雨のあとに虹 その192 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その192

「来週には総武と三友商事との具体的な交渉に目処がつきます。」

総武企画の会議室で恵子が俊之に言った。陽子がメモをとり立花も真剣に聞いていた。立花には俊之が静かに聞いているように見えていた。

「高村さん。」

陽子が言うと

「うん。」

俊之は言って我に返ったように周囲を見回していた。

「何かありましたか?」

恵子が言うと

「続けてください。」

俊之は言った。

「総武に遊園地の仕入れ商品を価格が三友商事から購入すると1割安くなる予定です。」

恵子が言った。

「今日の高村さんはいつもと違いますね?」

立花が陽子に小声で言った。

「立花さんも気がつきましたか?」

陽子も小声で言った。

「外見はいつも高村さんだけど魂が抜けたみたいですよ。」

立花が言うと

「私は何も知らないですよ。」

陽子は言った。陽子も俊之に元気がない事が気になっていたのである。

「何か心配事でもありますか?」

立花が言うと

「何でもないよ。」

俊之は言った。

「明日からテストだね。」

純子が言うと

「しっかり勉強しておかないとね。」

久美子は言った。純子は学食の珈琲を飲みながら

「久美子は勉強が出来るからいいじゃない。」

と久美子に言った。

「私だって気が抜けないわよ。」

久美子が言うと

「私はギリギリで補習になりそうよ。」

純子は言った。純子は深刻な表情ではなかった。

と言っているがそんなに深刻ではない。

「私だっていつも良い成績が残せるわけではないからこの時期には真剣に勉強するよ。」

久美子が言うと

「いつもの久美子じゃないみたいね。」

純子は言った。

「そんなことはないよ。」

久美子が言うと

「何かあったの?」

純子は言った。

「お客様はこちらへどうぞ。」

ひとみは言った。

「お次のお客様はこちらへどうぞ。」

小百合は笑顔で言った。久美子がいない店内は混雑時の対応が大変であるが今日はいつもと違って対応がスムーズにいっていた。ひとみは久美子の事を考えていた。今は久美子にとって辛くても大事な時期である。久美子が少しでも楽に乗り越えられるようにひとみは影で支えてあげたいと考えていた。ひとみは俊之に対しても応援する気持ちがあるが俊之は大人である。自分が何もしなくても乗り越えてくれるだろうとひとみはそう考えてはいた。ひとみも小百合もいつでもふたりに協力する用意はあったのである。

「よくやった。」

翔太は関口を労って言った。

「これは久美子さんのためになりますよね?」

関口は言った。

「なるよ。」

翔太が言うと

「それはよかった。」

関口は言った

「それだけではなく何より高村さんのためになるのは間違いない。」

翔太は言って関口から受取ったビデオを手に取った。

「それはコピーのようですが映っている内容は鮮明です。」

関口が言うと

「顔は見られなかったよね?」

翔太は言った。

「そんな失敗はしないですよ。」

関口が言うと

「せっかく協力してもらってもお前が犯罪者になっては高村さんは喜ばないからね。」

翔太は言った。

「心得ています。」

関口が言うと

「石井純一はオリジナルを持っているはずだね?」

翔太は言った。公園の片隅で話すふたりは周囲には休憩しているようにしか見えないはずだった。

「これでひとつ解決ですね。」

関口は笑みを浮かべて言った。