雨のあとに虹 その134
キャンパスを歩いていた久美子は急いで講義が行われる教室に入った。前方の席が空いていたので座ってすぐに教科書を出して読み始めた久美子である。年末年始はいろいろな出来事があったが今日から通常の授業が始まり大学生活を楽しもうと久美子は考えていた。最近は大学以外での出来事が多かったのでキャンパスを歩くと懐かしく思えるのである。久美子は今日の講義を聴いてしっかりと期末テストに備えるつもりであった。
「おはよう。」
純子が言った。
「純子も元気になってよかったね。」
久美子は正直な気持ちを言った。
「久美子には心配をかけてごめんね。」
純子は言った。
「そんな事は気にしないでよ。」
久美子が言うと
「高村さんや笹川さんにはお世話になったからね。」
純子は感謝の気持ちを込めて言った。
「俊さんは心凄く配していたよ。」
久美子が言うと
「高村さんは良い人よね。」
純子は言った。
「ちゃんと心のケアをしてあげないとダメだって言っていたよ。」
久美子は俊之が言った言葉をそのまま言うと
「高村さんが気を利かせてくれたのには感謝している。」
純子は言った。
「笹川さんたちも協力してくれたね。」
久美子が言うと
「みんなの優しさが精神的な支えになったよ。」
純子が素直な気持ちを言った。
「俊さんに伝えておくね。」
久美子が言うと大川教授が教室に入って来た。見るからに頭が良さそうな学者タイプの大川教授は
「これから本日の講義ははじめます。」
大川教授が言うと久美子も純子も教科書に目を向けていた。
「そういう理由で高村は総武グループのトップに立つ事になった。」
矢島が大きな声をフロアー中に響かせて言った。
「高村さんは凄い出世ですね。」
みどりが小声で言うと
「僕も驚いたよ。」
田崎は言った。
「田崎もしっかり食らいついて行けよ。」
矢島の声がいつも通り大きかった。
「あまり大げさに言うなよ。」
俊之は照れたように言った。
「天下の総武グループだぞ。」
矢島が言うと
「週に1度はここに顔を出しますよ。」
俊之はフロアーに居る全員に言った。
「天下の総武グループとは驚きました。」
田崎は驚くと同時に感心した表情で言った。
「俺たちも天下の矢島建設と言われるようにしようじゃないか!」
矢島は言った。矢島は俊之には負けていないところを見せたいのだ。
「7万人を抱える企業グループのトップに立つと言う事は覚悟がいるよ。」
俊之は言った。
「そうでしょうね。」
田崎が言うと
「7万人の生活がかかっているからね。」
俊之は淡々として言った。
「高村さんはいつも冷静ですね。」
田崎が言うと
「高村もよかったじゃないか?」
矢島は言った。
「僕も驚いているよ。」
俊之が言うと
「俺たちはお前のアドバイス通りに新規事業を進めるからこれからも頼むぞ。」
矢島は俊之の目を見て言った。
「解っているよ。」
俊之が言うと
「お願いします。」
田崎が落着いた雰囲気を出して言った。
「僕も一度やりかけた仕事は最後までやり遂げたいからね。」
俊之はきっぱりと言った。