“チャーリー・チャン”シリーズ。三重失踪事件が絡む殺人事件。(「・ω・)「にゃおー [??]
チャーリー・チャン:ホノルル警察の部長刑事
ジューン・V・マロー:サンフランシスコの次席検事
トム・フラネリー:サンフランシスコ警察本部の警部
フレデリック・ブルース卿:元ロンドン警視庁の副総監
バリー・カーク:カーク財団の若い当主
パラダイス:バリーの執事
ドースン・カーク夫人:バリーの祖母
タッパーブロック夫人:ドースンの秘書
キャリック・エンダビー:旅行会社社員
アイリーン・エンダビー:キャリックの妻
グロリア・ガーランド:舞台女優
ジョン・ビーサム大佐:アジア探検家
リー・グン:ビーサム大佐の助手
イヴ・デュランド:15年前にインドで失踪
エリック・デュランド:イヴの夫
マリー・ランテルム:11年前にニースで失踪した女優
ジェニー・ジェローム:7年前にニューヨークで失踪したモデル女優
グレイス・レーン:カーク・ビルのエレベーター係
ビル・ランキン:グローブ紙の記者
ダフ:ロンドン警視庁警部
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
米国はサンフランシスコのビルの一室で、フレデリック・ブルース卿が殺された。倒れていた故人の肘の辺りには、クラブの年鑑が置かれていた。かつては英国で多くの捜査陣を率いていた彼は既に現役を退いていたが、英国軍人・エリック・デュランドの妻であるイヴが15年前に消え失せた事件は未だ独自に調査しており、その大きな手がかりを掴んでいたように思われた。
奇妙な点があった。彼は殺される直前に、異国風のビロードのスリッパを履いていたのだが、なぜか死体は靴下しか履いていなかった。それは彼が語っていた、ロンドンでの未解決事件の一つ、ビロードのチャイナ靴を履いた姿で発見された、ヒラリー・ゴルト殺害事件を暗示させた。
次席検事・ジューン・V・マローに強く懇願され、結局ブルース卿殺害事件を捜査することとなった、ホノルル警察のチャーリー・チャン。その過程で、イヴ・デュランド失踪事件だけではなく、別の失踪事件も捜査線上に浮かんでくる。マリー・ランテルムとジェニー・ジェロームの失踪は、それぞれの場所こそ異なれど、何らかの符号を匂わせていた。
派手なトリックが仕掛けられているわけでもなく、ビロード靴という小道具も効果的に使われているとは言いがたい。クラブの年鑑は、ダイイング・メッセージと言うのもためらわれるほど、材料としては弱い。普通なら真っ先にそのクラブへ行って、被害者との繋がりくらいは調べそうなものだが、それを行なうのは終盤も終盤。しかもちょっと訪問しただけで、その年鑑が置かれていた意味があっさりと解明されるのだ。名探偵であるはずのチャンが、なぜこんな終盤までそれに気づかず、放置してるのかと問いたい。
そんなこんなで、分量の割には、ミステリとしては物足りなさもあるが、物語は、序盤こそもたつきも感じられつつも、中盤からは細かい謎が解明されていき、動きが感じられるので、どんどんページが進んでいく。だがそのようなネタの小出しによって、最後のカタルシスは弱まっている。
「推理作家お手のものの精巧な科学機器」などは、実際の事件解決にはあまり役立たず、「英知と努力と幸運」こそ重要というくだりは、本作が発表された1928年という時代の空気を感じさせる。今の推理小説のイメージは、その科学によるデータを重視する警察をむしろあざ笑うかのように、己の頭脳を重視した探偵が事件を解決するものだもの。科学知識偏重の作品を志向する作者なんて少ないどころか、ホンカク推理なんてものの多くは、そのような小難しい科学捜査をいかに排除するかに腐心してる部分も大きいように思える。(犯人が犯罪現場において自身の痕跡を、現在の科学捜査に捉えられないようにすることがいかに難しくなったか)
解決編で語られる、イヴの身の上話や、ジョン・ビーサム大佐の言動なんてのも、まるでホームズ物にありそうなロマンスで、これもまた当時の空気だろうw
チャンは、「虎は蝿にも身を屈める」「象が蝶々に不賛成を唱える」といった、へりくだっているのか、無礼なのか、判断が微妙な言い回しを含め、シナの格言らしきものをやたらと使う。慣れ親しんだ者ならいざ知らず、本作中では大半が初対面に近い人物ばかりなのに、誰もツッコんだり、いらついたりしないのが不思議w
事件の捜査をする気はないと、帰郷しようとするチャンに、マローが必死に翻意を迫る場面は違和感がある。いくら高名なチャンであろうとも、まだ出逢ったばかりで、その実力を直接知るわけでもないマローが、しかもまだ捜査が始まったばかり、行き詰まってるわけでもない段階で、そこまで固執するのはどうも不自然。
謎の計算式は、解決編の前にもう少し掘り下げてほしかった。何のヒントも与えられず、いきなり解答を出される。この計算式について、読者が正解を導くのはまず無理だろう。
後にデュランド少佐と平然と対面するグレイス・レーンが、彼との対面を避けるかのように強引に逃亡したのはちょっと腑に落ちない。単に、焦りからの行動なのだろうか。
警察の手落ちが目立つかな。警戒して、周囲を固めていたはずなのに、レーンには一度は逃亡されている。そしてこれまた警戒していたであろうに、一旦は取り押さえていたはずの犯人に隙を突かれ、屋上から飛び降りさせてしまう始末。
