『会社更生手続き中の日本航空は28日、
国内外45路線の廃止を発表した。
1月の会社更生法申請時に示した計画より
廃止路線を大幅に上積みしており、
運航規模は08年度の3分の2程度に
縮小する。
金融機関は欧米路線の撤退など
一段のリストラを求める一方、
地方自治体は路線の存続を要望する。
今後の調整は難航が予想される。
新たな再生計画案について管財人である
企業再生支援機構の中村彰利専務は
「(金融機関など)関係者には前向きに
評価してもらえると思っている」と語った。
当初3年かけて実施する予定だった
路線廃止を10年度末までに前倒ししており、
今後、路線別の収支予測など詳しいデータを
作成し、関係者の理解を得られる考えだ。
確実な黒字化を求める金融機関の中には
欧米線の撤退を求める声が強くある。
公的資金を使って競争力を高めることへの
全日本空輸などからの批判もあし、
国土交通省も日航に一段の規模縮小を
迫っている。
ただ稲盛会長は同日の記者会見で
「再生のために国際線は大事な路線だと思っている」
と指摘、認識の隔たりは大きい。
路線廃止に伴い、
国内は名古屋(小牧)など4空港、
海外はサンパウロなど7空港から撤退する。
路線廃止の撤回を要求する地方の声は
日に日に強まっている。
愛知県の神田真秋知事は28日、
「我々の立場では『はいそうですか』と
納得できるものではない」
と苦言を呈した。
「国民、県民の足をどう確保するかという
配慮が欠けており、
関係自治体などと協力し、
少しでも路線が復活するよう努力していきたい」
と述べた。
・・・・』
この会見に伴い、別記事
産経新聞 4月28日の記事には
「この期に及んで・・・」銀行団なお失望の声 日航リストラ案」
との記事が掲載される。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100428-00000610-san-bus_all
抜粋すると、
『日本空港が28日に示したリストラ案では、
路線撤退は打ち出されたものの、
人員削減や機体更新といった具体的な
収益改善計画までは示されなかった。
6月末としていた更正計画の提出も
参院選後に延期される見込みで、
銀行団からは
「この期に及んで再建への道筋すら示せないのか」
と、一様に失望の声が上がった。
みずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友
のメガバンク3行は、
日航向けの債権計約1700億円全額について、
企業再生支援機構が買い取ることを求めている。
日航再建に3行の支援は欠かせないが、
銀行側としては
「株主の手前もあり、日航から手を引くとの
意思表示も必要」(幹部)なためだ。
日航や支援機構は、日本政策投資銀行などによる
つなぎ融資のうち数千億円をメガバンクに借り換えたい
意向だ。
しかし、メガバンク側は
「数字は絵に描いたもち。
実際にここまで頑張ったとの報告は一切ない」
と計画の実現性を疑問視している。
一部には
「日航の気が緩まないよう厳しいことは言う」
との声もあり、
最終的には支援する姿勢も垣間見える。
しかし、
「政府保証でもつかない限り追加支援は絶対ない」
と突き放した声も強い。
時間がたつほどに
日航と銀行団の溝は深まっている。』
4月6日の発表
(当ブログ記事【JAL再建関連25 リストラ前倒し】)
以来、計画立案に進展が見られない。
4月6日の発表から1ヶ月。
確かになってきているのは、
更生計画提出が2ヶ月程度、後ろ倒しになること。
調整に時間が掛かっていることは理解できるが、
具体的な調整項目が見えてこない。
地方自治体との交渉についても、
日航側の誰がどのような形で
交渉のテーブルに着くのかも不明瞭。
更正計画延期を発表する計画にしては、
時期についての明確な発言もなく、
なんだか拍子抜けした記者会見だ。
『この4月から、
