雨のあとに虹 その159
管理本部のフロアーに来た俊之を野口素子が見つけて
「おはようございます。」
と言うと
「おはよう。」
俊之は言った。
「何かご用命ですか?」
素子が言うと
「立花さんはいないの?」
と俊之は言った。
「ミーティング中ですけどどうしますか?」
素子が言うと
「あとでいいよ。」
俊之は言った。
「本部長に伝えておきます。」
素子が言うと
「お願いします。」
俊之は言って社長室に向かって歩き出した。廊下を歩いてエレベーターホールに出た。社長室はすぐ上の会にあるので俊之は階段を上がった。俊之は社内を散歩するように歩いてからゆっくり社長室のドアを開けた。俊之を見た陽子は
「どちらかにご用でしたか?」
と言って確認をすると
「ちょっと管理本部へね。」
俊之は言った。
「おっしゃってくだされば私がすべていたしますよ。」
と陽子が言うと
「すまない。」
俊之は言って椅子に座った。
「私が電話をすればすぐに立花さんに伝わります。」
陽子が言うと
「僕も管理本部へ行ってから気付いたよ。」
俊之は言った。
「細かい事は申し付けてください。」
陽子が言うと
「この環境に慣れるまで少し時間がかかりそうだよ。」
俊之は言った。そんな俊之を見た陽子は人間的な優しさを感じた陽子であった。内線が鳴って陽子が出て
「社長室です。」
と言った。
「立花さんかな?」
俊之が言うと
「立花本部長からです。」
陽子は言って受話器を保留にすると俊之を見た。俊之は受話器を取って
「高村です。」
と言うと
「立花です。」
立花が緊張したような声で言った。
「忙しい時にすまないね。」
俊之が言うと
「先ほどいらっしゃったそうですね。」
立花は言った。
「急ぎではないけれど聞きたい事があったのでね。」
俊之が言うと
「川嶋さんにご支持くだされば私から伺いますよ。」
と立花は恐縮して言った。
「慣れなくてすまないね。」
俊之が言うと
「それは気にしないでください。」
立花は言った。
「実は総武化学の研究資料を見たいと思ってね。」
俊之が言うと
「承知しました。」
立場は言った。
「いつ頃見られますか?」
俊之が言うと
「すぐに取り揃えてお持ちします。」
立花はとハキハキとした口調で言った。