雨のあとに虹 その183 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その183

「高村が君に教えたのか?」

榊原がベッドの上で言うと

「一度榊原さんを見舞ってほしいと言われました。」

ひとみは言った。

「あいつは解らない奴だ。」

榊原が言うと

「高村さんが解らないとはどういう事ですか?」

ひとみは言った。

「俺はあいつを陥れようとした男なのに好意的にしてくれるからな。」

榊原が言うと

「その事ですか?」

ひとみは言った。

「俺なら相手を憎むと思うけどな。」

榊原が言うと

「私も同じ事を考えました。」

ひとみは言った。

「君も同じ事を考えたのか?」

榊原が言うと

「私は高村さんを刺そうとしたのに何も言わずに普通に接してくれています。

ひとみは言った。

「あいつがみんなに好かれる理由が今になって解ったような気がするよ。」

榊原が言うと

「今後になって解ったの?」

ひとみが皮肉を込めて言った。

「どうしてあいつは俺に怒りを表さないのだろうね。」

榊原が言うと

「例の堀川さんが高村さんの友人から興味深い事を聞いてきたわ。」

ひとみは言った。

「堀川さんは君が高村に親しくするように仕向けた大学生の娘だな」

榊原が言うと

「高村さんは本来ならば中絶されるべきところをおじいさんの鶴の一声でお母さんが中絶を思い止まって高村さんが生まれそうよ。」

ひとみは言った。

「高村にそんな過去があったのか?」

榊原が驚いたように言うと

「だからこうして生きている事が奇跡だって高村さんが言ったそうよ。」

ひとみは言った。

「生きている事が奇跡とあいつがいったのか?」

榊原が呟くように言うと

「そんなに多くのを望む事はないとも言ったそうよ。」

ひとみは言った。

「一見して何の悩みもないように見える万能選手にもそんな暗い過去があったのか?」

榊原は小さくと呟いた。

「これから休憩に入ります。」

久美子が言うと

「ゆっくりしてね。」

小百合は言った。休憩室に入った久美子は軽く食事をとろうと椅子に座ると

「今度の休みは海へ行って近くの観光名所にも行ってみたいな。」

久美子は言いながら雑誌をめくって観光名所を見ていた。久美子はつい数ヶ月前に俊之と出会った時の事を脳裏に浮かべて雑誌のページを捲っていた。

「総武化学と首都圏大学の提携に総武緑化と三友商事の提携ですか?」

立花が復唱して言った。俊之の傍に陽子に恵子と立花に桑田が居た。少し離れて数人の役員が会議室に座っていた。今回の打合せはトップシークレットであった。

「僕の出た首都圏大学で真水をゼリー状にして持ち運びそれを解凍して元に戻す技術がほぼ完成している。」

俊之が言うと

「それは凄い技術ですね。」

立花は言った。

「その技術を総武が使用させてもらえるように交渉をしたいと考えている。」

俊之は大きな声で言った。首都圏大学の技術を総武が独占的に使用する契約を結び総武化学が完成しつつある海水を真水にする技術と連携させる事を俊之は考えていた。それが実現すればアフリカなどで困っている国を総武が中心になって助ける事が出来るのである。海水を真水に変えてさらにゼリー状に変えて内陸へ運んで解凍する技術は世界中で実現出来た国はないのだ。一度ゼリー状になった水を解凍すると蒸発率が下がるためにやり方しだいでは砂漠に水田を作る事も可能になる

「それでアフリカへの窓口を三友商事にさせるという事ですね?」

恵子が言うと

「そうだよ。」

俊之は言った。

「実現すれば凄い事になりますね。」

立花は言った。

「首都圏大学へのアプローチは僕の同期生に教授を紹介してくれるように頼んであるよ。」

俊之が言うと

「数年後には自然を破壊しないでホテルや遊園地をはじめトラクションに自然公園やスポーツ施設などを総武が独占して開発出来ますね。」

立場は感心したように言った。

「だから総武としては三友商事との提携は渡りに船だったね。」

俊之が言うと

「総武が三友商事に利用されたのではなくて総武が三友商事を利用するのですね?」

恵子は言った。

「そのためには総武遊園地の仕入れを三友商事に変更しても支障はないはずだよ。」

俊之は的確に言った。

「凄いプロジェクトだ。」

桑田は関して唸るように言った。