雨のあとに虹 その114
「入江麗子さんは高村さんが三友商事に在籍中に派遣会社から三友商事に来ていました。」
翔太は言った。俊之とひとみは無言で聞いていたが久美子は
「優秀な派遣さんのようですね?」
と言った。
空いていたファミレスで珈琲を飲みながらの会話であった。関口たちは黙って聞いていた。
「そのようでした。」
翔太は言った
「当時は高村さんが課長として責任者を任されていたのよね?」
ひとみが言った。
「30人ほどの課を任されていました。」
俊之は言った。
「榊原は高村さんが転勤した後の課長の座を狙っていました。」
翔太は言った。
「それはどんな画策ですか?」
久美子は言った。
「麗子さんを高村さんと親密になるように仕向けたのです。」
翔太が言うと
「麗子さんも利用されたのね?」
ひとみは言った。
「最初は榊原の言いなりで俊之に接していた麗子さんだったようです。」
翔太が言うと
「それは途中で麗子さんが言いなりにならなかったと言うことですか?」
久美子が言うと
「麗子さんはしだいに高村さんに引かれていったようです。」
翔太が言うと
「榊原さんは話していた事とは全然違うわ。」
ひとみは言った。
「榊原と言う人は何を望んで麗子さんを俊さんに近づけたのかしら?」
久美子が言うと
「会社の機密事項を聞き出して高村さんに漏洩の責任を執らせる事だと思います。」
翔太は言った。
「そういう事だったの?」
ひとみは言った。
「そうまでして出世がしたいの?」
久美子が言うと
「出世のためなら何でもする男が多いのよ。
ひとみは言った。
「やがて高村さんはロンドン支店長として転勤しました。」
翔太は言った。
「その部分は私も聞いています。」
ひとみが言うと
「麗子さんは高村さんに遅れてロンドンに行く予定だったのです。」
翔太が言うと
「それが自然な結論ですよね。」
久美子は言った。
「ところがある時にマンションで転落死しているのを発見されたのです。」
翔太が言った。
「マンションで転落ですか?」
久美子は驚いて言うと翔太は
「そうです。」
と言った。
「それは高村さんから捨てられたためでしょ?」
ひとみは言った。
「それは違います。」
翔太は言った。
「そんなに簡単に自殺するものでしょうか?」
久美子は言った。
「久美子さんも僕と同じ疑問を持ちましたか?」
翔太は言った。
「施設で苦労して育った人が物事を確認もしないで自殺するなんてありえないです。」
久美子は言った。
「警察は自殺と事件や事故と可能性を拡大して捜査をしていますが未だにはっきりと解明できていません。」
翔太は言った。ひとみは自分のバッグから写真を取り出して
「この写真が浮気の動かぬ証拠だと榊原さんは言っています。」
と言った。ひとみが取出した写真は俊之と春香がロンドンの市街を親しそうに歩いている姿が写っていた。俊之の横には立っているのは紛れもなく12年前の春香であった。
「春香さんはロンドン郊外で出会った女性です。」
俊之は言った。