雨のあとに虹 その113 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その113

「これでよし。」

育子は入力したメールを送信した。育子に何ともいえない不安感が襲ったままである。育子実家では家族が年始周りをしていて退屈を我慢できない育子であった。育子は黙って新聞を広げた。

「自分の出世のために麗子さんを捨てたのでないのね。」

ひとみが言い終わらないうちに

「俊さんはそんな事をする人ではないです。」

久美子が言うが

「堀川さんは黙っていて。」

ひとみは言った。

「店長は誤解しています。」

久美子が言うと

「これは私とこの男との問題なのよ。」

ひとみは言いながらも俊之から視線をはずさなかった。その時に

「そんな事はないですよ。」

ひとみの後ろで翔太が言った。俊之も久美子もひとみも翔太を見た。

「翔ちゃん。」

俊之が言うと

「高村さんこそが最大の被害者なのかもしれないですよ。」

ひとみの後ろに立ったまま翔太は言った。翔太の横には関口を含めて4人の若者もいた。

「笹川さんに関口さん。」

久美子は言った。

「こんにちは。」

関口が言って

「こんにちは!」

久美子も関口に言った。

俊之は翔太や関口たちとひとみを交互に見ていた。

「石倉ひとみさんですね。」

翔太は言った。ひとみは

「あなたは誰なの?」

と言うと翔太は。

「笹川翔太です。」

と言った。

「これはどういう事なの?」

ひとみが言うと

「高村さんは何も知らないはずです。」

翔太が言った。

「それならどうして?」

ひとみが言うと

「知らないからこそ会社を辞めてしまわれた。」

翔太が静かに言った。

「榊原さんそんな事を言っていなかった。」

ひとみは言った。榊原が自分を騙しているかもしれないという不安は以前からひとみにはあったのだ。

「その榊原も詳細までは知らないと思います。」

翔太は言った。

「榊原さんも知らない事なの?」

ひとみが言うと

「榊原は自分の出世のために高村さんを悪く言って利用しただけです。」

翔太は言った。

「それでは誰が何を知っているの?」

ひとみが言うと

「真相を知っているのは貴志義孝と田所健二だと思われます。」

翔太は言った。

「そのふたりの名前は知らないわ。」

ひとみが言うと

「悪い噂が絶えないふたりです。」

翔太が言った。

「そのふたりが何かを知っているの?」

思わず久美子が言うと

「可能性はかなり高いと思います。」

翔太は言った。

「そうだったの。」

ひとみが言うと

「経営コンサルタントの斉藤弘子も何かを知っているはずです。」

翔太は事務的に言った。

「斉藤弘子さんも何か知っているのね?」

ひとみが言うと

「それと石井純一さんも何かを知っているみたいですよ。」

翔太は言った。

「純一くんが関わっているのは確かだろうね?」

俊之は言った。

「榊原さんは私を利用しただけだと言うの?」

ひとみがそこまで言いかけた時に俊之の携帯が鳴っていた。沈黙の中で俊之が

「失礼。」

と言って携帯を確認した。俊之の横で久美子も心配になって

「誰から?」

と俊之に言った。

「育子さんからだよ。」

俊之が言った。

「ここで立ち話では落着かないのでどこか開いている店にでも入りましょう。」

翔太が言った。