日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の
マイレージプログラムに異変が起きている。
驚くような特典が付くキャンペーンが
連発されているのだ。
最も目を引くのは、
両社とも、普通運賃で搭乗した場合、
通常のマイルと同数のボーナスマイルが付き、
2倍のマイルを獲得できるキャンペーンだ。
上級会員向けには、
通常の2倍以上のマイルが付くサービルも行っている。
・・・
これまでも類似のキャンペーンは行われてきたが、
「サービスの規模は異例」(業界関係者)という。
両社とも、無理を承知で顧客争奪戦をしているわけだが、
背景には、JAL破綻による、マイレージ会員の
奪い合いがある。
JALの経営危機が本格化した昨年秋以降、
ANAのマイレージ新規会員数、
そしてANAカード(クレジットカード)の
新規会員数が前年比1.5~2倍近い勢いで
伸び始めた。
一方、JALのマイレージ新規会員数は
同期間、低迷。
特に、会社更生法適用申請をした1月、
そして2月は新規会員数が激減した。
「当然、法的整理の影響は大きかった」
(JAL関係者)。
ここからさらに顧客数を増やしたいANAと、
なんとか顧客離れを食い止めたいJALの
一騎打ちとなっている。
マイレージサービスは
顧客囲い込みに有効だが、
行過ぎると将来の負債を増やすだけ。
消耗戦に陥っている。』
本日(4月28日)に更正計画案の骨子をまとめ
記者会見で正式に発表する予定の日本航空。
直前のタイミングで、再度、上記のような記事が
採り上げられることは、
マイナスイメージを多くの人に植え付けることと
なるだろう。
投入された公的資金が、
過当な値引きの原資になることは、
ANAの伊東社長でなくても、
納得いかないところ。
公的資金が注入された場合、
資金使途を広く開示することが、
今後の他社の再生案件についても、
必要となってくることであり、
JAL案件については、その先鞭をつけて貰いたいものだ。
2010年4月26日 毎日新聞に
「<日本航空>路線撤退予定の自治体首長ら
存続求め要望活動」
との記事が掲載されている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100426-00000039-mai-bus_all
民間企業の決定にも関わらず
民主党に路線存続を求めるのもどうかと思うが、
とりあえず、抜粋。
『日本航空が撤退を検討している国内線の
発着空港を抱える愛知県など
16道県は26日、
「地域経済への打撃が大きい」などとして、
民主党に路線存続を求めた。
午後には日航の大西賢社長や
辻本清美・副国土交通相を訪れ、
航空ネットワークの維持を要望する。
小牧空港(県営名古屋空港)からの
全面撤退を通告された
愛知県の神田真秋知事のほか、
北海道、山形県、愛媛県などの幹部が
合同で要望。
神田知事は阿久津幸彦・民主党副幹事長と
面会し、
「全国の航空ネットワークがずたずたに破壊され、
日本の活力が失われる」と存続を求めた。
阿久津副幹事長は、
「国内線は安定しており、十分黒字が期待できる。
要望が強ければ、個人的には残せると思っている」
と述べた。
会社更生手続き中の日航は、
収益改善のため不採算路線の圧縮を
加速させており、
今年度中に国内線、国際線合わせて
50路線前後を削減する方針。
既に関係自治体への説明を始めているが、
日航撤退によるイメージダウンや
空港経営への悪影響を懸念する声も出ている。』
阿久津副幹事長も無茶な発言を残したものだ。
国内線は安定しており、
安定して赤字路線だから撤退するのだ。
何をもって十分黒字化できるのか、
根拠なくして軽はずみな発言が、
またも問題になるだろう。
航空ネットワークに関しても、
鉄道網、道路網を含めての
交通ネットワークとして機能させることが必要であり、
航空ネットワークがなくなることでの機会損失と
現在のランニングコストとを比較した資料の
提出を依頼し、
