平昌オリンピックのスピードスケート女子500メートルで、金メダルを獲得した小平奈緒選手。
試合から一夜明けての記者会見で、優勝の喜びや周りへの感謝を語る中で、
「アスリートとして、小平選手を表現する言葉を3つあげてください。」という質問に対して、
少しの間をおいて、求道者、情熱、真摯だと思います。」と、はっきりと答えました。
 
これは、まさに、世界の頂点に立った小平さんの3つの判断基準」と言えるように思います。
今回のオリンピックのインタビューをもとに、掘り下げてみましょう♪
 
 (c)1995-2017, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. 「平昌オリンピック2018」より引用
 
「求道者」
 「求道」を辞書でひくと、「真理や宗教的な悟りを求めて修行すること。」とあります。
 
「今日はとにかく順位とかメダルよりも、
氷としっかり対話して、自分の好きなように氷を味わおうと思って滑りました。」
(1000メートル後のインタビューより)
 
(金メダルの獲得で、究極の滑りはイメージできましたか?という質問に対して)
「金メダルだったり良い記録を出したことが究極の滑りかというと、多分そうではなくて。
やっぱり氷とどんなやり取りができたか、という自分の中にだけ残るものが、
何か新しい感覚であったり、もしかしたら新しい景色だったりという部分で。
言葉では表現できない楽しさというのが、究極の滑りなんじゃないかなと思っています。」
(500メートル後の記者会見より)
 
小平さんにとっては、メダルをとることが目的ではなく、
スピードスケートにおける真理(=究極の滑り)を求め続けることが、
人生の目的になっているように思います。
 
「情熱」
情熱」を辞書でひくと、「激しく高まった気持ち」、「ある物事に向かって気持ちが燃え立つこと」とあります。
自らを「恥ずかしがり屋で、人の前に出るようなことは苦手」と話す一方で、
内に秘めた情熱は、並大抵のものではないと思います。
 
(今後について聞かれて)
「500メートルの世界記録を塗り替えたいという思いがあります。」
「男子に勝ちたいっていうのは、実際にタイムで男子に勝ちたいとかそういう意味ではなくて、男子と競えるぐらいの意気込みで臨みたいという意味であって。女子のレベルをとにかく引き上げたいと思っているだけです。」
(500メートル後の記者会見より)
 
周りの期待を一身に受ける中で金メダルを獲得し、ほっと一息してもいいような気はしますが、
すでに翌日には、「世界記録を塗り替えたい」、「男子に勝ちたい」と語る姿は、まさに情熱的でした。
 
「真摯」
 「真摯」を辞書でひくと、「まじめで熱心なこと」とあります。
 
(過去2回と比べて今回はどういうオリンピックになりましたか?という質問に対して)
「バンクーバーオリンピックは、成長だったなと。ソチオリンピックは屈辱だった。今回のオリンピックは、また成長なのかな。
成長するっていうことは、学びの多い大会になったということだったので。
今回またそのスケートの楽しさを思い出させてもらえたオリンピックでした。」
 
(金メダルを取ることができた鍵はなんですか?という質問に対して)
「大学1年生から結城先生と積み上げてきたもの、チームメートと積み上げてきたものっていうのが、やっぱり一番キーになったかなと思います。
気づきとか発見をしっかりとみんなでチームメイトで共有しながら、お互いに、いいところや悪いところを指摘しあいながら、自分たちの発見を伸ばしてきたというか、そういったところが、学び合いとか高めあいというところにつながったのかな、と思います。」
 
小平さんの発言からは、よく「成長」とか「学び」という言葉が出てきます。
どんな状況でも、常に「成長」を求め続ける姿は、まさに真摯そのもののように思います。
 
 
記者会見の最後に、「小平選手の最終的な到達点はどこですか?」という質問に対して、
「今は全く想像ができません。駆け抜けている途中なので、ゴールはまだ見えてきません。」
と、前を見据えて、答えていました。
 
金メダルは、あくまで通過点。
まだまだ、これから、小平選手の「3つの判断基準」を追求する旅は続いていくと思いますが、
少しは心と体を休めて、また、がんばって(顔晴って)ほしいものです。