭師・吉川誠一が行方不明になったというものである。
(2) その十角館に滞在できることとなったのは、推理小説研究会のメンバーであるヴァンの伯父のつて。当人のヴァンは体調不良のため、一足先に自室へと下がる。
(3) 一日目・本土。中村青司の名で、江南孝明に手紙が届く。「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」 千織は江南が途中退席した三次会で、急性アルコール中毒となり、死んでいる。
(4) 江南、東宅に電話、彼は既に角島に行ってしまい不在だったが、家族から、彼にも同様の手紙が届いていることを訊き出す。三次会に居合わせた他のメンバーにも電話するも、皆不在で確認できず。
(5) 青司の弟・紅次郎宅を訪問。彼らにも同様の手紙が届いていることを知る。紅次郎の友人・島田潔と知り合う。島田、江南を「かわみなみ」ではなく「こなん」と呼ぶことにする。推理小説研究会在籍時の江南は呼び名は、コナン・ドイルから取った「ドイル」で、当時からの友人は、未だにそう呼ぶことも多いらしい。
(6) 江南、帰宅した守須と連絡を取る。彼にも手紙が届いていることを確認する。
(7) 島田、江南、守須、集合し、手紙の謎と、“青屋敷”の事件について語り合う。江南、事件調査に乗り気。
(8) 二日目・島。十角館のホールのテーブルに、七枚のプラスティック板。「被害者」が五枚、「探偵」「殺人犯人」がそれぞれ一枚ずつ。ホールに集まった七名は、皆が自身の関与を否定。エラリイ、それを食器棚の抽斗にしまう。
(9) ヴァン、依然として体調不良。微熱を示す。
(10) 二日目・本土。島田、江南、青屋敷事件の際に失踪した吉川誠一の妻・政子と面会。午後9時過ぎに紅次郎宅を訪問するも留守。守須を訪ね、三名で“青屋敷”事件や手紙の謎について語り合う。守須、他人の心に踏み込むことに良心の咎めを感じると、事件調査から降りる。
(11) 三日目・島。アガサ、オルツィの部屋の扉に「第一の被害者」の板が貼られているのを見て、悲鳴を上げる。皆が自室から出てくる。ポウ、オルツィの部屋に入り、ベッドの上に横たわる彼女に駆け寄り、その姿を見ると、他の者の接近を制す。彼女の身体を調べた後、部屋を出るように皆に促す。彼女は絞殺されたと告げる。現場保存のため、部屋を閉ざす。
(12) ポウ、死体の状況について、皆に語る。首にはナイロン紐、激しく抵抗した形跡なし、死体の姿は整えられていた、左手首の先が切断され持ち去られている。
(13) 島を探索するも、やはり外部と連絡を取ることは困難と知る。探索中のルルウ、何か引っ掛かるものを見た記憶があると感じるが、それが何なのか思い出せない。中村青司生存・潜伏・犯人説が提起される。
(14) アガサ、カップに入れたコーヒーを用意する。砂糖とミルクは各自にお任せ。各々がそれを手に取り、飲み始める。カー、呻き声を上げて倒れる。ポウ、服毒と推測し、その場で可能な処置を取るも、数時間後、カーは死んだ。毒を盛る機会は誰にでもあると結論。
(15) 三日目・本土。島田、江南、青屋敷事件の調査継続。青司は生存していて島に潜伏し、どこかに隠してあるボートで食料などを調達してるのではと、島田は語る。
(16) 四日目・島。カーの部屋の扉に、「第二の被害者」の板。浴槽には、カーの左手首。
(17) 青屋敷を探索、地下室を発見。入り口の足元にはテグスが張られ、エラリイは転倒し、負傷。内部には清掃されたような痕跡。テグスはポウの持ち物と判明。
(18) 四日目・本土。島田、千織の父は紅次郎なのではないか、青司から和枝の左手首が送られてきたのではと、彼を追及。紅次郎、左手首の行方について認める。青屋敷事件の真相については、青司の無理心中という線で、ほぼ解明される。
(19) 守須、江南を訪ね、紅次郎との面会の結果を知る。
(20) 五日目。ルルウ、記憶に引っ掛かっていたものの正体に気づき、部屋を出る。
(21) アガサ、心身ともに疲れ果てていた。化粧は一段明るめにする。
(22) ヴァン、洗面所の扉が半開きであることに気づき、様子を見に行く。アガサの死体を発見。口紅に毒。
(23) エラリイ、ポウ、騒ぎに気づく。アガサの死体だけでなく、ルルウの部屋の扉に「第三の被害者」とあるのを見る。部屋の中にルルウの姿はない。エラリイ、ポウ、ヴァンを玄関に残し、ルルウ捜索に出る。
(24) 青屋敷跡にルルウの撲殺死体を発見。死体の周辺には岩場のほうへと続く足跡。一つはルルウのものと思われる、こちらに向かうもの。そしてあと二つ、何者かの往復の足跡。エラリイ、近くの“猫島”に潜む犯人が、この島と行き来しているという推理を披露する。
(25) ポウ、死亡。煙草に毒。
(26) 十角館の秘密の地下室を発見。中には、既に半ば白骨化した死体。
(27) 十角館炎上。エラリイは焼死。