民意を問うてもいいのではないだろうか。
どちらにしろ、地方の金だけでなく、
再建にあたっては、国民全体の税金が投入されている。
単なる感情論だけでなく、
数字に基づいた明快な議論が必要だ。
2010年4月23日、産経新聞に
『日航の更正計画提出、8月末に延期へ
リストラ拡大で調整難航』
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/financial/383672/
との記事が。
続報として
『日航、赤字1600億円に 過去最悪、更正計画に影響も』
との記事も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100424-00000577-san-bus_all
『会社更生手続き中の日本航空の平成22年3月期の
本業のもうけを示す連結営業損益が、
1600億円程度の赤字(前期は508億円の赤字)に膨らむ
見通しであることが、24日わかった。
景気低迷に伴う旅客収入の大幅な落ち込みが響き、
赤字幅は14年の旧日本エアシステムとの統合後で
最悪となる。
収益悪化を受け、日航と同社を支援する企業再生支援機構は、
人員削減の前倒しや不採算路線の撤退といった
リストラの追加を迫られ、今後の更正計画づくりに
影響を与えそうだ。
国際線の旅客収入は昨年4~12月の累計で前年比で
4割超減少し、国内線も同じく1割超落ち込んでいた。
今年1月以降も旅客収入は回復せず、コスト削減でも
補えなかった。』
『会社更生手続き中の日本航空と管財人の企業再生支援機構は
23日、6月末としてきた更正計画の裁判所への提出を
8月末に先延ばしする方針を固めた。
週明けにも最終決定する。
路線や人員の削減などのリストラ案の策定で、
金融機関や国土交通省との調整に時間がかかっているため』
週明け、記者会見が開かれることだろう。
通常、ここまで計画提出が遅れれば
経営陣は挿げ替えられる。
調整に時間がかかっているという理由は分かるが、
では、一体、誰がこの責任を取るのだろう。
日航というよりも、
支援機構の調整能力不足が原因だと考えることが
妥当だろうが、
税金が投入されている再生案件にしては
お粗末すぎる。
金融機関も、特別に無理難題を突きつけている訳ではない。
国際線維持にこだわり、
あるべき企業規模が描けていないため、
明確な人員削減計画も策定できず、
便数削減に関しても、
危機感を持った交渉が出来ていないため、
地方自治体から寄り戻しを求める発言が相次ぐ。
支援機構に関しても、
稲盛会長の影に隠れ、
責任を逃れているように感じられる。
迷走、迷走、また迷走。
『前原誠司国土交通相は21日の衆院国土交通委員会で、
会社更生手続き中の日本航空が
6月末までに裁判所に提出する更正計画について
「手続きの進行によっては変更となる場合もある」
と述べ、提出が遅れる可能性があるとの認識を示した。
国交相は更正計画について
「世界経済の動向、会社更生法(の適用申請)による
客離れを勘案しながら、
より深掘りしたものをしっかり作らないといけない。
そういった更正計画を作っている最中だ」
と述べた。
そのうえで、
「(日航は)コスト削減の徹底した取り組みを進めている。
収益力は当初予想を上回る水準で向上しつつある」
と指摘。
「仮に更正計画の提出が若干延期となっても、
それによって損失が拡大したり、
二次破綻の恐れが生じたりすることはない」
とした』
4月17日の日本経済新聞社説にも
日航の計画提出先送りを懸念する社説が掲載されていたが、
大方の予想通り、更生計画提出の先送りが
現実のものとなりそうだ。
3月の単月収支が若干の営業黒字となったとの報告もあるが、
整った収支報告が出てくるにはもう少し時間が必要だろう。
更正計画提出延期の発表をするとすれば、
3月末の四半期報告を踏まえたものにならざるを得ない。
また、第一弾早期退職の結果も実績をもって含める必要がある。
