雨のあとに虹 その153 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その153

「おはようございます。」

久美子は言ってタイムカードを押した。

「堀川さん。」

ひとみが久美子を見て言った。

「はい。」

久美子が言うと

「今度の祝日は成人式でしょ?」

ひとみは言った。

「私は実家に帰りますけど良いですか?」

久美子が言うと

「それは構わないわ。」

ひとみは言って

「当日に帰ってきます。」

久美子が言うと

「翌日はローテーションに入れても大丈夫かしら?」

ひとみがスケジュールを確認しながら言った。

「翌日は大丈夫です。」

久美子は予定を確認して言った。

「それなら良かった。」

ひとみが言うと

「その翌日は講義です大丈夫ですか?」

久美子は言った。

「もう少しでテストでしょ?」

ひとみが言うと

「期末テストだから真剣に受けないとダメですよね?」

久美子は言った。

「その間は勉強に専念した方が良いわよ。」

ひとみが言うと

「そうした方が良いですよね?」

久美子は言った。

「進級すればあとは楽になるからね。」

ひとみは久美子を見て言った。

 直子は携帯の向こうで流れる機械的なアナウンスを呆然として聞いていた。

「ただいまおかけになった電話番号はお客様のご都合によりお繋ぎできません。」

といかにも感情がない声が流れていた。直子は弘子にお金を振込んでから電話が通じなくなっていた。今頃になって騙されたと気付くとは自分はバカだったと反省してもあとの祭りであった。世の中はうまい話はないものだ。駅ビルには人が多く昼前の賑わいが活気的である。その群集の中にひとり孤独に取残された直子が呆然としていたのである。いつの間にか直子の横に立っていた翔太が耳元で

「そろそろ追いつめますか?」

と小声で言った。直子は顔を翔太の方に目を向けた。

「どうしてあなたが知っているの?」

直子は反射的に言った。

「田所課長」

中村は役員室に入って来ると田所の名前を呼んだ。

「どうかしたのか?」

田所は言った。少し離れた所に山本が座っていた。

「明日の午後一番に総武企画の次期社長が挨拶に来るそうです。」

中村は言った。

「総武企画の次期社長かね。」

山本が確認するように言うと

「現在は引継ぎの状態だそうです。」

中村は言った。

「総武企画と言えば総武グループの司令塔だよ。」

山本が言うと

「何か失礼があれば提携そのものが白紙になります。」

中村が言うと

「ここは慎重に頼むよ。」

山本は中村に言うと

「きちんと対応をお願いします。」

中村はやや田所に言った。

「総武の次期社長は失礼があってはいけないぞ。」

山本は田所に言った。山本は総武の次期社長に俊之が就任する事は沢田から報告を受けていた。

総武側が自分たちを試しているとも受取れる状態になってきていた。

「大丈夫ですよ。」

田所は言った。

「慎重にお願いしますよ。」

中村が言うと

「軽くやっつけてやりますよ。」

田所は言った。田所の浅知恵に

「お前がそんな事でどうするのだ。」

山本は田所に大声で言った。