チャーリー・チャン:ホノルル警察の部長刑事
ジューン・V・マロー:サンフランシスコの次席検事
トム・フラネリー:サンフランシスコ警察本部の警部
フレデリック・ブルース卿:元ロンドン警視庁の副総監
バリー・カーク:カーク財団の若い当主
パラダイス:バリーの執事
ドースン・カーク夫人:バリーの祖母
タッパーブロック夫人:ドースンの秘書
キャリック・エンダビー:旅行会社社員
アイリーン・エンダビー:キャリックの妻
グロリア・ガーランド:舞台女優
ジョン・ビーサム大佐:アジア探検家
リー・グン:ビーサム大佐の助手
イヴ・デュランド:15年前にインドで失踪
エリック・デュランド:イヴの夫
マリー・ランテルム:11年前にニースで失踪した女優
ジェニー・ジェローム:7年前にニューヨークで失踪したモデル女優
グレイス・レーン:カーク・ビルのエレベーター係
ビル・ランキン:グローブ紙の記者
ダフ:ロンドン警視庁警部
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
米国はサンフランシスコのビルの一室で、フレデリック・ブルース卿が殺された。倒れていた故人の肘の辺りには、クラブの年鑑が置かれていた。かつては英国で多くの捜査陣を率いていた彼は既に現役を退いていたが、英国軍人・エリック・デュランドの妻であるイヴが15年前に消え失せた事件は未だ独自に調査しており、その大きな手がかりを掴んでいたように思われた。
奇妙な点があった。彼は殺される直前に、異国風のビロードのスリッパを履いていたのだが、なぜか死体は靴下しか履いていなかった。それは彼が語っていた、ロンドンでの未解決事件の一つ、ビロードのチャイナ靴を履いた姿で発見された、ヒラリー・ゴルト殺害事件を暗示させた。
次席検事・ジューン・V・マローに強く懇願され、結局ブルース卿殺害事件を捜査することとなった、ホノルル警察のチャーリー・チャン。その過程で、イヴ・デュランド失踪事件だけではなく、別の失踪事件も捜査線上に浮かんでくる。マリー・ランテルムとジェニー・ジェロームの失踪は、それぞれの場所こそ異なれど、何らかの符号を匂わせていた。
派手なトリックが仕掛けられているわけでもなく、ビロード靴という小道具も効果的に使われているとは言いがたい。クラブの年鑑は、ダイイング・メッセージと言うのもためらわれるほど、材料としては弱い。普通なら真っ先にそのクラブへ行って、被害者との繋がりくらいは調べそうなものだが、それを行なうのは終盤も終盤。しかもちょっと訪問しただけで、その年鑑が置かれていた意味があっさりと解明されるのだ。名探偵であるはずのチャンが、なぜこんな終盤までそれに気づかず、放置してるのかと問いたい。
そんなこんなで、分量の割には、ミステリとしては物足りなさもあるが、物語は、序盤こそもたつきも感じられつつも、中盤からは細かい謎が解明されていき、動きが感じられるので、どんどんページが進んでいく。だがそのようなネタの小出しによって、最後のカタルシスは弱まっている。
「推理作家お手のものの精巧な科学機器」などは、実際の事件解決にはあまり役立たず、「英知と努力と幸運」こそ重要というくだりは、本作が発表された1928年という時代の空気を感じさせる。今の推理小説のイメージは、その科学によるデータを重視する警察をむしろあざ笑うかのように、己の頭脳を重視した探偵が事件を解決するものだもの。科学知識偏重の作品を志向する作者なんて少ないどころか、ホンカク推理なんてものの多くは、そのような小難しい科学捜査をいかに排除するかに腐心してる部分も大きいように思える。(犯人が犯罪現場において自身の痕跡を、現在の科学捜査に捉えられないようにすることがいかに難しくなったか)
解決編で語られる、イヴの身の上話や、ジョン・ビーサム大佐の言動なんてのも、まるでホームズ物にありそうなロマンスで、これもまた当時の空気だろうw
チャンは、「虎は蝿にも身を屈める」「象が蝶々に不賛成を唱える」といった、へりくだっているのか、無礼なのか、判断が微妙な言い回しを含め、シナの格言らしきものをやたらと使う。慣れ親しんだ者ならいざ知らず、本作中では大半が初対面に近い人物ばかりなのに、誰もツッコんだり、いらついたりしないのが不思議w
事件の捜査をする気はないと、帰郷しようとするチャンに、マローが必死に翻意を迫る場面は違和感がある。いくら高名なチャンであろうとも、まだ出逢ったばかりで、その実力を直接知るわけでもないマローが、しかもまだ捜査が始まったばかり、行き詰まってるわけでもない段階で、そこまで固執するのはどうも不自然。
謎の計算式は、解決編の前にもう少し掘り下げてほしかった。何のヒントも与えられず、いきなり解答を出される。この計算式について、読者が正解を導くのはまず無理だろう。
後にデュランド少佐と平然と対面するグレイス・レーンが、彼との対面を避けるかのように強引に逃亡したのはちょっと腑に落ちない。単に、焦りからの行動なのだろうか。
警察の手落ちが目立つかな。警戒して、周囲を固めていたはずなのに、レーンには一度は逃亡されている。そしてこれまた警戒していたであろうに、一旦は取り押さえていたはずの犯人に隙を突かれ、屋上から飛び降りさせてしまう始末。