雨のあとに虹・Part2 その11
「久美子は夏休みに何処かに行くの?」
北西大学の同級生である椿純子が学食で言うと
「まだ決まっていないよ。」
久美子は言った。
「早く決めた方が良いわよ。」
純子が言うと
「せっかくの夏休みだから何処かに行きたいけれどね。」
久美子は言った。キャンパスは夏休みが近い事もあって学食でも話題はひとつであった。久美子も定食を食べながら純子とゆっくり出来るのも今のうちで夏休みになれば純子とはしばらく会ないのが寂しかった。
「久美子は知っている?」
純子が唐突に言うと
「何が?」
久美子は純子を見て言った。
「サッカー選手の三田人志が一日コーチで来ているみたいよ。」
純子は言った。
「三田人志選手はプロサッカーチームマイスター東京の所属だったよね?」
久美子が三田について知っている事を言うと
「久美子は詳しいね。」
純子が驚いて言った。
「時々テレビにも出ているから知っているだけよ。」
久美子が言った。久美子はサッカーにはそれでほど詳しくなかったのである。
「君が元気になったので良かったよ。」
俊之が言った。俊之は岡村と中村が帰ったあとも榊原と社長室にいたのであった。
「癌になって俺も考えさせられたよ。」
榊原が言うと
「何を考えたの?」
俊之は言った。
「もう人生に先ががないと思った時に人を裏切ったり陥れたりしてまで出世をしてどうなるのだろうと
思うと俺の夢とはなんと小さい事なのかと思ったよ。」
榊原が言うと
「欲はあっても言いけれど大事なのは実現するための方法がフェアであるかどうかと言う事だよ。」
俊之は言った。
「確かにそうだよな。」
榊原が言うと
「君も変わったね。」
俊之は微笑んで言った。
「フェアでないと勝利は勝利でなくなり敗北に変わるね。」
榊原は以前とは別人のような表情で言った。
「君も僕と同じ年齢だからいくらでもやり直しが利くよ。
俊之は言った。
「高村は偉いな。」
榊原が言うと
「これからフェアな方法をとればいいよ。」
俊之は言った。
「これからで間に合うだろうか?」
榊原が呟くように言った。
「間に合うように君の人生が時間は延びたのだと思うよ。」
俊之は言った。
「山口の言っている事は掴みどころがないですね。」
菊池が言うと
「菊池くんは格闘技に詳しいですか?」
唐突に桜田は言った。
「格闘技では柔道をやっています。」
菊池が言うと
「そうですか?」
桜田は言った。
「警部は空手でしたね。」
菊池が戸惑ったように言うと
「そうではなくて専門的な事に詳しいのかを知りたかったのです。」
桜田は言った。
「それなら詳しくないですね。」
菊池は言った。
「詳しくないないですか?」
桜田は言った。
「テレビで見たりする程度ですよ。」
菊池が言うと
「闘真拳と言う名前を聞いた事はありますか?」
桜田が菊池に言った。
「闘真拳は知りませんね。」
菊池が言うと
「闘真拳を日本で取得している人はわずか3人だけです。」
桜田はプライドの高さ誇るような声で言った。
「その闘真拳がどうかしたのですか?」
菊池は理解に苦しんで桜田に言った。