雨のあとに虹 その162
「さっきはごめんね。」
純子が誤って言った。学食は込んでいてやっと座ったところである。
「本当にどうしたのよ?」
久美子は言った。
「バイトが忙しくてね。」
純子が言うと
「バイトも大事だけどテストが近いからしっかりしてね。」
久美子は少しきつくい口調で言ったがそれは純子を心配してのことである。
「最近不眠症ぎみなのよ。」
と純子が眠そうな声で言った。
「大丈夫なの?」
と久美子も気になって言うと
「大丈夫よ。」
純子は軽い口調で言った。
「それなら良いけどね。」
久美子はそう言って珈琲を飲んだ。
田中が運転する社用車は湾岸沿いを離れて都心部に入っていた。
「私は余計な事をしましたか?」
恵子は冷静になって之に言った。先ほどの剣幕は恵子が計算してとった行動のようである。
「それで良いと思うよ。」
俊之が言うと
「30分も待たせるとは非常識ですよね?」
陽子は言った。
「中村くんはかわいそうだったが山本さんの計算通りに事が運んだようだね。」
俊之が言うと
「計算どおりですか?」
陽子は言った。
「あとで時間がある時に説明しますよ。」
俊之が言うと
「その山本さんもかなりの策士ですね。」
恵子は言った。
「これで誰かが責任を取らされるね。」
俊之が言うと
「当たり前ですよ。」
恵子は言った。
「私も腹が立ちました。」
陽子も言うと俊之は陽子と恵子の顔を交互に見て
「ふたりとも言う時にははっきり言うね。」
と言った。
「当然です。」
恵子は言った。
「ふたりとも頼もしいね。」
俊之が言うと
自社の社長を侮辱されて黙っている社員はいないですよ。」
恵子は言った。俊之は以前に久美子も同じような事を言ったのを思い出していた。
「馬鹿者!」
山本はありったけの大声で田所を怒鳴り飛ばした。中村は沈んだ表情であるが田所は依然としてどこ吹く風といった表情であった。
「すみません。」
中村は言った。
「中村くんはいいよ。」
山本が言うと
「僕がその前の打合せが長引いたのでみなさんにご迷惑をおかけしました。」
中村は言った。
「中村くんは気にするのを止めなさい。」
山本は言って田所を見た。
「私も別に変な事はしていませんよ。」
田所が言うと
「お前には全責任を取ってもらうからな。
山本は有無を言わせない口調で言った。