タイミングとしてはGW明けぐらいが妥当なところか。
これまでの経緯も考えると、
国交相の言う
「二次破綻の恐れが生じたりすることはない」
も全く信憑性がないものだ。
週刊東洋経済 2010年4月24日号
「国際線存続めぐる攻防、JAL更正計画の混沌」より
『JALの厳しい現状を受けて
官邸も打開策を検討。
関係者によると3月に官邸サイドで
稲盛会長更迭論まで浮上したが、
立ち消えになったという。
夏の参院選を前に
「難しいJAL案件のトリガーは引きたくないのではないか」
との憶測も出ており、
6月末の更正計画提出期限を
選挙後に先延ばしする可能性が高まっている。
そもそも金融機関が応じなければ
更正計画はまとまらない。
つなぎ融資の借り換えなど
今後の資金繰りが頓挫し、
二次破綻も現実味を帯びてくる。
JALが破綻してから3ヶ月。
機構主導による再建にスピード感はない。
法的整理に踏み切り1兆円近くの血税を
投入したにも関わらず、
路線撤退も人員削減も調整ばかりで
先が相変わらず見えない。
再建は早くも難局を迎えている。』
下記記事によると
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/other/381263/
『当初、「週3回程度」と考えていた出勤は、
ほぼ毎日になった。
健康を気遣う妻からタバコを取り上げられ、体重も減ったという。
「整備工場や本社のオペレーションセンターに
ふらりと訪れる姿をよくみかける」(幹部)と
現場を飛び回る。
社員食堂で中堅や若手社員らと酒を酌み交わしながら、
ひざ詰めで議論を交わし、意識改革に取組む日々だ。』
との稲盛会長の奮闘にも関わらず、
稲盛会長を招聘した国交相は、金融機関と同調し、
急速なリストラを迫っているように感じる。
当初の再生計画案で国交相に再建を依頼された
稲盛会長にしてみれば、
どこまで梯子を外せば気が済むんだと思っても
不思議のないこの状況。
この状況で、従業員の士気の低下が懸念されると言われても、
更迭論まで出ていますと報道された
会長に従業員の士気を上げろというのも無理な話だ。
さすがに、国交相としては、
かつて後援会長まで務めて貰った上、
無理を押して会長就任を依頼した手前、
恩を仇で返すような真似はしないだろうが、
会長更迭論などという情報が漏れ聞こえる状況は、
正直異常だ。
『中核運航会社の
日本航空インターナショナルで1700人、
関連会社で1000人
のあわせて2700人を予定していたが、
グループの1割弱に当たる
4000人近くが退職を申し出たもよう。
一度に全員の退職を認めた場合、
通常運航に支障をきたす可能性があるため、
一部職場では調整が必要になりそうだ。
日航は月額給与の6ヶ月程度の割増退職金を
上乗せする条件で要員リストラの第1弾となる
早期退職の募集を開始。
パイロット職の16日期限を最後に応募を締め切る。
退職日は5月末までとしている。
ただ、課単位でみると
一部の部署では6分の5が応募したところも出ており、
「退職日をずらしてもらう必要も出てきた」(関係者)。
再建の先行きが不透明な中、
退職を決意する社員が予想を超えて
増えているもようで、
今後、人事担当者による面接を実施して
応募者本人の最終的な意向を確認する予定。
この場で応募撤回もできるため、
最終的な退職者が確定するのは
今月下旬以降となる見通し。
日航と管財人の企業再生支援機構が
3月末にまとめた新再生計画案では、
グループ全体(約5万人)の
3分の1にあたる1万6452人の人員削減を
2010年度末までに実施するとしており、
第2弾の早期退職募集を6月ごろに、
第3弾を9月以降に予定していた。
夏の繁忙期を乗り越えるため、
段階的に人員削減する計画だった。』
2002年3月末
日立製作所と東芝が早期退職優遇制度の
応募をかけたが、
その際、
日立は4000人の予定が9000人に、
東芝は5000人の予定が8000人に増えた。
