雨のあとに虹・Part2 その12
「これで薬師寺さんが一息つけるね。」
社長室で俊之は恵子を労って言った。恵子だけでなく陽子も立花も三友商事との提携で総武グループが本格的にアフリカ進出へのための一歩を踏み出した事を理解していた。
「総武のアフリカ展開に三友商事の力が必要な事を悟られないように強気出たのが良かったのでしょうね?」
恵子が俊之に言った。
「この提携は大成功だよ。」
俊之が言うと
「三友商事にマイナス材料になる事件がありましたから総武にとって有利でしたね。」
立花は言った。
「あの事件があった事で一時的には三友商事にダメージを与えたが長い眼で見たら不安材料を一掃できたからそれで良かったと思うよ。」
俊之が言うのを陽子も立花も恵子も聞いていた。
「警部!」
菊池が桜田の横で資料を見ながら言った。桜田も人間であるから集中力には限界があり席に座って一休みしようと思っていたのであった。
「何かありましたか?」
桜田は珈琲を口に運びながら菊池を見て言った。
「その闘真拳の事をもっと詳しく聞かせてくれませんか?」
菊池が言うと
「これは捜査からはずれる事ですよ。」
桜田が菊池を見て言った。
「「それでも教えてください。」
菊池が言うと
「これは事件が起きたわけではないですよ。」
桜田が言うと
「解っています。」
菊池は言った。
「私は気になる事は納得がいくまで調べる癖があるから気にしないでください。」
桜田は無表情で言った。
「詳しい事を私にも聞かせてくれませんか?」
菊池が言うと
「もう少し時間をくれませんか?」
桜田は言った。
「いいですよ。」
菊池はがっかりして言った。
「今日は忙しそうだな。」
増田康文がいつもの口調で言った。
「今日は三友商事のとの提携が締結されたからね。」
俊之は言った。増田が総武の社長室に俊之を訪ねてくるのは久しぶりであった。
「首都圏大学との交渉はどうだ?」
増田が言うと
「これも近いうちに話がまとまりそうだよ。」
俊之は言った。
「あとはうちの三友電機との提携だな。」
増田が言うと
「君のところとは話が明確だから簡単に締結できそうだよ。
俊之は言った。
「失礼します。」
陽子は言うと会釈をして入って来た。陽子は増田の目を見て頭を下げると珈琲を俊之と増田のところに置いた。
「ありがとう。」
増田はと言った。陽子が姿勢を正して歩くのを増田は目で追っていた。
「せっかくだから珈琲を飲もう。」
俊之が言うと
「お前がうらやましいな。」
増田は明るい表情で言った。
「久美子も三田選手の姿を見てから帰るでしょ?」
純子が言うと
「見てから帰りたいけど今日は時間がないからね。」
久美子は言った。
「それは残念ね。」
純子は言ったが久美子が忙しいのは知っていた。
「俊さんに実家を案内するからその日程も早く決めたいしね。」
久美子が言うと
「いよいよ高村さんを紹介するもうその段階まできたのね。」
純子が言うと
「そういうわけではないけれどいいチャンスだからね。」
久美子は嬉しさを隠せないで言った。
「あれから4ヶ月経つとは早いね。」
純子が言うと
「あまりから飼わないでね。」
久美子は言った。
「私は調べたい事があるから図書館に寄ってから帰るね。」
純子が言うと
「それなら私はこれで帰るね。」
久美子は言った。立ち話が終わると純子は背を向けて図書館の方へ歩いて行った。純子の後姿を見送ってから久美子は校門のへと歩き出していた。