雨のあとに虹 その118
「そういうわけだから今年は社員一丸となってがんばってもらいたい。」
矢島は新年の訓示を述べた。オフィスの中では社員全員が立って話を聞いていた。
「社長の話は長いですね。」
田崎はみどりに言うと
「静かに聞いてください。」
みどりは田崎の耳元で言った。
「それでは話を終わる。」
矢島が言うとぎこちない雰囲気が漂った。俊之は三友商事を辞めてから初めて年頭の訓示を耳にしていた。どこの会社でも社長の訓示中は重い空気が流れるようだ。
「高村はあとで俺のところに来てくれ。」
矢島が言うと俊之は
「打合わせが終わったらすぐに行くよ。」
と言った。
「今の社内の状態は書類に書いてあるとおりです。」
田崎が言うと
「このままでかまわないけどね。」
俊之が言うと
「どこか悪い部分がありますか?」
田崎は言った。
「誰かがミスをしても対策を取れるようにチェック機能を持たせたいね。」
俊之は言った。
「チェック機能ほどうやったら良いかな?」
と言って考え込む田崎に
「そんなに難しく考えなくてもいいよ。」
と俊之が言った。
「今日は意外とお客さんが少ないですね。」
小百合はひとみに言った。
「堀川さんがテキパキとこなしてくれるからかしら?」
ひとみが久美子の方を見て言った。
「お客様こちらへどうぞ。」
久美子が的確に言った。
「ホットをひとつね。」
お客のひとりが言うと
「お砂糖とミルクはいかがなさいますか?」
久美子はよく通った声で言った。
「堀川さん。」
ひとみが言った。
「はい。」
久美子は言ってひとみを見た。
「近いうちに高村さんに会いたいと思うけど良いかしら?」
ひとみが合間に言った。久美子はタイミングをみてから
「俊さんに予定を聞いてみます。」
と言った。ひとみは頷いた。
「お願いします。」
小百合に言われて
「お待ち堂様でした。」
ひとみは言った。何事もなかったように対応しているひとみを見て久美子は安心していた。ひとみが落ちんではいないかと久美子は心配しだったのである。