雨のあとに虹・Part2 その31
「おはようございます。」
田崎は俊之の姿を見つけるとすぐに言った。
「おはようございます。」
俊之が言うと
「おはようございます。」
受付の星野みどりも俊之の姿を見て言った。矢島建設の社員は体育会系の人が多いが田崎やみどりは文科系の出身であった。
「星野さんに会うのは久しぶりですね。」
俊之が言うと
「高村さんは総武グループのトップになられてからあまり顔を出してくれませんね。」
みどりが言った。
「そんな事はないよ。」
俊之が言うと
「お顔を拝見するのは久しぶりですよ。」
みどりが俊之に言った。
「僕は星野さんがいない時に来ていたみたいだね。」
俊之が言うと
「今度からは私がいる時に来てくださいよ。」
みどりは言った。
「今日は午後からが楽しみだよ。」
社長室から出てきた矢島が言った。
「久美子。」
純子が久美子に言った。
「どうしたの?」
久美子が振り返って言うと
「待ってよ。」
純子が言うと息を切らしながら走ってきて正門の前でやっと久美子に追いついたのであった。
「急いでいたからごめんね。」
久美子は純子が追いつくと歩き出しながら言った。
「今日は三田選手が来ていないから安心だよ。」
純子も歩きながら言うと
「三田選手はどうしてうちの大学に来ているの?」
久美子は純子に言った。
「うちのにはサッカー部がないから広告の役目をしているみたいね。」
純子が言うと
「そうだったの?」
久美子は言った。
「久美子はサッカーに興味がないみたいだね。」
純子が言うと
「サッカーではなくて三田選手に興味がないだけよ。」
久美子は言った。
「江紫組を探って何か出てくるのですか?」
止まっている覆面パトカーの中で菊池が言うと
「江紫組の町島組長は高村さんと面識があるみたいですね。」
桜田は言った。
「それは初耳ですね。」
菊池は桜田を見て言った。
「町島が出て来たよ。」
桜田が言うと江紫組事務所から町島が出て来てベンツのリムジンに乗り込む姿がみえたのである。
「何処へ行くのでしょうか?」
菊池が言うと
「あとをつけてみようよ。」
桜田は言った。
「やめておいた方が良いですよ。」
関口は泰子に言った。
「涌本さんは悪い人ではないよ。」
泰子が言うとふたりは湾岸沿いにある倉庫の前に来ていた。
「そんなに大金を出しても幸福は手にできないと思いますよ。」
関口は言った。
「元レディースの私が幸福を掴むところまで来たのよ。」
泰子が言うと
「300万円を渡さなければいけないところを30万円だけ渡しますと言ったらその男はどんな態度に出ますかね?」
関口は言った。
「涌本さんはそんな悪い人ではないわよ!」
泰子が言うと
「よく考えた方が良いわよ。」
物陰から姿を現した直子が言うと泰子と関口はすぐに直子を見たたのであった。直子の顔にはすでに怒りの表情が浮かんでいた。
「直子さん。」
関口が言うと
「私も騙された事があるから他人事ではないのよ。」
直子は言った。
「育子さん。」
翔太が自動車の中から前を歩く直子に言った。
「ちょうどよかったわ。」
振り向いた直子が言うとすぐに翔太の自動車まで傍に走って来ていた。駅前のロータリーは人と自動車でいっぱいであった。
「早く乗ってください。」
翔太が言うと
「うん。」
育子は言うとすぐに助手席に乗り込んだのであった。
「行きますよ。」
翔太は言うと自動車をスタートさせてすぐにスピードを上げたのであった。
「何処に行くのでしょうね?」
菊池は言った。
「黙ってあとをついていくしかないですよ。」
桜田は言うと少し覆面パトカーのスピードを少しだけ上げたのであった。町島を載せたベンツのリムジンは高速の料金所を通過して渋滞に巻き込まれずに順調に進んでいた。
「このまま行くと湾岸の倉庫地帯に行きますね。」
菊池が言うと
「今日はあくまであとつけるだけにしておこうよ。」
桜田は静かに言った。