雨のあとに虹 その122
3人は駅前を通り過ぎて公園の近くを歩いていた。人通りはあるが混雑はしていなかった。横に止めてある高級車の前に翔太が立っていて会釈をした。俊之が会釈をすると久美子と育子も同時に会釈をした。
「みなさんはこれから大丈夫ですか?」
翔太は言った。
「大丈夫だよ。」
俊之が言う高級車から運転手の田中が出てきて深々と頭を下げた。
「僕はもうひとりお連れしますので先に行ってください。」
翔太はそれだけ言うと翔太は足早に去って行った。
「みなさまこちらへどうぞ。」
田中は丁寧な言葉遣いで言った。
「ありがとう。」
俊之は言った。
「すみません。」
久美子が言って
「ありがとうございます。」
育子が言った。て3人が高級車に乗り込むと
「シートベルトは大丈夫ですか?」
田中が確認するように言った。田中が運転する高級車は静かに走り出していた。
「急に尾ごめんね。」
ひとみは小百合に言った。
「あとは私たちでやりますからお先にどうぞ。」
小百合が言うとひとみはほっとしながら店を後にした。ひとみはエスカレーターに乗って下に降りて行く。1階まで降りると待っていた翔太は
「急にお呼び立てしてすみません。」
と言って頭を下げた。ひとみは状況がよく理解できなかったが
「いいえ。」
とだけ言った。
高級車は都心部に向かって走っていた。高層ビルの近くに若者が集まるおしゃれな一角がある。昼夜賑わう街の中心にそびえたつ総武グループの本社である総武企画の本社を目指していたのである。総武グループは総武企画が司令塔で総武鉄道をはじめ総武バス・総武交通・総武ホテル・総武百貨店・総武ストアー・総武コンビニエンス・総武遊園地・総武ゴルフ・総武トラベル・総武スポーツプラザなど既存の鉄道会社の中でも抜群の財力で事業展開をしていた。この企業は収益もよく堅実が利益をあげていた。その4代目当主である白仁正樹は財界でもひときわ光る存在であった。その本社ビルにある地下駐車場に高級車が入っていた。俊之はその瞬間にすべてを悟っていた。自分たちを招いた人物も翔太の正体も理解したのであった。高級車から降りた俊之は
「そうだったのか?」
とだけ言った。田中進は黙って聞き流していた。久美子と育子は俊之を一瞬だけ見たがすぐに前を見て歩いていた。