雨のあとに虹 その222
「着きましたよ。」
木村が言うと純一は周囲を見回した。
「寂しい場所だね。」
純一は言った。
「ここは賃貸料が安いですからね。」
木村が言うと
「街灯がないから暗いね。」
純一は言った。
「出てください。」
木村が言うと純一は外に出て大きく息を吸っていた。純一は急に背中から激しい痛みを感じていたが理由は解らなかった。しだいに一箇所だけではなく背中全体に痛みが広がっていた。二箇所三箇所と痛みが激しくなってきていた。それが激痛に変るのにそれほど時間がかからなかった。
「俺に何をした。」
純一は言った。
「堅気のくせにやくざのまねをして金銭を脅し取ろうとしやがったな。」
木村が言うと
「お前俺を刺したな。」
純一は言った。
「おとなしく堅気でいればこんな事にはならなかったぞ。」
木村が言うと純一の背中からナイフが引き抜かれていた。
「俺を騙したな。」
純一は言ったあとに熱い液体が背中を大量に流れているのを感じていた。それが血液と気付いた時には純一の意識は少しずつ遠くなって道路に音を立てて倒れ込んでいた。
「その女性を返してもらいに来たよ。」
俊之は言った。
「簡単に返すとでも思っているのか?」
牛島が言うと
「それでも返してくれないと困るのでね。」
俊之は言った。
「それはできない相談だな。」
牛山が言うと
「君たちがしている事は犯罪だからきちんと法の裁きを受けなくてはいけないね。」
俊之は言った。
「その必要はない。」
牛山は言うと上着のポケットからピストルを出して銃口を俊之に向けていた。久美子が俊之を庇うように俊之の前に出ると
「久美ちゃん危ない。」
俊之は言って久美子を庇っていた。
「俊さんこそ危ないです。」
久美子が言うと
「かわいそうだがふたりの愛もそこまでだな。」
牛山が俊之に銃口を向けて引金を引こうとした瞬間に大きな銃声が聞こえて牛山が右手に持っていたピストルが中に舞っていた。
「誰だ!」
牛山は言って右手を押さえていた。
「すまないがそこまでにしてくれないか?」
聞き覚えのある声がしてそこに全員が声の主を見た。
「今の銃声はなんだ。」
関口がスピーカーと同時に接聞こえた銃声に緊張感を覚えて言った。
「黙って聞いていよう。」
翔太は落着いて言った。