雨のあとに虹 その150 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その150

「もっと早く来なければならないのにすまないね。」

山本は病室で変わり果てた榊原を見て言った。

「私こそ会社に迷惑をかけてすみませんでした。」

榊原は悔しそうな表情で言った。

「迷惑ではないよ。」

山本は言った。

「私は身体が言うことを利かなくなりました。」

榊原が言うと

「今は治療に専念しないといけないよ。」

山本は諭すように言った。

「悔しいですが仕方ありません。」

榊原は力なく言った。体力が弱ってきているのが山本にも解るほどであった。

「高村くんの事はあまり意識するな。」

山本は言った。

「それが悔しいですよ。」

榊原が言うと

「彼は我々が手の届かない所にいるからね。」

山本は言葉に含みを持たせて言った。

「川嶋さん。」

俊之は言った。俊之は解らない事があるとすぐに質問をするようにしていた。

「はい。」

陽子が言った。

「総武鉄道延長工事の件だけどね。」

俊之が言うと

「資料に添付されている内容で不十分な時にはご覧になられたら如何ですか?」

陽子が言った。

「早速見てみよう。」

俊之が言うと

「すぐに手配をします。」

陽子は言った。陽子は機敏であった。俊之は資料に目を通しながらまだ陽子が自分に視線を向けているのに気付いていた。区切りがつくところまで読んで

「僕に何か?」

俊之は陽子に言った。

「今日は会社のあと何かご予定はありますか?」

陽子は遠慮がちに言った。

「予定は特に無いですよ。」

俊之が言うと

「それでしたら歓迎会をしたいと思いますが如何ですか?」

陽子は明るく言った。

 久美子が図書室を出たところでタイミングよく携帯が鳴った。久美子は図書室の中では着信音が響くのでマナーモードにしていた。久美子が設定を元に戻した時に育子からの着信が来たのである。

「こんにちは。」

久美子は電話の向こう側の育子に言った。

「やっと良いアイディアが浮かんだから久美ちゃんの意見を聞かせてよ。」

育子は言った。久美子は育子が言っている事が解らなかったが翔太が秘策を考えている事を思い出した。

「何か名案が浮かびましたか?」

久美子が言うと

「浮かんだよ。」

育子は言った。

「そんな内容ですか?」

久美子が言うと

「みんなに協力してもらわないとダメだよ」

育子は言った。

「そんなに大掛かりになるのですか?」

久美子が言うと

「相手は高村さんだからね。」

と育子は言った。