雨のあとに虹 その126 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その126

「高村さんを総武グループのトップとして迎え入れたいと思っている。」

正樹が言うと春香と翔太以外の人たちは目を見張っていた。

「僕は総武グループのトップですか?」

「聞いて欲しい。」

正樹は穏やかな声で言った。

「父の話を聞いてあげてね。」

春香も俊之に言った。

「解りました。」

と俊之は正樹の目を見て言った。

「私は近く会長職に退くつもりでる。」

正樹は言った。

「私は希望であるファッションデザイナーとし活躍したいの。」

春香は言った。

「婿の大介くんも画家であるために経営には向いていない。」

正樹は言った。

「大介さんはそれで異議はないのですか?」

俊之が言うと

「大介くんから高村さんを社長として迎え入れたいと提案があったのですよ。」

正樹は言った。

「父も私も役員として名前を連ねればいいと思うのよ。」

春香は言った。

「僕は友人の会社と顧問契約も結んでいる状態です。」

俊之が言うと正樹はすぐに悟っていった。

「矢島建設さんの事なら問題ないよ。」

正樹言った。

「問題ありませんか?」

俊之が言うと

「高村さんがうまく調整してくれたらそれでいいよ。」

正樹は言った。

「高村さんは毎日出勤する事はないからね。」

春香が言うと

「総武建設の仕事を矢島さんに出しても構わないよ」

正樹は言った。

「それに現在進んでいる三友商事さんとの提携話もお願いできるしね。」

春香は言った。

「高村さんにぜひとも総武を活性化してもらいたい。」

正樹は言った。

「本当に僕で良いのですか?」

俊之が言うと

「春香が見込んだ男だから間違いはないよ。」

正樹は言った。

「私からもお願いするわ。」

春香が言うと俊之の決心を決定付けていた。

「僕でよろしければ力を発揮してみたいと思います。」

俊之は言った。俊之の返事を聞いて正樹は俊之に歩み寄り自らの両手で俊之の両手を力強く握り締めて

「総武を高村さんに託すからよろしくお願いします。」

と言った。それを見て春香はホッと息をついていた。翔太は自分の仕事に一区切りがついた安堵感が押し寄せていた。育子は高村俊之と言う男の可能性をどこかで予感していて当然の結果と認めていた。久美子は俊之の男として大きさにあらためて気づいて驚いていた。俊之には他の男にはない光るものがある事を早くから気づいていた久美子であった。ひとみは頭が真っ白になっていた。誤解とは言え自分が憎み続けた男がさらに大きく飛躍しようとしているのだった。そんな静寂を破って春香が

「お腹がすかないですか?」

と言った。そこではじめて空腹を感じた翔太が

「お腹すきましたね。」

と言った。

「何か持って来させましょう。」

春香が言うと

「私もお腹が空いたよ。」

正樹は言った。

「高村さんは少し痩せたようだからしっかり食べさせないとね。」

春香が言った。周囲は緊張した空気が一気に和んでいたのだった。