雨のあとに虹 その143 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その143

「そんな偶然が重なって天門先生の事務所へ行く事になったわけです。」

俊之は言った。言葉の途中で女性店員が来て

「珈琲とケーキをお持ちしました。」

と言って珈琲とケーキを置いた。

「ありがとう。」

俊之は言った。

「ご注文はこれでお済みですか?」

女性店員が言うと桑田は優しく

「これで全部だよ。」

と言った。

女性店員は

「ごゆっくりどうぞ。」

と言ってから会釈をして歩いて行った。

「高村さんはケーキがお好きだと天門先生に聞いていましたのでね。」

桑田は長年の親友を見るように俊之を見て言った。

「天門先生にはすべてがお見通しのようですね。」

俊之は素直な気持ちを言った。

「どうぞ。」

桑田が言うと

「話の途中でしたね。」

俊之は言った。

「ケーキを食べながらゆっくり話してください。」

桑田は紳士的な態度を崩さないで言った。

「それではいただきます。」

俊之は言ってからケーキを口に持っていった。

「ちょっと堀川さん。」

ひとみは仕事の合間をみて久美子に言った。

「はい。」

久美子は言うとひとみを見た。久美子がちょうど待っていたお客さんに珈琲を出したところである。

「次の休憩は一緒にとならない?」

ひとみは珍しく久美子を誘って言った。

「いいですよ。」

久美子が言うと

「それは一緒に休憩をとりましょう。」

ひとみは言った。

「何かありましたか?」

久美子は理由を聞きたくなって言った。

「今日の午後は混雑しそうでしょ?」

ひとみが言うと

「私も混雑すると思っていました。」

久美子は言った。

「堀川さんと一緒じゃないとこなせないからこのあとの時間は大石さんに任せようと思ってね。」

ひとみの正直な考えを言った。

「それならいっしょに休憩をとりましょう。」

久美子は言った。

直子が消費者金融から出て来た。翔太は少し離れた所でそれを見ていた。何に使うのかも翔太には解っていた。直子が被害に合うのを未然に防ぎたいのであるが今の翔太は黙って見ているだけであった。事実だけを確認すればそれでよかった。直子がお金を渡す相手も翔太には解っていた。翔太は迷ったが決心をして直子に近づいて行った。直子を追い越しそうであったが追い越さずに並んで歩くと翔太は

「現金は手渡しではなく振り込んでください。」

とそれだけ言うとスピードを上げて前に直子を置いて歩いて行った。直子は

「えっ?」

と言って横に居るはずの翔太を見た。翔太はすでに前の方に去っていた。直子の耳に翔太の言葉だけが木霊のように響いていた。

「興味深いお話が聞けてありがとうございます。」

桑田は俊之に感謝するように言った。

「本当にこれで良かったのですか?」

俊之は言った。自分が話した内容で桑田の役に立ったのかどうかが解らなかった。

「とても貴重なご体験ですね。」

桑田は言った。

「これは天門先生とご縁があったからでしょうね?」

俊之が言うと

「迷惑でなければお願いがあります。」

桑田は言った。

「僕に出来る事でしたらなんでも言ってください。」

俊之が言うと

「これからも定期的に高村さんの取材を続けたいと思っています。」

桑田は言った。

「僕なら大丈夫ですよ。」

俊之は快く言った。