雨のあとに虹 その105 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その105

「俺たちが一緒にいたら高村が変な誤解をするかな?」

矢島は冗談を言った。矢島が常連客である料亭は今日も繁盛していた。

「俊さんなら意外と冷静に分析すると思います。」

久美子は言った。

「久美子さんもあいつをよく理解しているね。」

矢島が言うと

「俊さんはあまり感情に走らないですね。」

久美子は言った。

「あいつは高校の時からそうだったよ。」

矢島が日本酒を手に持って言った。

「もう少し感情を外に出してもいいと思います。」

久美子は言った。

「あいつもまだ精神的な部分が回復していないようだね。」

矢島が言うと

「精神的な部分は回復に時間がかかると聞きました。」

久美子は持っている箸を置いて言った。

「私とふたりの時には心配はいらないけどね。」

矢島が言うと

「私が心配しているのは今度の事です。」

久美子は言った。

「今後の事?」

矢島が言うと

「俊さんは大丈夫でしょうか?」

久美子が心配して言った。

「笹川さんが仕掛けた事だよね」

矢島が言うと

「精神的な負担が大きいと思います。」

久美子は言った。

「あいつなら大丈夫だよ。」

矢島は久美子の目を見て言った。

「本当に大丈夫でしょうか?」

久美子は心配して言った。高校時代から俊之の親友である矢島が言った言葉が久美子を少しだけ安心させていた。

「静江はここを出てどうするというのだ?」

純一が言うと

「税理士として生計を立てます。」

静江は完結に言った。

「千晴の養育費は今の俺には払えないぞ!」

純一が言うと

「すでに決めた事です。」

静江は言った

「一方的に言うなよ。」

純一は自宅の居間が自分の家ではないような錯覚を覚えて言った。

「養育費がなくても私にはきちんとした収入があるから心配は要りません。」

静江は言った。

「話し合おう。」

純一が言うと

「私もOL時代のように広い世界を見て見たいです。」

静江は言った。

「俺と一緒に居たら広い世界は見られないと言うのか?」

純一が言うと

「狭い世界は窮屈だし心の狭い男には何の魅力もないからですよ。」

静江はきっぱりと言った。純一は心の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じていた。

「やり直せないのか?」

純一が言うと

「私はやり直したくない心境です。」

静江は感情を出さずに言った。