ユーモア・ミステリ。無人島での死体消失。[??]

※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



番組制作のため、無人島・猿島を訪れた一行。「猿の首に呪いあれ」「猿の首、体から離れる」という謎のメッセージが書かれた紙を発見する。そこに台風が直撃し、一行は滞在した別荘の一室で、背中にナイフを突き立てられた西村カメラマンの姿を目にする。

嵐のため、すぐに警察と連絡を取ることもできず、さてどうしたものかと、部屋を出てホールに集まり話し合う一同。そこに怪しげな叫びが聞こえ、死体があるはずの部屋を再び訪れると、そこに死体はなかった。

嵐の間隙を縫って、刑事たちがやって来る。そして第二の事件。向井が自室に入ったまま消え失せる。そしてその代わりに、消えていた西村カメラマンの死体がそこにあった。調べようと死体を抱え上げると、その瞬間に首が転げ落ちる。あの「猿の首、体から離れる」というメッセージをなぞるかのように。



粗筋を書くと重そうにも見えるが、内容は島田荘司のこれまでの作風とはまったく異なるユーモア・ミステリ。読み始めこそ、普段生真面目なひとが必死にギャグやってるみたいな痛々しさもやや感じたが、こういうユーモア感覚は嫌いじゃない。ステレオタイプで描かれるTV業界や、皆でジャムセッションする場面などは素直に面白いw

第一の事件・死体消失は、ヤラセばかりやってるディレクターをヤラセで驚かせようという、他の全員による芝居にすぎない。全体の3分の2、(文庫版では)200ページ目ほどまで来てようやくこれが判明するのは、読者に対して遅すぎやしないか。

被害者の首が斬られていたと聞けば、ちょっとミステリを読み慣れた者なら必ず思い浮かぶであろう、あのトリック。はい、今回もそれですw そこに特にヒネリもありませんw

首と、凶器である刀の隠し場所は無理があるんじゃないかなぁ。あれだけの嵩と重量がある物を隠したまま、皆に気付かれないように自然に行動可能だろうか。計画も練りに練って、練習を重ねてのものではないし。

計画自体もご都合主義の感が強い。もっとも、偶然にもおあつらえ向きの状況になったからこそ、このような殺害計画を立て、実行する気になったんだけど、そこが多少引っ掛かるのも止むを得ない。

でもこれは紙を費やせばどうにでもできる部分だし、それをしなかったのは、そのほうが話の流れが良いためだろう。額に皺寄せてブツクサ文句言いながらではなく、力を抜いて読むべき作品w