雨のあとに虹 その132
「みなさんお疲れ様でした。」
手塚が挨拶をしてパトロール隊は散会となった。数人のメンバーは一礼をしたあと俊之は
「次回は来週にならないと参加できないのでよろしくお願いします。」
と言った。
「無理しないでいいよ。」
手塚は言った。
「参加できないですみません。」
俊之が言うと
「参加できる時に参加してくれればいいよ。」
手塚は言った。俊之は手塚と目を合わせると携帯が鳴った。着信表示を見ると天門からだった。
「先生。」
俊之が言うと
「高村さんだね。」
天門が言った。
「新年おめでとうございます。」
俊之が言うと
「今年もよろしくお願いします。」
天門が丁寧に言った。
「何かあったのですか?」
俊之が言うと
「例の開運の本だけどね。」
天門は言った。
「桑田先生から電話はありましたがまだお目にかかっていませんけどね。」
俊之が言うと
「他の部分で長引いたようでね。」
天門は言った。
「最近は連絡がないので心配していました。」
俊之が言うと
「いよいよ高村さんの取材が始まると思うよ。」
天門は言った。
「それは僕も楽しみですよ。」
俊之は言った。
直子はひとり部屋の中で考え事をしていた。斉藤弘子という女は信用がおけない雰囲気を持っている。傍にいない人の悪口を平気で言ったりするのだ。こういう人は話す内容に嘘が多い場合がほとんどだ。今は自分がどんなに悪く言われているか?と心配にあるのである。考えてみれば貴志という男も信用出来ない男である。三友商事の部長だと聞いたので信用した直子であるがとても有能な商社マンには見えない。俊之のように商社マンでなくても気品がある男も居れば貴志のように気品がない商社マンもいいのだと直子は考えていた。
「高村さんは三友商事の社員だったのではないかしら?」
直子はひとり呟いた。いずれにしても弘子がお金の話をしてから直子は弘子に対しても貴志に対しても不信感が大きくなっていた。