雨のあとに虹 その115
「女性の名前は白仁春香さんです。」
翔太は言った。
「写真を見ると春香さんは気品がありますね。」
久美子が言うと
「春香さんは総武グループのトップである白仁正樹さんの娘さんです。」
翔太が言うと
「その女性は向島春香という名前ではありませんでしたか?」
ひとみが言うと
「事情があって白仁姓を名乗ったのはこの3年のことです。」
翔太が言った。
「春香さんは正樹社長とお妾さんとの間に生まれました。」
先ほどから黙っていた俊之が言った。
「アメリカのプレミアム大学を卒業してからロンドンのリチャード大学で講師をしている時に高村さんと出会ったそうです。」
翔太が言った。
「三友商事のロンドン支店で取引があったメディカルエレクトリック社のケン・ダッドリー氏から紹介されてね。」
俊之は言った。
「春香さんが高村さんの新しい恋人ではなかったの?」
ひとみが言うと
「異国で出会った同じ日本人として高村さんは春香さんの良き相談相手であったそうです。」
翔太が言った。
「それは同じ仲間のような感覚でしょうね?」
久美子が言うと
「そうだと思います。」
翔太が言った。
「そんな事情があったなんて知らなかった。」
ひとみが言うと
「春香さんは高村さんのおかげで正樹さんに心を開くようになって向島姓から白仁姓苗字を変えています。」
翔太は言った。
「翔ちゃんがそこまで知っていたとは意外だったよ。」
俊之が言うと
「すぐにすべてをお話できる日が来ます。」
翔太は言った。
「この写真は悪意を持った誰かが無理やりにこじつけたと考えられませんか?」
久美子が言うと
「さすが久美子さんですね。」
翔太は言った。
「私は利用されただけだったの?」
ひとみが言うと
「悪意を持った榊原が都合のいいように利用しただけです。」
翔太が言った。
「ひどいやり方ですね。」
久美子は言った。
「翔ちゃん。」
俊之が言うと
「何でしょうか?」
翔太は言った。
「僕は斉藤弘子が麗子さんを騙して何かしていたところまでは掴んだ。」
と言った。
「そこまで解れば凄いですよ。」
翔太は言った。
「それ以上はまだ解かっていない。」
俊之が静かに言った。
「高村さんは三友商事に在籍していたのではなかなか真相は掴めないから退職された。」
翔太が言った。
「仕事をしながらでは無理だったよ。」
俊之が言うと
「三友商事の部長と言えば世間では注目されていますからね。」
翔太は言った。
「だから辞めざるを得なかった。」
俊之は言った。
「えっ!」
ひとみは言って言葉を呑んだ。
「高村さんは麗子さんへの禊のために恵まれない子供たちがいる施設などへの活動もおろそかにはしていません。」
翔太が言った。
「それでクリスマスにあすなろ会でパーティをしたのね。」
久美子は言った。
「高村さんが石倉さんの言うような悪い人なら目の前にいる高村さんではないはずです。」
翔太が言った。少しの時間だけ沈黙が流れて誰も言葉を発しなかった。
「真相はすぐに解りそうなの?」
ひとみが言うと翔太は
「すぐには無理かもしません。」
翔太は言った。
「それなら一緒に解明しましょう。」
ひとみは言った。
「そうしましょうよ。」
久美子は俊之とひとみと翔太の顔を見比べて言った。
「私でお手伝いできるかしら?」
ひとみが言うと
「ぜひお願いします。」
翔太は言った。
「榊原さんに簡単に騙される女よ。」
ひとみが言うと
「今度はこちらから騙せばどうですか?」
翔太は言った。