雨のあとに虹・Part2 その9
「疲れただろう?」
敏弘が深澤久美子に言った。今夜は武遊園地の中に新装オープンした西武ホテルの最上階の部屋に俊之の計らいで宿泊する事になったのであった。
「少し疲れたけれどこの夜景を見たら疲れがとんでしまったみたい。」
深澤久美子が敏弘に言った。
「今日はいつもより早い時間の新幹線で来たから疲れているはずだよ。」
敏弘は言った。
「今日は良い事があったから疲れは飛んでしまったわ。」
深澤久美子が言うと
「それにあんな事がったのに気丈だね。」
敏弘は深澤久美子を気遣って言った。
「恐い思いもしたけど今日は良い事もあったし高村社長は優しい人で私と同じ名前の堀川久美子さんは若いけど素敵なお嬢さんだし今日は良い出会いがあったわ。」
深澤久美子は言った。
「堀川久美子さんはモデルにして良いくらい美人だね」
敏弘が言うと
「素直な女性よね?」
深澤久美子は言った。
「若いけどしっかりしているね。」
敏弘が言うと
「そうでしょ?」
深澤久美子が微笑んで言った。
「まさか高村社長が犯人を捕まえるとは思わなかったよ。」
敏弘が言うと
「社長にしては勇敢だったね。」
深澤久美子は言った。
「高村社長は他の社長とは違っているよ。」
敏弘が言うと
「そんな事を言うと他の社長さんに失礼じゃないの?」
深澤久美子が言った。
「思った事を正直に言っただけだよ。」
敏弘が言うと
「正直すぎるわよ。」
深澤久美子は言った。
「責任逃れする経営者が多い中で毅然とした態度で犯人に接するとはなかなか出来ないよ。」敏弘が言うと
「そうかも知れないね。」
深澤久美子は言った。
「堀川久美子さんも秘書の女性も心配そうだったし立花さんは声も出なかったからね。」
敏弘が言い終わると
「高村社長と久美子さんはお付合いしているみたいね?」
深澤久美子は言った。
「まさか。」
敏弘が言うと
「それに秘書の女性も高村社長に気があるみたいよ。」
深澤久美子が言った。
「考えすぎだよ。」
敏弘が言うと
「これだから男の人はだめね。」
深澤久美子は言った。
「そうかな?」
敏弘が言うと
「鈍感な人が多いのよ。」
深澤久美子は言った。
「どうしてそんなことが解るの?」
敏弘が言うと
「女の感かな?」
深澤久美子は言った。
「女の感?」
敏弘が言うと
「女の感は当たるのよ。」
深澤久美子は微笑んで言った。
「それを言われると困るよな。」
敏弘は困った顔で言った。
「だから男の人はダメなのよ。」
深澤久美子が言うと
「高村社長も大変だね。」
敏弘は言った。
「夜景が綺麗ね。」
久美子は窓外に広がる遊園地を中心とした夜景を見て俊之に言った。
「夜景を見るのは年越しの時以来だね。」
総武ホテルの最上階のビップルームで俊之は言った。最初は俊之も久美子も自分の部屋へ帰る予定であったがハプニングが起こって新社長就任記念セレモニーやキャンペーンガールの久美子と同じ名前の女性が日被害に会うという非常時に予定は大きく狂っていた。
「こんなに良い部屋にはなかなか泊まれないから今日はラッキーだったのかもしれない。」
久美子が言うと
「立花さんが総武グループのトップが総武ホテルに泊まったことがないとは経営に支障が出ると言って気を利かせてくれたからね。」
俊之は言った。
「立花はさんは嘘を言うのが下手ね。」
久美子は微笑んで言うと
「それが立花さんの良いところだよ。」
俊之は言った。
「川嶋さんも有能な女性ね。」
久美子が言うと
「秘書として申し分がないよ。」
俊之は言った。
「立花さんや川嶋さんも泊めてあげたかったね。」
久美子が言うと
「僕も勧めたけれどそうもいかないようだね。」
俊之は言った。
「深澤久美子さんは幸せになるといいね。」
久美子が言うと
「僕も応援するよ。」
俊之は微笑んで言った。
「遠距離恋愛は寂しいし辛いはずですよ。
久美子が自分の事のように言った。
「東京と大阪なら2週間に1度行き来をするのがやっとだと思うよ。」
俊之が言うと
「私たちで応援して同じ名前の久美子さんには幸せになってもらいましょうよ。」
久美子は言った。
「好感がもてる良いカップルだね。」
俊之が言うと夜空には着陸寸前の飛行機が高度を下げていくのが見えたのであった。