囁きシリーズ。名門女学園での連続殺人。“魔女”を自称した少女の謎の焼死。主人公の記憶の欠落。学園に広がる恐怖。(「・ω・)「にゃおー [??]

※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



ある日突然、両親から自分が実の子ではないと知らされた和泉冴子は、伯母に引き取られ、彼女が校長を務める、全寮制の厳格な名門女学園に転校することとなった。編入したクラスでは、圧倒的な存在感を持つ美少女・城崎綾がが大きな影響力を及ぼしているのか、クラスメイトの多くも彼女の振る舞いを模倣しているのではないかと、冴子には感じられた。

高取恵はなんとなく違っていた。「そのクラスでは浮いていた」と言えるのかも知れない。冴子と同室になった彼女は言った。「あたしはね、魔女なのよ」 そんな彼女が、過去にも生徒が焼死したという曰くつきの「開かずの間」で焼死した。まるで火刑に処された魔女のように。

そしてさらに死体は次々と増えることとなった。冴子は不安だった。連続殺人犯がここに潜んでいるかも知れないことも怖ろしかったが、それ以上に怖ろしいこと。己の記憶が一部欠落しているのだ。もしや自分が…?



ゴシック・ホラー・テイストを感じさせるサスペンス。陰惨な事件ながらも、どこか美しく描かれている。ホラー映画の「サスペリア」を意識して書いたという。

本作を含む囁きシリーズは、同作者の館シリーズとは異質なものとして割と知られているが、もしそれを知らず、同傾向のパズラーを期待してしまうと、落胆もあるだろう。

論理的に謎を推理・解明していく物語ではないが、伏線はしっかり張り巡らされている。焼死した恵を発見する場面や、何度も挿入される「姉妹」の回想などは、いかにも綾辻行人らしい。叙述トリックとまでは言えないが、それに近い記述が見られる。

ただし、伯母が冴子をこの学園に編入させる危険性を認識した上で、おそらく大丈夫だろうと最終判断を下したのは、やはり無理があるんじゃないだろうか。何せ一日二日のことではなく、何年間も延々と警戒せねばならなくなるのだ。別の学校に編入させれば、そんなことを思い悩む必要もないのだから、多少の支障があろうとも、こちらを選択するほうが自然だろう。これを説明する部分は、どうも作者の言い訳めいたもののように思えてならない。