これ以前の当時の松下電器産業、
マツダ、三菱自動車などでも
早期退職を募集した際、
予定以上の応募があった。
では、その後の再就職はというと
やや過去の数字になるが、
2001年、マツダの2200人の希望退職者中、
再就職率は25%以下だったとの調査報告もある。
日航自体、企業規模は大きくない。
しかし、業種柄、リストラの受け皿となる企業が
非常に限られているはずだ。
電機業界、自動車業界、建設業界、
どの業界を見ても、
これまで希望退職を募り、大規模なリストラを経験してきた。
グローバル展開が早い業種ほど、
大規模なリストラに踏み切るタイミングが早いように感じられる。
日航はグローバルに展開しているとはいえ、
国内向きな企業。
これは、過去のしがらみもあるかもしれないが、
日本の全産業において
体質改善が必要となっている現れであり、
他業界でもそうであるように、
国内ダウンサイジングの波はどの業界でも回避できないようだ。
電機産業、自動車産業等は国内ダウンサイジングの後、
海外の比重を増していった。
受け皿がないということは、
それだけ国内経済が縮小していくということ。
日航の問題は、
やはり、日本産業を映す鏡だ。
http://news.livedoor.com/article/detail/4716251/
「メガバンクの圧力で、日航人員リストラ加速」
との記事が載っている。
大筋では、今までの記事と同じだが、
各メガバンク動向が、ホントかウソか書かれているので、
一部抜粋
『更正計画すんなりとまとまるか予断を許さない
日航は支援機構や日本政策投資銀行から
注入された資金でなんとかもっている状況だが、
6月末には更正計画を裁判所に提出し、
自力再建に踏み出さないといけない。
そのために、メガバンクの融資による支えが不可欠。
銀行団の強硬姿勢に、
過度の人員削減には慎重だった稲盛会長も
方針転換したと見られる。
ただ、再建手法については銀行団でも見解が分かれる。
三菱東京UFJ銀行内には、
人員や路線に大ナタを振るって
早期の黒字回復を目指すべきとの意見が強まっているが、
日本興行銀行時代から日航を支えてきた
みずほコーポレート銀行には、
過度のリストラは収益力を劣化させ、
縮小のスパイラルに陥ると懸念する声もある。
全日空の主力行である三井住友銀は
「お手並み拝見」とばかり、
三菱東京UFJ、みずほの動向を見守っている状態だ。
日航再建の行方は混迷を深めており、
6月末を目標とする更正計画がすんなりとまとまるかは
予断を許さない状況だ。』
メガバンクの日航に対する
債権残高と金融支援額(従前計画)は以下のとおり。
みずほ
債権残高759億円 支援額464億円
三菱東京UFJ
債権残高734億円 支援額468億円
三井住友
債権残高231億円 支援額156億円
債権残高では、3メガ中みずほが首位だが、
保全部分を除いて算定した支援額では
三菱東京UFJが、みずほを若干上回る。
このメガ3行の上位に、
日本政策投資銀行が
債権残高2750億円 支援額1471億円と
メガ3行を足したよりも多くの債権額を保有している。
大雑把に見ると、
日本政策投資銀行の日航債権に占める債権シェアは39%
3メガバンクの日航債権に占める債権シェアは24%
金融支援額で見ると、
日本政策投資銀行のシェアが41%
3メガバンクのシェアが30%
という形になっている。
当然にしてイニシアチブを握るのが
日本政策投資銀行だが、
ここまでシェアが高いと率先して離反できない。
加えてこれまでの支援経緯もある。
みずほ、三菱に関しては、
シェアが同程度ということもあり、
三井住友を含めた3メガバンクという括りの中で
協調で動かないと、
日本政策投資銀行、支援機構と話しがまとまらない。
もし、上記記事内容が本当ならば、
収支予測に対し保守的な三菱主導で進まざるを得ないだろう。
なぜならば、リストラに寛容になり、
収支が黒字化しなかったら、どう責任をとるんだと言われると
みずほも答えようがないからだ。
日航だけでなく、
他の金融機関交渉においても
交渉の肝となるのが、
必ずしも債権残高首位の金融機関との交渉となるとは限らない。
中位行として一定のシェアを持ち、
かつ中位行の支援が得られないと再建が難しいといった場合、
中位行はある程度、交渉の場面で強硬な姿勢をとり、
交渉成功の鍵を握ることとなる。
これは、どんな場面でも同じ。
これら中位行は強硬な姿勢をとりながら、
メイン行(今回の場合は、金融機能を有する支援機構)
からいかに、自行にとって有利な条件を引き出せるかが、
交渉の焦点となる。
日航再建の場合、
日航自体が作成した新再建案をもって裁判所に提出し、
金融部分については、
支援機構がある程度、3メガバンクの負担を被る形が
落とし所となるのではないだろうか。
関係者の駆け引きが活発になっている。
日航と管財人の企業再生支援機構が
路線廃止と人員削減の積み増しを柱とする
新たな再建案をまとめたのに対し、
取引銀行団や国土交通省はそれを上回るリストラを主張。
裁判所への更正計画案の提出期限を6月末に控え、
利害調整の迷走劇が再び繰り返されようとしている。
日航再建をテーマに13日に開かれた衆議院国土交通委員会。
航空各社の労働組合の上部組織、
航空労組連絡会の山口宏弥議長は、新たな再建案について
「安全性、公共性の観点が置き去り」と発言。
リストラの速さに懸念を表明した。
日航と機構が3月末にまとめた「新再生計画」では
10月以降に国際線16路線、国内線31路線から撤退する。
グループ全体の3分の1にあたる1万6452人の人員削減と
約60機の老朽航空機の退役も2010年度中に一気に実施する。
「1月19日の会社更生法の適用申請時に公表した再建計画を
3倍速にしたイメージ」(日航幹部)
リストラを加速するのは更正計画案の取りまとめに向け
銀行団の協力を得る必要があるためだ。
今夏以降、減資と支援機構による約3000億円の増資のほか、
約5000億円のつなぎ融資の借り換えや
航空機購入のための2000億円の融資を得なければ、
事業継続が難しくなる。
だが、新計画案の提示を受けた銀行団からは
不十分との声が上がる。
コスト削減には地域ごとの集約や拠点閉鎖が効果的なため、
欧米路線や関西国際空港、中部国際空港からの撤退などの
検討を日航に求めている。
国交省も従来のネットワーク拡充政策を修正。
前原誠司国交相は13日の閣議後記者会見で、
日航に一層の路線削減を求めたことを明らかにした。
供給過剰を放置した場合の全日本空輸など
競合他社の共倒れを懸念したようだ。
海外航空会社などからの
「公的資金が注入された企業の事業拡大を認めていいのか」
との指摘も影響したものとみられる。
一方で、地方自治体からは路線リストラ反対の声が上がる。
5日に香川県の真鍋武紀知事、
12日には山形県の吉村美栄子知事、
名古屋空港周辺の2市1町が地元空港発着路線の
存続を求める意見を表明。
13日には青森県の三村申吾知事が日航本社を訪れ、
大西賢社長あての要望書を提出した。
日航も一枚岩ではない。
大阪、福岡の客室乗務員拠点の閉鎖計画を受け、
一部の労働組合が6日に記者会見し、
「実質的な整理解雇で許されない」と訴えるなど反発を強めている。
利害調整の行方は混沌としており
6月末の更正計画案の取りまとめの先送りを予想する声も
社内外で出始めている。』
これまでの経緯がまとまっている。
この記事も含めて、日航再建について感じるのは、
日航は、旧JASとの合併が今回の企業破綻の
大きな原因の一つと捉え、旧JAS部分を切り離せば、
元の安定した航空会社に戻れると考えているようだ。
しかし、国交省は別にして、
銀行団はそんなこと知ったことではない。
銀行団側からすれば、
債権を一部放棄するのだから、
単月収支黒字化は当然にして今年度内が目標。
縮小均衡すれば、数字の上から黒字が見えるのに、
それをしようとせず、
債権を放棄した企業には通常あり得ない
機材更新の新規融資を求めてくる日航に対し、
厳しい姿勢を取っている。
一般的に見れば
銀行団が普通で、日航が甘い。
破綻した企業で
銀行団とまともに交渉できると考える企業など存在せず、
銀行団の意向を100%汲み取った計画を実行していくのが
常だろう。
銀行が企業に貸した金が返せないなら、
銀行団が100%納得した再建計画で金を返そうとするのが、
一般的な形だ。
要は、ここに政府のスポンサーである再生支援機構が介入するため、
交渉の余地が出てきてしまい
話しがややこしくなっているというだけのこと。
まさに、迷走している。
『なにより、JAL再建の最大リスクは、
主要銀行の離反だろう。
6月末に提出すべき更正計画には、
9月末で弁済期限がくるつなぎ融資の借り換えや、
今後の資金調達計画を盛り込むことが必須だ。
会社更正法の適用申請前後に、
JALが支援機構と政策投資銀から取り付けた
つなぎ融資枠の総額は7350億円。
これが借り換えの対象となる。
ちなみに、このうち4400億円はすでに借り入れを
実行している。
現時点では、
支援機構が3000億~4000億円、
政策投資銀が2000億~3000億円
の借り換えに応じると見られる。
残りの1350億円は当然、
みずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友銀行の
3メガバンクの協力を計算に入れているだろう。
すでにC案を抱えた銀行詣でが、
4月5日から始まっているが、
銀行の反応はきわめて冷淡である。
「どのように収益やキャッシュフロー、
バランスシートが改善されるかについて、
数字が煮詰まっていない。
これは計画ではなく、決意表明みたいなもの」と、
メガバンク幹部ははき捨てる。
具体化された路線削減についても、
「赤字の元凶はなんといっても国際線だ。
西松遙・前社長が繰り返し強調したとおり、
需要が底堅い国内線と違って、
ボラティリティ(変動性)が非常に高い。
国際線をゼロに近づくほど削減した上で再スタートするほうが、
再建の可能性が高い」と別の幹部は言う。
こうした見方からすれば、
主要銀行の考え方はむしろ国交省のD案に近い。
また、主要銀行はANAへの債権も抱えており、
万が一の共倒れを避けるべく、
JALにいっそうの縮小均衡を求めるだろう。
メガバンクとの折衝はゴールデンウィークを
またいでもつれるだろう。
6月末に予定されている更正計画提出は、
先送りされる公算が大きい。』
3月26日、支援機構が3メガバンクほか
金融機関が持つJAL向け債権を
7100億円の範囲内で買い取る方針を固めて以来、
銀行団のJALに対する協力方針は
かなり消極姿勢になったように感じられる。
借り換え、新規設備貸出についても、
単月黒字化の目処が立つまで出来るだけ控えたいというのが、
本音のところではないだろうか。
そうでなければ、いろいろな利害関係者に振り回されてきた
今までの状況と変わらない。
また国交省案とJAL案にズレがあることが公となっており、
ここで、銀行団がどちらかの支持を表明すると
面倒な形になる可能性がある。
まずは、計画内容が精緻でないことを理由に、
支援に難色を示し、
支援機構がどこまで妥協した金融支援案を提示するか見ることが
現時点で金融機関が採る方策のように思える。
このペースでいくと、記事記載のとおり、6月末予定の更正計画提出は難しい。
ポイントは、支援機構がどこまでの金額であれば、
金融支援に応じることができるのかを政治的な部分も含めて判断することだ。
機構がJAL作成案で押し切り、銀行団の債権を丸抱えし、
3年以内に再建が出来なかった場合、
現在行われているリストラについて、全く意味がないものになる。
そして、2次破綻の可能性がまたも顕在化してくる。
JAL内の再建にかかる求心力を高め、
自ら必ず復活するという気概を持つことでしか、
この事態は中期的には打開できない。

